国土交通No.130
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4国土の形を正確に捉え、暮らしや産業に役立てる地図を通じて社会に貢こうけん献。時代とともに役割も変化私たちの社会生活を支える最も基礎的な情報となる“地図”。国土地理院はその基礎となる基本測量を行い、わが国の基本図となる地図を提供しています。また、すべての測量の基礎となる位置情報(経度緯度、高さ)を与える国家基準点体系を整備・維持管理もしています。本院を筑波研究学園都市(茨城県つくば市)に置き、北海道から沖縄までの10カ所に地方測量部や支所があります。歴史は、明治2年に民みんぶかん部官に設置された庶務司戸籍地図掛を起源とし、当時は富ふこく国強きょうへい兵策のための地図作製を第一の目的に掲げていました。その後、太平洋戦争後には国土復興のため、高度成長期には国土開発のためと、時代とともにその役割を変化させながらも、国民生活や産業に深く関わってきました。防災や産業、国民生活のため地理空間情報の活用を促進現在は、国土の基準点整備・維持管理や基本図となる地図の作製などの業務に加え、平成19年に制定された「地理空間情報活用推進基本法」に基づく「地理空間情報の活用推進」が新たな重要業務となっています。地理空間情報とは位置(住所あるいは経度緯度、高さ)情報または、位置情報とそこに関連する情報のことで、一説には行政が提供する情報の約8割が該当するといわれています。さらに平成26年4月に策定された「基本測量に関する長期計画」では「防災分野を足がかりとした地理空間情報の全国レベルでの活用推進」と「新産業の創生や国民の利便性向上を意図した情報流通・活用の促進」を重要戦略として提示。迅じんそく速な基本図の更新・提供や緊急避難所記号の整備など「地理空間情報の整備提供」を進め、さらにインターネットを利用して地理空間情報を利用者に提供する地理空間情報ライブラリーなどの取り組みを進めています。産学官での共同研究や世界各国との技術連携も地理空間情報の活用においては、地図データの「電子化」が大きな変化をもたらしました。このため最新技術を駆使し、活用に関する知見やアイデアを共有・実用化すべく、産学官連携による技術開発や研究を積極的に展開しています。例えば、地震発生時に、保有する地形情報と気象庁の震度分布図から、各地域の地盤被害を予測するシステムもその一つ。また、いつでも、どこでも、誰でも多種多様な位置情報サービスを受けられるようにするため、場所情報コードを用いた屋内外のナビゲーションに関する研究などを実施しています。また、各業界で国際連携が進むなか、グローバル対応も重要な課題の一つ。平成14年に測量基準を世界測地系に移行、地球地図プロジェクトの推進、地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会(UNCEーGGIM)、国際VLBI事業(IVS)や国際GNSS事業(IGS)への参画、国際会議への参加、開発途上国への技術協力、JICA研修などさまざまな国際連携・協働を行っています。併設する「地図と測量の科学館」内に展示された明治10年代の東京中心部(皇居、日比谷、霞が関付近)変ぼうする国土の管理と地図を作る現場地図と測量の技術大紹介!特 集国土地理院ホームページ http://www.gsi.go.jp/
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