国土交通No.131
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8上、目視判断できない部分も実測データに基づいた根拠ある判断が可能となり、優先順位をつけた初動対応ができます。関係者へのレポートメール自動送信機能の装備や、「災害ポータルサイト」との連動により、より迅速で効果的な防災対応を可能にしています。また、高層建物に影響を及ぼしやすいとされる長周期地震動の有無を即座に判定できる独自の仕組みも開発。長周期地震動の成分を早期に検知し、揺れが大きくなる前に警告する機能を装備しています。災害を防ぐ、備える対策だけでなく、実際に起こった際にどう対応すべきか、さまざまな観点から、多くのオフィスワーカー、住民が暮らす複合都市を開発する同社の安全・安心への取り組みを行っています。ます。以前は水と乾パンがメインでしたが、震災の際、あまり食べられなかったことや震災後に各メーカーでおいしい非常食が開発されたことから、さまざまな種類の非常食に変更しました。また、食べものアレルギーの方向けや子ども・高齢者向けの食料も備蓄しています。一方で、平時からの訓練も重要と、定期的に震災避難訓練を行っています。森ビル全体では、毎年9月1日と1月17日(2015年は1月16日開催)に総合訓練を行っています。今年1月に行われた総合震災訓練には全社員約1300名が参加しました。これに加えて六本木ヒルズでは、毎年3月11日に「自助」・「共助」・「コミュニティの形成」を目的に総合訓練をしています。自治会と共同で実施しているこの訓練では、居住者やオフィスワーカー、店舗従業員、近隣町会や学校関係者など多くの方が参加します。さらに毎月の通信機器訓練やオフィス入居者を対象とした宿泊訓練なども行っています。「今後は、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ周辺の再開発との連携に力を入れていきます」(寺田さん)ソフトとハードの橋渡し「eーDaps」森ビルでは、独自に開発した震災時の情報収集システム「災害ポータルサイト」により、全管理物件の被害状況およびビル係員安否、エレベーター閉じ込め被害、備蓄資機材の情報を一元管理しています。2013年8月には、これと連動した地震直後建物被災度推測システム「eーDaps」を独自開発。地震による建物の被害状況を即座に推測するシステムで、森ビルが考える「安全・安心」なまちづくりにおけるハード・ソフト両面の取り組みを橋渡しする第3のシステムという位置付けです。このシステムは、建物の数フロアごとに設置している「地震計計測データ」と「建物固有の構造特性」を基に、各フロアの「揺れの加速度」と「建物変形」をリアルタイムに自動解析し、建物構造の被災状況を即座に一次判定。構造さまざまな種類の非常食、エアクッションなどを備えている。このほかに担架、発電機、投光機などの資機材や毛布、衛生品を備えた備蓄倉庫もある今年1月に行われた虎ノ門ヒルズでの避難訓練の様子。全社員約1300名が参加地震直後建物被災度推測システム「e-Daps」。どこのフロアに異常があるか、また危険かがすぐにわかるようになっている都市防災に対する民間事業者の取り組み◦食料水、非常用ライス、クラッカー、レトルト食品、缶詰、幼児用菓子など◦資機材AED、担架、発電機、投光機、油圧ジャッキ、スコップ、つるはし、ハンマー、のこぎり、斧、リヤカー、ブルーシート、ベニヤ板、角材、煮炊きレンジ、コンロ、炭、バケツ、拡声器、脚立、ポリタンク、簡易トイレ、難燃毛布、防寒シート、エアマット、トイレットペーパー、オムツ、ボディタオル、女性用衛生用品など各種医薬品森ビル株式会社の災害備蓄品

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