国土交通省No.134
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04建造量/万総トン円/ドルレート020004000600080001000011000平成 151923172125162024182226360300240180120600日本の造船と海洋産業のこれから海上輸送は日本の「生命線」私たちは、エネルギーをはじめ、生活物資の多くを海外からの輸入に頼っており、実に輸入貨物の99・7%(重量比)が海運によるものです。特に石油などのエネルギー資源においては、日本だけではなく世界的に海上輸送が重要な手段になっていて、世界の原油供給の約63%が海上輸送によっています。日本に近代的な造船技術が導入されたのは、幕末から明治初期にかけてでした。明治政府は海外から技術者を招き、各地に造船所を建設。明治9(1876)年には、造船所の民間払い下げが始まり、造船所は地域経済と密接に結び付く産業になりました。明治41(1908)年には、純国産技術による初の大型客船「天洋丸」を建造するまでに技術力が高まり、昭和31(1956)年には英国を追い抜いて建造量世界第1位になったのです。2000年代に入って建造量では中国と韓国に抜かれましたが、オイルショックや円高などの厳しい状況下にあっても、日本の造船メーカーは技術を磨き続けてきました。匠の技と最新技術を融合船の建造は自動化も進んでいますが、今でも「匠の技」は欠くことができません。船舶の船体は数千枚の厚い鉄板で形作られていますが、これらは「ぎょう鉄」と呼ぶ加工技術により、一枚ずつ手作業で複雑な形状に曲げられています。ガスバーナーを使って鉄を熱したり、水をかけて冷ましたりして、設計図通りに鉄をたわめるのは、熟練工でなければできない難しい作業です。自動車などに用いられる薄い鉄板はプレス加工で必要な形状に成形されますが、厚さが20㎜にもなる船体用の鉄板は、匠の技がなければ緻密な曲面に加工することができないのです。また、日本が世界一の造船国になる過程では「ブロック工法」のようなイノベーションがありました。ブロック工法は、プラモデルのようにパーツをあらかじめ組み立てておき、最後に船台の上でつなぎ合わせて船体を造る工法で、作業効率や品質を格段に高めました。近年では、IT技術を設計や工事管理に生かし、品質の高い船舶を低コストで建造することを可能にしました。現在でも日本は、新しい技術やイノベーションを生み出し続けています。世界の海で評価される日本の船舶船舶は安全性の他、燃費の良さなど経済性も重要です。低燃費は、CO2の排出量を抑えることにもつながり、地球環境に関心が高まる現在、ます海事局船舶産業課長大坪新一郎造船の受注は為替の変動の影響を受け、円安は受注増、円高は受注減に働く。造船所が船を建造し船主に引き渡すのは、受注してから2〜3年程度先であるため、円レート(折れ線)と日本の建造量(棒グラフの赤)の動きには時差が現れている。アベノミクスによる円高是正により、平成25年から受注は回復基調にあり、建造量は平成27年から増加する見込み。出典:建造量グラフ/ロイド統計より作成 為替レートグラフ/東京市場ドル・円レートより作成その他欧州韓国中国日本
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