国土交通No.128
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9加しており、昭和の農村風景を知る世代が当時を懐かしんでやって来ることが多いそうです。しかし「それだけではいけない」と豊泉さんは言います。「先人が培った知恵や文化を知ることは、若い世代にも重要な意味があるはず。核家族化が進み、食や生活などの文化伝承が分断しがちななかで、『こもれびの里』がその役割の一部を担えればと考えています。娯楽が多い時代にどうしたら若い世代に関心を持ってもらえるか、今後の大きな課題です」そのためにも『こもれびの里』のテーマである『昭和・武蔵野・農業』に関わることなら自由な発想で取り組み、まずは関わる人々が楽しめる場にしたいとのこと。例えば、囲炉裏を囲んだ昔話の会や農家での古式ゆかしい結婚式など、さまざまな企画がメンバーから上がっています。「武蔵野の景観・農業文化・歴史を再現・保存し、次の世代に継承するという重要な役割を担っていますが、堅苦しく考える必要はないと思います。ぜひ、おじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに来るつもりで、たくさんの方に気楽に来てもらいたいですね」は見事な鶴亀の鏝こて絵えも施されています。「調度品や民具も当時のものをできるだけ活かしました。説明書きに立川市民俗資料館の協力をいただいたり、国文学研究資料館に民具を貸し出したり、ほかの組織との連携も広がっています。こうしたことを通じてより多くの方に丁寧に武蔵野の文化を紹介していきたいと考えています」農作業や年中行事などを通じ自然と暮らしの知恵を体験する「こもれびの里」の楽しみ方は見るだけではありません。田植えや収穫祭などの農作業や、炭焼き、うどん作りなど、年間を通じて多彩なイベントが開催され、子どもからお年寄りまで多くの参加者で賑わいます。今では珍しくなった麦刈りが終わり鎌に感謝する鎌洗いや、正月に繭の豊作を祈るまゆ玉行事など、さまざまな武蔵野の年中行事も実施しています。そうした企画・運営を担うのも、ボランティアの皆さん。開園にあわせて運営委託先として有志で設立した「NPO法人武蔵野の里作りクラブ」と毎年募集されるボランティア「こもれびの里クラブ」を合わせた総勢約90名が活動しています。「4分の1が開園前からの参加ですが、新しいメンバーも多く、和気あいあいとしながら進めています。植物や鳥に詳しい方、介護や障がい者支援をしながら取り組んでいる方など、得意なことやプロフィールもそれぞれ。案内する人によって異なる里の魅力が楽しめるのも面白いですよ」また昭和記念公園の他のボランティアと兼任している人も多く、積極的な市民参加が、公園全体の魅力に貢献していることがうかがえます。先人たちが培った知恵や文化を次の世代へ伝承するために「こもれびの里」を訪れる人は年々増収穫した小麦は園内の水車で製粉古民家で行われるうどん作り講習の様子里ではボランティアスタッフの方々の手によって畑の準備が大きい! 広い! 楽しい!国営公園に行こう!特集国営昭和記念公園に行ってみよう!東京ドーム39個分に相当する広大な敷地には、美しい樹々や四季折々の草花で彩られ、バーベキューガーデンやサイクリングコース、日本庭園など施設も充実。イベントや体験学習も数多く開催され、地域住民の交流や文化活動の拠点にもなっています。  秋には550万本ものコスモスが咲き乱れ、紅葉が見頃を迎えます。ぜひ、足を運んでみてください。●休園日 年末年始、2月の第4月曜日及びその翌日  ※こもれびの里・里の農家は毎週月曜日休園   (月曜日が休日の場合はその翌日の平日)●行き方▶立川口(JR中央線 立川駅より徒歩約15分、 多摩都市モノレール 立川北駅より約13分)▶西立川口(JR中央線 西立川駅より徒歩約2分)▶砂川口(西武拝島線 武蔵砂川駅より徒歩約20分) ※上記以外に5か所の入り口があります。●入園料 大人(15歳以上)410円、小人80円 シルバー(65歳以上)210円●お問い合わせ 042-528-1751(自動応答)●公園ホームページ http://www.showakinen-koen.jp/

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