国土交通No.129
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11とから、「ぷち民家体験」という民泊の良さを活かしたプログラムも用意しています。古民家事業開始から丸4年、年間1500人が利用するまでになり、半分近くが東京など関東圏からの観光客。客層の広がりに手ごたえを感じています。Iターン者が増加人口減少の歯止めに震災を境に国内の“田舎を回り積極的に体験しにいく”というような旅行感の変化が感じられると両氏は話します。「施設を作って何かしようということではない。我々の売りはやはり『人』。小値賀にしかできないことを考えながら、人を活かした交流プログラムを今後もつくっていきたい」(高砂さん)。さまざまな取り組みもあり、Iターン者の数は100人ほどにもなり、人口減少の加速を食い止めるまでになっています。「以前野崎島自然学塾村に来た子が、学校を卒業したのでここで働きたいと言ってきてくれたんです。こうした“島に来たい”という原資を増やすために、行政としても協力していきたい」(橋本さん)漁師町の狭い路地裏を歩くと、思いがけない発見や出会いがあるのはこの島ならではのこと。また本島の西側、斑まだら島から見る東シナ海に沈む夕陽も、まさにここでしか見られない光景です。「行くのは不便だけど、でもまた行きたくなる」、そして「住みたくなる」─そんな島を目指して、小さな島の挑戦は続いています。験してもらおうと考え民泊を提案したんです」“お客さんをおもてなしするようなものは何も…”と及び腰だった島民を一軒一軒説得し、7軒の受け入れ先からスタート。実際始めてみると、宿泊する側だけでなく受け入れる側からも「楽しかった」という感想が聞かれたといいます。こうした評判は徐々に島民に広がり、現在受け入れ先は36軒にのぼっています。「特別なことはしないんです。畑の野菜で昔から伝わる島ごはんを一緒に作るなど、その家にいる間は島の子どもになってもらう。受け入れ先にも良い刺激になっているようで、感動が双方向で生まれています」(高砂さん)。今や「次の受け入れはいつ?」と心待ちにしている島民もいるほど。この取り組みは多くの評価を受け、アメリカの高校生の国際交流プログラムでは「もう一度行きたい」と満足度世界1位になったほか、数々の賞を受賞しました。観光産業の新たな核ができたことで、ツーリズム事業としてより推進するため、平成19年にはそれまで三つあった観光団体を統合し、NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会を設立。島内での体験事業や民泊、観光情報を提供する窓口となっています。大人の島旅を提案する「古民家ステイ」民泊事業が軌道にのり、次に検討されたのは大人向けの観光事業でした。観光産業として成り立つには通年にわたり観光客を呼ぶ必要があります。そこで着目したのは町内に残る古民家。「東洋文化研究家のアレックス・カー氏の助言を受け、古民家を改修し宿泊できるようにしました。食事を楽しめる古民家レストランもあります。癒しを求めて来島される方には、心おきなくゆっくりくつろいでもらいたい」(高砂さん)町が所有する江戸、明治、昭和初期の古民家6棟を離島体験滞在交流促進事業などを活用して改修。1棟1組の貸し切りとなっており、家族や友達同士で、楽しく島に暮らすように過ごせます。とはいえ、島民との触れ合いも体験して欲しいというこ島の生活を体験できる「民泊」。「ぷち民家体験」として大人も体験できる「暮らすように旅する」ことができる「古民家ステイ」。家から一歩外に出れば、島人のふつうの暮らしに接することができる東シナ海に沈む雄大な夕陽が見られる斑島は、島屈指のサンセットスポット火山島ならではの光景がひろがる赤浜海岸対流促進型国土の形成国土のグランドデザイン2050特集

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