国土交通No.130
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10国土地理院が撮影している空中写真は、測量用航空機「くにかぜ」によって撮影したものです。現在の「くにかぜ」は三代目で平成22年より運用を開始しました。初代、二代目は海上自衛隊の協力のもと、双そうはつ発のビーチクラフト機で運航していましたが、三代目は輸送用にも使われる単発のセスナ機を導入し民間に運航を委託しています。搭とうさい載できる量は二代目と比較して300㎏増となり、機材もデジタル航空カメラに加えて、地表面を3次元で計測し、正確なデジタル標高地形図を作製するためのデータを取得する航空レーザ測量装置や火山を監視するための合成開口レーダー(SAR)も新たに搭載可能となりました。災害時の緊急撮影では撮影日と同日に公開することも「くにかぜ」の主な役割は次の二つに大別されます。◦災害時の被害状況を正確かつ迅速に収集・把握するための緊急撮影◦国土管理、電子国土基本図の整備・更新のための空中写真撮影このうち、災害時の撮影は緊急であるが故ゆえに、迅速な対応が求められます。過去10年で実施した緊急撮影は30回以上に及びます。平成26年8月20日に起こった広島市の大雨による被災状況撮影の際は、その日のうちに斜め写真の画像処理を行い、県や地方整備局など関係機関へ提供したほか、ホームページで公開しました。地図作製だけに限らず、災害時に現地の状況を的確に把握し、その後の救助・復旧の支援とするため、「くにかぜⅢ」の果たす役割はますます重要になっています。測量用航空機「くにかぜⅢ」360度全方位の状況を一気に調査車両の位置および姿勢データを取得するGNSS/IMU、光学オドメータ(走行距離計)、3次元座標データを取得するレーザスキャナ、画像データを取得する全方位カメラを装備し、運転と制御・記録の二人一組で走行しながら高精度な3次元座標データや画像データを取得します。全方位の画像が一気に取得でき、広範囲の調査を効率的に行えるほか、取得したデータから反射強度画像を作製したり、3次元点群データにデジタルカメラの画像データを貼り付けた3Dモデリングなどのデータ加工により、具体的に現状を把握することができます。震災の被害状況を迅速に把握国土地理院のMMS登載車両は、平成23年の東日本大震災後の仙台平野から三陸海岸までを走行し、瓦がれき礫や道路などの被害状況はもちろん、撮影された画像データから津波の浸水深・浸水高の計測も行いました。現在も基本図の更新において、新しい道路の図面が得られない、現地でなければ状況がわからないなどの際には出動し、活躍しています。MMSを搭載した車両取得した点群データ(イメージ)Mobile Mapping System:車載型画像計測システムMMS測量用航空機「くにかぜ」より正確な国土の形を測る! 最新測量技術大紹介!前方底部につけられたビデオカメラ機体の底に取りつけられた垂直写真撮影用カメラのレンズ部垂直写真を撮影するデジタルカメラ

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