国土交通No.129
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5展していくなかでは、都市圏をつなぎ、より高い国際競争力を育む必要があります。2050年には、リニア中央新幹線の開業により東京圏・名古屋圏・大阪圏が短時間で結ばれ、6000万人圏という世界最大の「スーパー・メガリージョン」が誕生することに加え、メガリージョン全体で4つの国際空港、2つの国際コンテナ戦略港湾が共有されます。スーパー・メガリージョンは、世界から人・モノ・カネ・情報を引きつけ、世界を先導する国際経済戦略都市となるでしょう。この波及効果は日本各地に広がります。例えば、筑波研究学園都市と関西文化学術研究都市など知の創発拠点をつなぐことにより人・モノ・情報の高密度な連携を促進したり、リニア中間駅の活用で通勤圏が変わり、高度な都市生活と大自然に囲まれた環境が近接した新しいライフスタイルが実現したり、リニアと空港の役割分担により国際空港としての活用が広がることなどが期待されます。◦日本海・太平洋2面活用型国土 東日本大震災の際には、日本海側の道路・鉄道・港湾などが重要な役割を果たしました。東アジアやロシアの経済活動の活発化など、我が国の国土の地政学上の位置づけの変化も踏まえ、現在諸機能が集中している太平洋側だけでなく、日本海側も重視した交通基盤を整備・推進していく必要があります。◦田舎暮らしの促進 東京圏への人口の一極集中は全国の人口減少を引き起こす要因になっており、巨大災害が起きた場合、被害を増大させる危険もあります。こうした一極集中から脱却するためにも、地方への人の流れを促進する必要があります。近年、若者や女性の「田園回帰」と呼ばれる新たな人の流れが出てきています。また地方部には本来子育てに適した豊かな自然があり、大都市と比べて余裕ある空間と時間が広がっています。若者や子育て世帯における「田舎暮らし」の推進のため、「田舎探し」に関する情報の流通を活性化することも必要です。そして、受け入れ側の地方においては自らの地域を磨くこと、すなわち「田舎磨き」を積極的に行うことが求められます。まずは、それぞれの地域が主体的に自らの資源に磨きをかけていくことが個性に繋がってきます。そうした個性ある地域同士が交流・連携していくことで、今回のグランドデザインが目指す「対流促進型国土」が形成されていくものと考えています。グランドデザインの策定に当たり分析した人口関係の詳細な資料などをホームページでも公表しています。ぜひ、お住まいの地域が将来どうなっていくのか、今後どのような地域づくりが必要なのかを考える材料にしていただければと思います。また、グランドデザインを踏まえ、法定の国土計画である「国土形成計画」の見直し作業をしています。本年12月には中間取りまとめが出せるよう、スピード感を持って作業を進めたいと考えています。〈国土政策局総合計画課〉国土のグランドデザイン2050 ~対流促進型国土の形成~http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kokudoseisaku_tk3_000043.html「国土形成計画」の見直しの状況http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s103_kokudo_keikaku.html対流促進型国土の形成国土のグランドデザイン2050特集現在将来大阪圏名古屋圏東京圏リニア中央新幹線はメガリージョンの地下鉄~都市間旅行は都市内移動へ~情報ヒトカネモノ海外海外海外海外海外海外世界最大のメガリージョン国際ゲートウェイからのリードタイムがなくなり、巨大な商圏が形成クラウド型の巨大集積がイノベーションを起こす地下鉄(リニア)を降りてからのアクセス強化が創り出す、新しいライフスタイル・ビジネススタイル(もはやメガリージョン内の移動は出張ではない)メガリージョン内の拠点もネットワーク化とともに機能強化東京名古屋大阪南西日本との連携強化、国際ゲートウェイとの連携北東日本との連携強化、国際ゲートウェイ機能との連携高速道路を活用しない都市圏の中心市都市圏人口(万人)松江市2010年22.032.615.620.92050年米子市高速道路を活用都市圏の中心市都市圏人口(万人)松江市・米子市2010年56.037.32050年このままでは30万人都市圏が消えるネットワークにより30万人都市圏を維持交通ネットワークの活用による松江・米子都市圏の変化スーパー・メガリージョンのイメージ※2010年の人口は総務省「国勢調査」による。2050年の推計人口は国土交通省国 土政策局のメッシュ推計人口による。詳しくはホームページをチェック!

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