国土交通省No.136
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たことに由来するのでしょう。1980年代になると無人の偵察機が開発され、1990年代には本格利用。GPSと衛星を使った画像のデジタル転送技術が発達し、無人偵察機の有効性が高まったのです。安価で操縦が簡単なドローンの登場民間での利用は日本が先駆けで、1980年代には農薬散布でラジコンヘリが使われるようになりました。日本は農地が狭いので、人が乗って操縦するには危険性が高く、効率が悪いためです。現在では2500機が登録・利用され、海外へも輸出されています。最近話題のドローンは、1990年代から研究されていましたが、普及のきっかけは2010年にフランスのパロット社が発売した玩具でした。タブレット端末で簡単に操縦がで軍事分野から誕生した無人航空機航空法における無人航空機とは「飛行機、回転翼航空機などであって人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの」と定義され、マルチコプター、ラジコン機、農薬散布用ラジコンヘリなどが該当します。最近私たちがよく目にする複数のプロペラを持つ「ドローン」は、マルチコプタータイプの無人航空機になります。無人航空機の歴史は古く1 9 3 0年代にさかのぼります。イギリス空軍が射撃訓練の標的として無人のラジコン機を実用化し、その後、アメリカ空軍も同様の訓練を採用して、そのラジコン機を「ドローン(drone:雄バチ)」と呼びました。おそらくイギリス空軍が無人標的機を「女王蜂」と呼んでいき、価格も数万円だったことから大きな注目を浴びました。その後、中国のDJI社が空撮もできる高度な機種を発売したことで一気に普及が広まったのです。撮影した動画をソーシャルメディアで公開する文化が盛んになったこともその普及を後押ししたと思います。保守点検や測量、物流の分野で実用化が見込まれるドローンドローンは今、さまざまな分野での活用が期待されています。まず、橋梁やダムなどの保守点検です。従来は点検のために足場を組み人が確認をしていましたが、空撮で大まかな状況を素早く把握し、効率的な保守点検を実施することが可能になります。さらにハンマーなどを搭載し、ドローンで点検を実施する技術も研究されています。最近、低空の空撮映像やニュースでおなじみとなっている「ドローン」。その登場によって私たちの暮らしと空の利用が変わりつつあります。ドローンの利活用を推進する一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長にお話を伺いました。空の可能性を広げる無人航空機一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長。東京大学大学院で「落ちない飛行機」について研究をしている。日本では右のような無人航空機がドローンのイメージとして定着しているが、海外でドローンと言えば主に左を連想し、右はマルチコプターと呼ぶ場合が少なくない。写真提供/一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)

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