国土交通省No.136
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23に連携して機能するのを感じることができました。一瞬も無駄にできない、ひしひしとした緊張感はまさに現役時代の試合をやっているような感覚で、素晴らしい体験でした。40年の歴史を持つ特殊救難隊に殉職した方が一人もいないのは本当にすごいことです。こうした訓練を通じて大事なものが引き継がれているのだろうと、そう感じるものがありました。昨年の鬼怒川の決壊でも特殊救難隊の活動が報じられました。日本は災害が多く、今後もいつ何が起こるか分かりません。防災が進んでも、きっと彼らの仕事はなくならないでしょう。特殊救難隊はいわば日本のヒーロー、世界のヒーローです。私たち国民にとって本当にありがたい存在だと改めて感じました。(談)永島昭浩(ながしま・あきひろ)神戸市出身の元サッカー日本代表選手。サッカー解説者、スポーツキャスター。1993年に開幕したJリーグでは日本人選手初のハットトリックを記録。1995年の阪神・淡路大震災後は「神戸を勇気づけたい」と下部リーグだったヴィッセル神戸に移籍し、翌年のJリーグ昇格へ貢献。2000年の引退後はフジテレビを中心にテレビ番組のスポーツキャスターやラジオのパーソナリティーとして活躍中。青のロープは救助者を確保する隊員の降下用。オレンジは担架の吊り上げ用。白は担架にもう1本つないだ予備の安全用と、それぞれの使い分けを現場で決め、適切につなげる。「引けー!」の掛け声で足並みをそろえ、ロープを引く永島さん。ロープは滑車を利用して固定することで、2分の1、3分の1の小さい力で引くことができるが、逆に引く長さが2倍3倍になるため、滑車を利用し過ぎるとタイムロスとなる。固定する時点で現場の状況に合わせた判断が要求される。第三管区海上保安本部の横浜海上防災基地には特殊な救難状況を再現、訓練する施設が整備されている。海上のような複雑な波と風を再現できるA水槽(上)。深さ10mの潜水を行えるB水槽(左下)。C水槽(右下)では、沈んだ船底に水中で穴を開ける作業を訓練できる。約40分の救助訓練が終わり笑顔に。負傷者の救助後も、降下した隊員を引き上げるまで気を抜くことはできない。
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