国土交通省No.136
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12平成23年3月に発生した東日本大震災による大津波。沿岸の町として危機感を高めた吉田町は、このピンチをチャンスに変えるべく安全で活気あるまちづくりに挑んでいます。危機対応に長けた町長が見据える安心に暮らせるまちづくり駿河湾に面した静岡県榛はいばらぐん原郡吉田町。人口約3万人、面積約20㎢で、一級河川の大井川河口西岸に位置する町です。大井川が運んだ土砂が堆積して形成された扇状地を先人たちが開拓し、生活の場を広げてきました。これといった資源を持たない半農半漁の町でしたが、昭和30年代の初めから養よう鰻まん業ぎょうが盛んになり、鰻うなぎの生産高が日本一となりました。ところが、人工飼料が原因で鰻に病気がまん延したことから養殖も下火に。しかし、その養鰻池が荒れ新たな活用を図る必要に迫られていたこと、さらに、昭和44年の東名高速道路吉田IC開通も後押しとなり、企業の進出が進みました。このように、ある程度は豊かな町として静かなる成長を続けてきた吉田町に、強力なリーダーが登場したのは平成15年のこと。そのリーダーとは、現在4期目を迎えてますます精力的に活動する田村典彦町長です。吉田町に生まれ、幼い頃から地元を愛してやまない少年であった田村町長は、現在でも「私の趣味は吉田町」と言い切るほど町への強い想いを持っています。大学進学を機に故郷を離れ、災害への自覚が町を大きく変える15基のうち、5基は歩道橋型の津波避難タワー。何よりも人命を守るため迅速に建設する必要性を感じた町長のアイデアで、土地の取得などの手間がかからない全国初の道路上の津波避難タワーが完成した。道路法施行令の一部改正により、避難施設が道路上の占用許可対象物件として追加された。静岡県榛原郡吉田町
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