国土交通No.129
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14沿線の紀の川市でも、和歌山県土地開発公社による北きたせいだ勢田ハイテクパークの開発が行われています。6・7工区を担当する建設監督官増田寛四郎は、沿線住民の声によって京奈和自動車道への意外な効用に気づかされたと語ります。「道路が開通したら、息子が帰ってきてくれる。孫が度々家に来てくれるといった期待をあちこちで伺うのです。これは、私自身予測しなかったメリットでした。やはり若い人は進学や就職で京都、奈良などに出て行くことが多く、そうした方々が気軽に故郷と行き来できようになったと思います」このほかにも和歌山の豊かな観光資源への、外国人も含めた観光客の呼び込みなど、新しい道路のもたらす地域発展効果は多くあります。地元への理解促進そして工事の安全確保が何よりも大事幅広いエリアに及ぶ道路整備事業は、地域住民の理解と協力がなくては、とうてい進めることができません。建設監督官たちは、地元の方々とのコミュニケーションを通じた事業への理解・協力の促進を何よりも大切に考えています。「基本は、自分の住む家の近所づきあいと同じです。実際の工事を担当する施工業者の方にも、地元の皆さんに会ったときには忘れずに挨拶をして欲しいといったことを繰り返しお願いしています。また、地域の道路清掃や草刈り、お祭りなどにもできるだけ参加させてもらい、コミュニケーションを図るように努めています」(中村)こうして日常的に顔を合わせていれば、工事の予告なども随時伝えられます。騒音が出るような作業も、あらかじめ話をしてあるかどうかで、地域の方々の受け止め方はまったく違ってくると、中村は強調します。地域への理解促進には、積極的なPR活動も重要です。8工区を担当する建設監督官栗間和也は、自らパソコンを駆使してパンフレットを作り、地元の小学校に現場見学会を呼びかけたり、看板を設置したりといった工夫を凝らしています。「私はこの4月に和歌山に着任したのですが、この京奈和道路の整備事業がまだまだ対外的に知られていないことに驚きました。そこで阪和自動車道から見える場所に看板を設けたり、紀ノ川サービスエリア内にPRのパネルを置かせ紀北西道路の中でももっとも高所作業の多い7工区の現場。赤茶色の橋脚は工事用の仮設橋で実際の橋脚はその下の鉄筋が組まれている個所から作る。一番高いところでは高さ約100mにもなる各工区で行われた見学会の様子。6工区(上)の見学会は周辺地域の方々を招待。8工区(下)では小学生を招き、掘削した土で花の苗作りも行った栗間が作成した見学会案内のチラシ。参加しやすいようデザインやタイトルにも工夫を凝らしている7工区岩出IC近くの現場。観光客も多く利用することが予想されるので、橋脚には擬石模様の型枠を用いるなど周辺環境に配慮県道が土で汚れていないか+αの視点で現場をチェックする増田。気になるところは写真で記録していく建設中の橋脚の基礎部分を真上から見たところ組まれた鉄筋を確認する小丸7工区

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