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18庶民のための器として親しまれてきた波佐見焼江戸時代、大阪の淀よどがわ川を行き来する舟の乗客に「飯くらわんか〜、酒くらわんか〜」と声をかけながら軽食や酒を売る商いが繁盛していた。使われた器は「くらわんか碗」と呼ばれ、飲食後は淀川へポイと捨てられた。その後、使い捨てされるぐらい安い日常食器を「くらわんか」と呼ぶようになる。波はさみ佐見は世界に類を見ない巨大な登のぼりがま窯やきもののまち、波佐見町を築き、くらわんかの大量生産を続け、それまで高価だった磁じき器を安価に提供し、庶民に広く使われるようになった。400年の時を経て受け継がれた伝統は〝クラシカルとモダン〞二つの魅力を備え、今でも日々の食卓を彩り、出荷量は美みの濃、有ありた田に次ぐ全国第3位である。暮らしの中に歴史や文化、やきものや農業の営みが息づく波佐見焼の郷さと・波佐見町は長崎県の中央部に位置し、緑豊かな山々に囲まれた盆地で、長崎県で唯一海に面していない「海なしまち」。やきものの他に農業も盛んで、のどかな田園風景が美しい所だ。歴史・文化のあるやきものの郷のまち並み、酒さかぐら蔵を始めとする歴史的建造物、山あいの棚たなだ田や茶畑、川沿いに広がる水田の風景。これら魅力ある〝波佐見らしい景観〞を未来につなぐため、住民や行政など地域が一体となって守り育てることを目指している。▲くらわんか碗。素早い筆使いで生き生きとした模様が描かれ、素朴な温かみが感じられる。

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