国土交通No.129
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7住促進という両面からコンパクト化を図り、効率性の高いまちづくりを目指しています。中心地と拠点を密に結ぶ公共交通のグランドデザインを策定各拠点間の連携を担う公共交通のグランドデザインも平成24年に示されています。中心市街地と15の地域拠点を結ぶ、鉄道・市電・幹線バスの8軸を「基幹公共交通軸」と位置づけ、輸送力・速達性・定時性の強化を図ります。また日常生活を支える足として発達した路線バスの再編・整備も大きな課題です。優先レーンや運行情報を得るためのバスロケーションシステムなどの高機能化に加え、各系統の役割の明確化や競合路線の効率化、時刻表の統一など、事業者の枠を越えた仕組みづくりが求められています。「自家用車の普及で利用者が減る一方で、将来の高齢化社会では公共交通の役割は増大するものと思われます。利便性を高めて利用者を増やし、効率化によって持続可能な仕組みを作ることが大切と考えています」(熊本市都市建設局交通政策総室 上村亮さん)さらにバス停から一定以上離れた公共交通空白地域や公共交通不便地域では、地域と連携したデマンドタクシー(予約制の乗り合いタクシー)やコミュニティバスなどの新たな公共交通を導入。現在、公共交通空白地域の未対応地区は、2地域を残すのみとなりました。こうしたまちづくりや公共交通の施策遂行には、未来を見据えた市民の理解が欠かせません。熊本市では、公共交通グランドデザインを具体的な形とするため、市民・事業者・公共交通事業者・行政の役割や責務を明確にし、協働で公共交通の利用促進に取り組むことを明記した熊本市公共交通基本条例を制定し、オープンハウスやリレーシンポジウムなどを開催。公共交通を基軸とした多核連携のまちづくりを目指し、時代に即した新しいまちへと変わりつつあります。海外からも熊本を訪れる人が増えています。その受け入れの場として中心市街地を充実させることで交流拠点都市としての魅力を高め、市や県全体への波及効果を狙っています」(熊本市都市建設局都市政策課 杉村洋輔さん)ほかにも、熊本城の復元整備や熊本駅舎および駅前広場の整備など、交流拠点都市としての利便性や魅力を高める計画が続々と進んでいます。住環境整備で居住を促進人口密度の保持で暮らしを守る中心市街地の再デザインに取り組むとともに、都市マスタープランでは目指すべき都市構造の実現に向けた基本方針として、「地域拠点などへの都市機能集積」「公共交通の利便性が高い地域への居住促進」などを示しています。地域の生活サービスの機能が充実した地域拠点では、人口減少下においてもにぎわいを維持するために、都市機能の維持・向上を促進する施策などを検討しています。加えて市電・鉄道・バスの鉄軌道駅やバス停周辺半径300~500mを居住誘導区域とし、魅力的な市街地の形成や公共交通サービスの拡充など、住環境を向上させることで子どもから子育て世代、高齢者といった幅広い世代のための居心地の良い空間創出を目指しています。このように人口密度の低下を回避するため、各拠点への都市機能集積とその周囲への居市電の新型車両「COCORO」はJR九州のクルーズトレイン「ななつぼしin九州」などを 手掛けた水戸岡鋭治氏のデザイン。1両ごとに異なる種類の木材を活かしたいすやテーブルなど、通常の市電とは異なる趣き対流促進型国土の形成国土のグランドデザイン2050特集公共交通軸生活拠点地域拠点地域拠点地域生活圏地域生活圏地域生活圏中心市街地地域拠点公共機能金融機能医療機能医療機能芸術機能交流機能業務機能業務機能商業機能公共機能金融機能商業機能公共交通機能公共交通機能(ターミナル)地域拠点間のアクセス交通(公共交通等)自転車・公共交通・自動車等徒歩・自転車等バス停等駅・バス停等多角連携都市づくりにおける居住促進エリア生活拠点生活拠点生活拠点住宅学校商店生活拠点住宅公民館生活拠点住宅診察所等学校熊本市が目指す多核連携都市づくりのイメージ

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