国土交通省No.136
6/24
06航空機の量産に欠かせない「型式証明」とは?日本の長年の夢であった、YS–11に続く国産旅客機開発のプロジェクトを成功させるためには、MRJに十分な安全性があることを各国の航空当局に認められなければなりません。航空機技術審査センターでは、現在73名体制で、MRJの「型式証明」に向けた審査に当たっています。この型式証明とは、航空機の種類(型式)ごとに、設計および製造過程が安全性および環境適合性の基準を満たしていると証明するものです。型式証明を受けた種類の航空機は、出荷時に1機ごとに行う「耐空証明」の検査について、検査項目の大半を占める設計と製造過程があらかじめ確認・保証されることで、大部分を省略できるという制度になっているのです。国際的な責任の伴う仕事各国の航空当局は、設計・製造国の型式証明を基に、必要に応じて追加検査を行い、その航空機の運航を許可します。そのため、まず我が国が責任を持って型式証明を行う必要があります。型式証明書を交付するまでには、設計図面・解析書の審査、部品・システム・機体の性能・機能確認、試作航空機での地上試験・飛行試験といった、無数の検査や試験が必要です。新型の旅客機の場合、型式証明に必要な文書は2千から3千点にも上り、一つの文書で数ページのものもあれば、数千ページにわたるものもあります。その他の関連する文書なども合わせると、機体と同等の重さになるとも言われています。審査センターでは、申請者である三菱航空機が行った試験に対し、これまでに100回を超える立ち会い検査を行っ組み立ての現場で検査を行う審査担当者(写真中央)。組み立て中の試験機に対して、操縦系統の部品が設計データのとおりに機体に取り付けられているかなどを確認している。写真提供/三菱航空機MRJが世界の空を飛ぶためには、設計・製造国である日本が世界に対してその安全性をきちんと証明する責任があります。その審査業務に当たっている航空局航空機技術審査センターでは、三菱航空機と二人三脚の挑戦が続いています。国産旅客機の安全性を世界に証明するために
元のページ