国土交通No.128
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13大型船舶も安全に通れる「海の道」の保全のために広い海に大型客船やタンカーがゆったりと進み、小さな漁船とすれ違っていくー。のんびりとした海上風景ですが、海の底はどうなっているか、想像したことがありますか? 「板子一枚下は地獄」と言われるように、船の走行は危険がつきもの。特に大型船はちょっとした座礁や衝突で大きな事故につながりかねず、定期的な航路の点検・整備は欠かせません。特に近年は国内外問わず貿易量の増加とともに船舶が大型化しており、早急な対応が求められています。国土交通省では航路の維持管理のための方針を示すとともに、湾口部や内海など、海上交通の要衝で開発および保全が必要となる海域を「開発保全航路」として全国16航路を指定。国の仕事として既存航路の深しんせん浅測量および維持浚渫や障害物の除去、パトロールなどの維持管理を行っています。香川県沖を走る備讃瀬戸航路も、国内・国際幹線航路として瀬戸内海を東西に結ぶ唯一の航路であることから「開発保全航路」として平成21年に航路全域に拡大指定され、現在事業が進められています。「備讃瀬戸海域は大小多くの島があり、海流が強く複雑なため、海底が波状になるサンドウェーブ現象が起きやすく、各所に土砂が溜まり、十分な深度が確保できない恐れがあり、定期的に点検を行い、計画的に浚渫工事を行っています。平成25年より6年計画で備讃瀬戸北航路での浚渫工事を進めています」そう語るのは、四国地方整備局高松港湾・空港整備事務所の岡本雅治。昭和52年の入省後、空港や防波堤などの多種多様なプロジェクトに参加してきた土木・建築工事のエキスパートで、備讃瀬戸北航路浚渫工事では工事発注者として主任現場監督員を務めています。綿密な情報共有で工事を安全に進める対象となる航路の範囲は広く、効率的に維持管理を行うためには、まずは現在の海の状態を正しく知る必要があります。その調査のための計画を他部署と連携して立てています。「北航路と南航路が合わさるイノサキノツガイ地区など、土砂が溜まりやすい場所は年に1度は測量しています。海産物が豊富な瀬戸内海ではさまざまな漁業活動が行われ、航行船舶の数は日に600隻にもなりますから、漁業関係者や海上保安庁など多くの関係者と調整する必要があります」(岡本)。その後、深浅測量のデータをもとに浚渫工事の必要なエリアを他部署と協議しながら決定し、工事の計画を立て、事業者の選定や予坂出港から船で約30分。広島沖の浚渫工事現場(ポンプ浚渫船千代田丸)坂出港高松港女木島男木島小豆島豊島直島広島南北連絡航路(-13m)東航路(-19m)北航路(-19m)南航路(-13m)北航路浚渫工事開発保全航路(維持管理)海洋環境整備事業(美讃)高松港朝日地区国際ターミナル整備事業イノサキノツガイ地区

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