国土交通No.129
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18勉強会を開催しており大きな役割を担っている。小林会長は「毎年、修理工事の要望は多いが、できるのは年に数件で順番を決めるのが難しいものの、みんなのまちを大切にしたいという気持ちがうれしい。復元ではなく、今あるまちの姿を残すために活動している」保存会登録建築士で兵庫県ヘリテージ―マネジャーの河南誠さんは、「古民家の修理は新しすぎても古すぎてもダメで境目が難しいが、古民家は一般住宅とは違い空間の広がりと、外観のデザインの統一感のあるところがいい」、酒井吉一さんは「伝建地区はまちなみを残すためにいろいろなルールがある。みんなでルールを守りながら、このまちなみを大切にして残していきたい」と話す。「NPO法人町なみ屋なみ研究所」が主体となって取り組んでいるのが「古民家再生プロジェクト」。町家が解体されまちなみが壊れるのを食い止めたい思いから設立。理事の才本謙二さんは「市民主導の古民家再生は、専門家の指導のもとにボランティアが作業。時間がかかり年に1、2件しかできないが、さまざまな効果を生み大変やりがいがある」と。ボランティア作業は月2回で解体や塗装など。プロによる裏技が伝授できるとリピートにつながっていると。再生した古民家は店舗などに生まれ変わる。また、西新町や南新町で繁茂した竹林も自治会などのボランティア作業により整備を行っている。近年は、市民主体による「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」などのイベント開催でまちの活性化にもつながる。伝建地区指定から10年の今でも地区住民のまちなみ保存の意識は高いという。小林会長は「みんなの協力によりまちなみが年々美しくなり、イベントなど行われるようになってきた。今はまだ大丈夫だが、次の次の世代になると篠山が自分の故郷という人が減ってしまうかもしれない。そうなるとこのまちなみを残していこうという意識が薄れてしまうかもしれないので、先の話だがみんなでいろいろと考えていかなければ」と話す。歴史・文化・食と魅力がいっぱい四季を通して城下町で行われる行事。春日神社の秋の祭礼は4基の神輿、9基の鉾山が城下町を巡行する様子は祇園祭を思わせる。古民家を利用したお洒落なカフェや雑貨店が増え、情緒ある城下町を歩きながら篠山の歴史・文化そして買い物が楽しめると観光スポットとして注目され、篠山市を訪れる人が増え、兵庫県でも有数の観光地の一つに。観光案内所では「ささやま聴き旅」が借りられ、専用スマートフォンを説明ボードに近づけると音声が流れガイドブックなしで気軽に散策でき、「まちなか観光案内所」の看板がある店舗などでは篠山の観光情報を教えてくれる。丹波黒大豆、栗、山の芋、ぼたん鍋など篠山の大地の恵みの特産物もある。小さいながら魅力がギュッと詰め込まれたまち。この機会に篠山市を訪れてみては。都市景観大賞「都市空間部門」 都市景観大賞「都市空間部門」は、良好な都市景観を生み出す優れた事例を選定し、その実現に貢献した関係者を顕彰し、広く一般に公開することにより、より良い都市景観の形成を目指すものです。「篠山城下町地区」は平成26年度に大賞(国土交通大臣賞)を受賞。左上からNPO町なみ屋なみ研究所 才本謙二さん、教育委員会社会教育・文化財課 成田雅俊さん、左下から篠山まちなみ保存会 副会長小林宗平さん、会長小林一三さん、保存会登録建築士 河南誠さん、酒井吉一さんおいしいものと見どころがたくさんの篠山へ遊びに来てね岩茶房丹波ことり…武家屋敷を改装。深い香りが楽しめる岩茶専門店栄亀堂…心地よくゆっくりとした時間が流れる素敵なカフェジャスミンティマ…庭を眺めながら落ち着いた雰囲気で食事を城下町の古民家カフェ

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