国土交通No.129
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15てもらうなどの試みを行っています」そしてPR以上に重要なのは、工事の安全です。紀北西道路はトンネルや山あいの高所を通る橋きょうりょう梁が多く、一方で鉄道や生活道路に隣接した個所もあるなど、作業員はもちろん周囲の住民も含めた安全確保への取り組みが一段と要求されます。その基本となるのは毎月一回、建設監督官と各事業者が一堂に会する「安全協議会」です。ここでは工事の安全に関するあらゆる情報が交換され、また改善が必要な事柄については必ず報告や指示が行われます。建設監督官自身もそれぞれに、この場を活かして安全の徹底に努めていると言います。「現場を見回った際に気が付いた安全上の問題個所を写真に撮って、安全協議会でその写真を配布・共有して安全意識を高めてもらうようにしています」(中村)、「他の工区や事務所で発生した事故の情報を協議会で紹介し、貴重なケーススタディとして活かすようにしています」(増田)、「高所作業の多い工区なので、転落災害には非常に気を使うよう協議会でも繰り返し呼びかけています」(小丸)といった各建設監督官の言葉に、この協議会が工事の安全を守る重要な柱になっていることがわかります。「地図に残る仕事」を合言葉に完成の日に向けて前進長い年月と多くの地域住民の理解と協力に支えられて、ようやく完成を迎える道路整備事業。その供用開始の瞬間が、何よりこの仕事のやりがいを実感できると建設監督官たちは口々に語ります。「よく言われることですが、『地図に残る仕事』というのがありますね。そもそもこの仕事を目指した動機には、大きなプロジェクトに携わりたいという気持ちがありました。そうした意味で、今回のような大規模の道路整備事業は達成感もひとしおです」(中村)また増田も、「以前の現場で開通式のとき、取材のカメラマンを見晴らしの良い場所に案内したのですが、走り初めの車列が視界に現れた瞬間、思わず小さくガッツポーズしてしまいました」と笑います。このほかにも地元の見学会で住民の方々が楽しそうに笑顔で現場を見ている姿や、開通式の車列を先導するパトカーがトンネルから現れた瞬間、地域住民の方々から大きな歓声が挙がったことなど、建設監督官たちのうれしい思い出は尽きることがありません。平成27年度の供用開始を目指して、まさに工事の最盛期を迎えている京奈和自動車道・紀北西道路。近畿圏の交通と物流を大きく変える道路整備事業は、和歌山地域のさらなる発展と人々の笑顔を目標に急ピッチで進められています。現場力業務密着ルポシリーズFILE 30近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所建設監督官中村 恭介平成4年、旧建設省に入省。紀南工事事務所を振り出しに近畿地方整備局管内の各地で道路の改築、修繕工事などを担当。平成26年から現職。建設監督官増田 寛四郎平成3年、旧建設省に入省。各地の国道事務所にて交通安全対策事業および道路維持修繕事業を担当。その後耐震改修、橋梁保全事業などを経て平成25年から現職。建設監督官栗間 和也平成元年、旧建設省に入省。紀の川ダム統合管理事務所で大滝ダム事業他を担当。関西国際空港(株)への出向や京都西立体交差事業・新名神関連事業を経て、平成26年から現職。建設監督官小丸 博司平成5年、旧建設省に入省。明石海峡大橋関連事業を始め、各地での事業実施計画や調査・設計、広報、道路事業分析評価などを担当。平成25年から現職。PROFILE8工区は一番最後の短い区間だが山の切土が多い現場。現場は紀ノ川SA(写真左側)から進入している測量機で工事の仕上がり高さをチェックする栗間7工区の現場見学会に参加した小学生たちから届いたお礼メッセージ。ひとつ一つの言葉が作業への励みになったという8工区

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