国土交通No.129
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13近畿三都市圏を結ぶバイパスが担う発展への期待京奈和自動車道は、その名前の通り「京都」、「奈良」、そして「和歌山」の延長約120㎞の高規格幹線道路※です。これまで高速道路のなかったこのエリアに京奈和自動車道が開通すれば、三都市間の行き来に要する時間が大幅に短縮されます。加えて、関西国際空港や和歌山下津港など海外の窓口からのアクセスが飛躍的に向上するとともに、近畿圏および中部圏が一体となった大規模な経済圏の誕生が期待できます。既に和歌山県内においては全体の7割に近いルートが開通しており、平成26年10月現在、残るルートについても急ピッチで整備事業が進められています。今回訪れた「紀北西道路」は、京奈和自動車道の紀の川市側起点から12・2㎞の区間にあたります。紀北西道路は紀の川市神じんりょう領の紀の川インターチェンジから岩いわで出市根ねごろ来で建設が進む岩出インターチェンジ(仮称)を経て、和歌山側のジャンクションにおいて阪和自動車道とつながります。「和歌山県の高速道路は阪和自動車道の一本しかありません。これまで和歌山の方々は、京都・奈良方面に行こうとすると高速道路では阪和自動車道を利用し大阪を経由して行くルートしかなく、代替ルートを選べませんでした。それを解消するのが、京奈和自動車道です」と語るのは、和歌山河川国道事務所副所長(道路)の河合良治。現在、河合のもとで、4名の建設監督官が全力で紀北西道路の開通に向けて現場での協議や監督を行っています。移動時間の短縮や渋滞・事故抑止地域産業の活性化も6工区を担当する建設監督官中村恭介は、紀北西道路に地域の人々が寄せる期待は大きいと言います。「地元は数本の主要道路しかなく、国道24号や県道ではしばしば交通渋滞が発生していました。京奈和自動車道は高規格幹線道路ですが、無料ということもあって、地域の方々にバイパス道路として利用していただけます」これによって、従来は病院に通うのにもかなりの時間を要したのが、高速道路で楽に通院できるようになるなど時間短縮効果が期待できます。また国道の交通量が減ることで、渋滞や交通事故の抑止にもつながります。事実、紀北西道路から奈良側に延びる平成26年3月に開通した紀きほくひがし北東道路沿線では、並行する国道24号の交通量が3~4割減少。また平成19年度に開通した橋本道路沿線の国道での死傷事故件数は、年間で約60件減少という効果が既にあり、紀北西道路でも同様の渋滞や事故の抑止効果が期待されています。一方、産業面での貢献を指摘するのは、7・8工区担当の建設監督官小丸博司です。「この周辺は柿や桃などの名産地として知られていますが、これまで東日本方面への出荷は主には大阪経由でした。しかし全線開通のあかつきには、奈良や京都を経由し、これらの農産物もより迅速かつ大量に出荷できるようになるはずです」また京奈和自動車道沿線では、輸送力の向上に注目した企業が工場を積極的に開設しています。すでに沿線全体では11の地区で自治体の主導による産業団地の立地が進行中です。紀北西道路大阪府和歌山県和歌山市岩出市紀の川市紀ノ川和歌山IC和歌山北IC紀ノ川SA阪和自動車道JR和歌山線JR阪和線布施屋駅紀伊駅千旦駅田井ノ駅船戸駅岩出駅下井阪駅打田駅紀伊小倉駅2424424134791414636264紀の川広域農道和歌山バイパス紀 北 西 道 路 12.2km紀北東道路8工区 3.3km和歌山市 3.3km終点和歌山市弘西起点紀の川市神領岩出市 5.8km紀の川市 3.1km7工区 3.2km6工区 5.7km岩出IC(仮称)紀の川IC和歌山JCT(大阪行)(仮称)和歌山JCT(和歌山行)(仮称)栗間建設監督官小丸建設監督官増田建設監督官中村建設監督官6工区の山岳トンネル掘削現場。トンネル内に空気を送り込むための太い管がトンネル奥に続く。設計寸法通りか確認するのも中村の仕事6工区※高規格幹線道路……「高速自動車国道」および「一般国道の自動車専用道路」のこと紀北西道路概要図

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