国土交通省No.134
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15張りの管制塔を見上げて、管制官になることを目指しました。「鹿児島空港で初めて管制官を務めたときの、パイロットと話した緊張、自分の指示通りに航空機が動いて離陸した感動は、やはり今でも忘れません。目立たない仕事ですが、興味を持つ若い人がいれば、ぜひチャレンジしてみてください」あらゆる手立てで安全を守り抜く福岡にはさらに、国内唯一の航空交通管理センター(A T M C:Air Trafc Management Center)も存在します。このA T M Cには、三つの役割があります。①日本が管轄する全ての空域を一元的に管理し、効率的に有効活用すること。②計画的に秩序ある航空交通の流れを作り、航空機の集中による過度な混雑を防止すること。③レーダーが届かない太平洋上を、衛星を利用して管制すること。ATMCの管制官は「管理管制官」と呼ばれ、ATMC運用室にはこの管理管制官の他に、他の航空局職員や気象庁職員、さらに自衛官も配置され、国内外の管制機関や航空会社との調整も含め、関係者との協調的な意思決定に基づいて航空交通全体の最適を図るべく業務が行われています。また、これらは危機管理にも対応した体制となっています。このATMCで主幹管理管制官を務める中なかしまたかよし島敬厳は、管制官歴約20年のエキスパートです。「福岡に住みながら北海道の台風が気になる」と笑う中島は、ATMCの役割を、空の「何でも屋」に近いと語ります。「混雑や悪天候などの理由で飛行計画上の経路や空域を予定通り通過することが困難になったとき、出発地で時間調整させるか、迂回させるか、あるいは空中で旋回待機させるか。航空機は空中で停止できませんから、我々はできるだけ早く状況に応じた解決方法を見つけなくてはなりません。そのためにあらかじめ多くの情報をかき集め、関連機関に問い合わせたり、協議したり、必要なら交渉もします。同じ状況というのは一日もなく、毎日新鮮でもあるし、緊張感のある仕事です」旅客機から貨物機まで、24時間体制で世界の人と物をつないでいる航空機は現代社会に欠かせない存在です。その舞台裏には緊密な連携プレーで、“安全な空の道”を切り拓き続ける管制官たちがいます。青空に白く伸びるヒコウキ雲は、管制官たちの努力によってつながれた“安全な空の道”が、浮かび上がった姿だといえるかもしれません。航空交通管理センター主幹航空交通管理管制官中島 敬厳平成6年旧運輸省入省福岡航空交通管制部主幹航空管制官荒木 直也平成9年旧運輸省入省福岡空港事務所航空管制官橋本 朱華平成24年入省航空交通管理センターの管制官(洋上管理)太平洋上の管制を行う。レーダーが届かないため、長年、短波の無線による音声を頼りに管制が行われてきたが、近年は衛星を使った位置情報や通信によって、ACCのレーダー管制に近い管制が可能になった。航空交通管制部の管制官空港と空港を結ぶ空を交通整理している。各管制官は自分の担当空域を持ち、航空機が隣接空域に入るたびにバトンタッチしながら進路の安全を守っている。管制官のいない小規模の空港を発着する航空機の管制も行う。大小さまざまな画面が並ぶATMCの運用室。太平洋上の管制を行う他、日本が管轄する全ての空域(福岡FIR)を最大限に有効活用できるよう自衛隊・米軍などと調整する「空域管理」や、交通量と管制官の処理容量を監視し過剰な集中が起きないよう出発時刻や飛行経路を調整する「交通流管理」を行っている。国土交通省公式 航空管制官ホームページhttp://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr14_000003.html

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