国土交通No.129
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8中山間地域対策課では、集落支援の一環として、住民主体で課題解決に向けた地域活動の拠点となる「集落活動センター」の設立や運営を支援。3年間で最大3000万円を助成するとともに、「高知ふるさと応援隊※」の導入など、地域外からの人的支援も行っています。「将来的には、行政だけでなく住民主体でNPOや農業協同組合(以下、「農協」)、商店などあらゆる関係者がスクラムを組み、地域活動を担う。そんな自立した仕組みとして実現させることが目的です」(前田課長)平成26年9月現在で14ヵ所が開所し、最終的には130ヵ所の設立を目指しています。その中から二つの地区の取り組みについて紹介しましょう。四万十市西土佐大宮の取り組み住民が出資して設立した「株式会社」で生活を守る愛媛県に隣接する四万十市西土佐大宮地区は、135世帯296人の山課題解決先進県として地域活性モデルの確立を目指す日本一森林率が高い高知県。県土の7%ほどの都市部に県民の半数強が集中し、中ちゅうさんかん山間地域では集落の小規模化や人口流出が進んでいます。高齢化も著しく、過疎地では二人に一人が高齢者という地域も増えてきました。この状況を受け、高知県では平成23年8月より集落調査を実施。その結果、集落維持の危機や生活環境の悪化、産業の担い手不足や野生鳥ちょうじゅう獣による被害など、多くの問題が明らかになりました。同時に地元に愛着や誇りを持ち、住み続けたいと願う人が多いこともわかりました。その「住民の思い」に応えようと、県では平成24年度より中山間対策の抜本強化を図り、多様化する課題に対して県庁内の複数部署が連携して解決に当たる舵取り役として「中山間地域対策課」を新設。集落支援と生活支援を政策の柱として、中山間地域の維持と活性化をサポートする施策を展開しています。「過疎化や高齢化は日本全体の問題です。こうした課題にいち早く直面した高知県が課題解決先進県となってモデルを提供できるよう、積極的に取り組んでいます」(高知県産業振興推進部 中山間地域対策課 前田和彦課長)間の集落。平成25年5月、ここに大宮集落活動センター「みやの里」が開所しました。この地区で、住民主体の地域活動のきっかけとなったのは、平成17年に農協が経営する生活店舗と給油所の廃止が決定したこと。危機感を持った住民の約8割にあたる108人が平均6万円を出資して、株式会社大宮産業を設立。農協から経営を引き継いで、人々の暮らしを支えています。「住民による住民のための会社として認知され、利用者が増えてきました。将来を見据え、自ら支えねばと考える人が増えたのでしょう」(大宮産業代表取締役・大宮地域振興協議会会長 竹葉傳さん)みやの里設立の際も、住民参加のワークショップを開催して意見を集め、「大宮地域振興協議会」を設立するなど、地域主体で進められてきました。課集落活動サポート生活支援サービス安心安全サポート健康づくり防災活動鳥獣被害対策交流・定住サポート農産物の製造販売特産品づくり・販売エネルギー資源活用住民主体の取り組み集落連携の仕組みづくり仕組みづくりのサポ-ト役高知ふるさと応援隊集落集落集落集落集落集落活動の拠点(旧小学校、集会所など)中山間地域対策課前田和彦課長地域ブランド米として大宮米の生産も盛ん。お米を使って地域ならではの弁当開発や米粉のお菓子なども作られている※高知ふるさと応援隊…総務省が推進する「地域おこし協力隊」・「集落支援員」を含む、高知県における地域活動の推進役となる人材の総称。高知県では平成24年度から、導入・活動・終了後にわたり、隊員や導入する市町村を総合支援している小さな拠点「協働の拠点づくり」を通じて住民力による地域活性化を支援高知県四しまんと万十市西土佐大宮地区・本もとやまちょう山町汗あせみかわ見川地区集落活動センターの概要

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