国土交通No.129
16/24

16 城下町の篠山城跡、武家屋敷や商家群からなる美しい伝統的まちなみ。今もなお当時の面影が残る歴史的なまちなみを守り続けた人たちの思いと、まちづくりの努力のあかしがある。周囲を山に囲まれた盆地の中にあり、古くから京都と山陰、山陽を結ぶ交通の要衝の地。徳川家康の命による天てんか下普ぶしん請により篠山城が築城、翌年から城下町が整備。江戸時代を通して篠山藩5万石の中心地として栄えた歴史と伝統を今に伝える古きたたずまいの丹波篠山。歴史あるまちを守る城下町形成時の町割りが残され、静かな時間が流れ歴史を感じさせる古民家、小さなエリアに多くの文化財があり、小京都の雰囲気。平成26年に都市景観大賞都市空間部門で大賞(国土交通大臣賞)を受賞した篠山城下町地区。城跡を中心に東西約1500m、南北約600mの「篠山市篠山伝統的建造物群保存地区※1(以下、「伝建地区」)」がある。河かわらまち原町と小川町の東西700mの通り沿いの両側は主に妻つまいり入の中ちゅうにかいだて二階建の主おもや屋が建ち並び、窓は出で格ごうし子やムシコ窓、表構えは大おおど戸や格子を基調とした旧商家町。時代劇の世界に入り込むような感じに包まれる。黒岡川を境に、篠山城跡の周囲に広がる西新町と南新町、東新町がある旧武家町。御おかち徒士町まち通どおりには土どべい塀と棟むなもん門、茅かやぶき葺の主屋が建ち、武家屋敷のたたずまいが伝わる。篠山城下町は昭和30年代以降に無住家屋が増え、建物の取り壊しでまちなみを存続できない可能性が高くなり、特に伝建地区は、江戸時代から昭和初期に建築された建物が多く、老朽化による傷みなどが多くまちなみ保存が緊急の課題となり、昭和40年代から取り組みが始められた。城跡の石垣修理事業を始めに、道路整備、道路美装化、電線類地中化などが進められ、伝統的建造物群保存地区制度導入の取り組みを目指すものの、当初はなかなか地域の理解が得られず、2度見送りになる。平成11年の篠山市誕生をきっかけに3度目の取り組みを行うこととなり、導堂々とした石垣が往時を偲ばせる篠山城跡篠山市篠山伝統的建造物群保存地区※1 伝統的建造物群保存地区……伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、市町村が都市計画又は条例で定める地区兵庫県篠ささやま山市し第28回兵庫県篠山市

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です