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05アップが不可欠です。例えば、一般的に女性への配慮と捉えられがちな清潔なトイレや更衣室がある現場は、女性だけでなく誰もが望むものではないでしょうか。また、我が家もそうですが、近年は共働き世帯や介護世帯が増えており、男女問わず仕事と家庭の両立環境整備が必要です。保育園への送り迎えに対応できるような勤務時間の見直しや、子どもの急病対応休暇に備えた周囲のバックアップ体制の整備など、ソフト環境改善を望む声があります。「女性が活躍できる建設業」を目指すことは、「男女問わず誰もが働きやすい産業」につながると思います。神澤 同感です。昔に比べて、今の若い男性は仕事だけでなく、家事も育児も参加したい人が多いように思います。こうありたいと思う生活スタイルを誰もが無理なく実現できる職場環境をつくるには、「女性が働きやすい職場」をつくることが一つの目指すべき道ではないでしょうか。また、女性が生き生きと働いている業界というのは、先進的で働く人に優しい業界というイメージを持たれると思います。運輸業界はやや粗野なイメージを持たれることが多いので、女性が増えることで業界のイメージアップにもつなげたいと思っています。実際の現場はとても優しい男性が多いのに、異なるイメージが強いのはもったいないですよね。女性が働きやすい環境を業界と共に整えることが不可欠̶どうしたら女性が増えると考えますか。神澤 まず、業界全体で女性を受け入れようとする意識がまだ低いこと、一般の女性がドライバーという職業をとてもハードルが高いと感じていることといった「意識」の問題をクリアすることが必要だと思います。そこで、国土交通省ではトラガールサイトの開設などを通じてPRを強化している他、あらゆる機会に事業者の意識改革に向けた啓発を行っています。また、トラックを停めて安心して利用できるトイレの少なさや、特に長距離輸送の場合に車内で寝泊まりするような勤務形態など、就業環境の改善が必要だと考えています。トイレ問題の改善を図るために、コンビニエンスストアやガソリンスタンドに協力を依頼している他、「安心してトイレを利用できる場所」という目印となるトラガールステッカーの普及に努めています。木村 まずは、皆さんに建設業が女性も活躍できる業界であることを知っていただくことが必要だと思います。経営者の方からは「女性を雇い育てても、辞めてしまうのではないか」という声を耳にします。トイレや更衣室などの環境整備に併せ、家庭と両立のできる働き方へのシフトや産休・育休制度の整備など、「女性が働き続けられる環境づくり」は中長期的に見れば女性だけでなく経営者にとってもメリットになるのです。こういった意識改革のもと、業界と一丸となって、できるところから環境を改善し、建設業の魅力や活躍する女性の輝きを発信し続けることが大事だと考えています。神澤 すでに女性が多く活躍する事業者からは、女性ならではの気遣いや高いコミュニケーション能力など、女性ドライバーを非常に高く評価する声が聞かれます。取引先との日頃のおしゃべりを通じて、新たな仕事を受注したといったように、営業面でもプラスに働いているといった事例もあるそうです。男性に比べて体力やパワーでは劣るかもしれませんが、フォークリフトなども積極的に使うことでハードルは越えられます。業界団体などと連携しながら、働きやすい環境整備に取り組んでいきたいと思います。̶男女差を感じさせない環境をつくり、業界を活性化させたいですね。トラガール促進プロジェクトhttp://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/現場で活躍する女性ドライバーの実際を数多く紹介。全国の女性ドライバーを応援、推進するプロジェクトの情報サイト。※肩書きはそれぞれ取材当時のものです自動車局総務課専門官 神澤直子全国各地のトラック事業者を訪ね、業界の現状を把握。初めてトラック事業者を訪ねた際、ドライバーの方々の優しさに感動し、業界の活性化に向けて全力を尽くすことを決意。日本経済を支える屋台骨であるトラック事業が、社会的に正当に評価されるよう、業界改革に平行して事業のPR活動に邁進中。05労働環境改善のきっかけに大型車は停車できる場所が限られるため、トイレ不足は死活問題。これには男性も悩んでいたが、女性の進出が課題を浮き彫りにした。一部の企業では業務用の地図に利用できるトイレを記載する工夫も生まれている。労働環境の改善は男女両方に恩恵をもたらす。トラガール(トラック+ガール)のシンボルマーク。女性ドライバーのトイレ利用を歓迎してくれる店舗・施設の目印としても活用されている。特集輝く女性の力

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