国土交通No.128
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153000~4000㎥。たっぷり土砂を積み込んだ土運船は押おしふね船に押されて浚渫船から離され、少し離れたところに待機していた次の土運船が接続されると、再び作業が繰り返されます。作業は24時間交代制で日の出から日没までです。途中仮眠をとりますが丸々24時間を海上で過ごし、19時に作業を終えると1~2時間ほど引き継ぎを行って21時前後に交代します。作業員は船に乗って帰途につき、次の出勤に備えます。一方、土運船に積まれた土砂はどこに行くのでしょうか。浚渫した土砂は多目的に有効利用備讃瀬戸航路の海底から吸い上げた土砂はこれまで近隣の埋め立て地の造成や海水浴場の砂浜などに再利用されています。その一つとして、高松港朝日地区の埋め立てにも使われており、完成後は大規模災害などの際に緊急支援物資の一時保管場所や避難場所を目的とした港湾緑地となる予定です。ほかにも朝日地区では、国際物流ターミナルとして大型船の国際貨物の増加に対応するための岸壁なども整備が行われ、包括的な物流環境の整備が進められています。「備讃瀬戸航路が整備されて大型貨物船が通れるようになっても、高松港でのこれまでの施設は水深が10mのため、船舶の大型化に対応していない非効率な荷役状況となっていました。現在事業を行っている国際物流ターミナルは、3万トン級大型貨物船が満載のまま接岸できる施設として深さ12mの大型岸壁および航路・泊地を整備しています。『開発保全航路』として大動脈を維持管理しながら、併せて航行する船舶の目的地である各港でも船舶の大型化に対応した施設の整備を行っているわけです」(高松港湾・空港整備事務所山﨑)。四国の人々にとって海は身近な存在であり、航路や港湾の整備は、これまで享受してきた豊かな海の恵みを守りつつ、新たに世界の海ともつながる重要な事業の一つと言えるでしょう。屋島の高台に登ると、備讃瀬戸航路から高松港までの壮大なパノラマが一望できます。その美しい海に浮かぶ船の安全を守るために、海の底では今日も大事業が進められています。現場力業務密着ルポシリーズFILE 29四国地方整備局 高松港湾・空港整備事務所航路管理課長岡本 雅治昭和52年旧運輸省に入省。入省以来建設部局に在籍し営繕業務に携わっていたが、近年は土木業務に。本人曰く「建設も土木も基本的に変わらない。要は計画どおりにいくかどうか」だそうだ。平成25年より現職。PROFILE屋島から望む高松港。浚渫現場で吸い上げられた土砂は高松港朝日地区の埋め立て現場で使われる(写真中央右寄りの部分)朝日地区沖では大型船運行のための浚渫工事が行われている。土砂の取り方は備讃北航路の現場とは異なる坂出港事務所のみなさんと、企画調整課の山﨑課長とともに

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