国土交通省No.136
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09測量分野での活用も進んでいます。現在、空撮した画像から立体的な3次元情報を得るソフトウエアが開発されていて、この技術を応用すれば簡易的な測量が実施できます。また、防犯用としても有効です。大手の警備保障会社では、駐車場などの警備にドローンを使うサービスを発表しました。不審な車や人を認識すると、敷地内を自動で追い、車のナンバーや人相を撮影する技術です。従来の固定カメラより精度の高い警備が期待されます。その先に見込まれるのが、物流分野での活用。大手のインターネット通販会社では、ドローンで商品を配達するサービスを開発しています。ただし課題が多く、実用化までにはまだ時間がかかりそうです。物流分野では緊急輸送のニーズが大きく、災害時に通信が途絶えた集落に衛星電話を届けたり、離島に暮らす方に物資を届けたりする上で有効で、すでに一部の地方自治体では実用化に向けた実験が行われています。また、ゴルフ場などの広い敷地で心臓発作を起こした人を助けるためにドローンでAEDを届ける実験も東大で実施されました。構想段階の活用方法では、成層圏を飛行するドローンに通信の中継基地を搭載させる案があります。太陽電池で飛び続け、中継基地のないエリアに電波を届けるというアイデアです。この技術が実用化されれば、災害で携帯電話の基地局がダウンしても、緊急対応として中継基地の分布を変え、携帯電話回線を復旧させるといったこともできるようになるでしょう。技術の進歩と安全性の確保がドローンの未来を築いていくこうしたさまざまな活用を広げるためには、無人航空機のさらなる技術的進歩が必要です。ドローンの開発では、携帯電話用の小型リチウム電池が応用されたことが大きく、センサーやモーターなどでも他分野の技術が応用されています。ドローンの進歩は、こうした周辺技術にも支えられてきました。 無人か有人かに限らず、航空機はトラブルが発生しても、車のように簡単には停止できません。空で止まれば落下し、地上の人や物に危険を及ぼすことになるからです。従って、ドローンの健全な発展のためには、単に飛ばす技術の開発だけでなく、安全性を確保する技術やルールづくりも一体となって進めていくことが大変重要でしょう。人が近づきにくい場所の点検・調査高所や狭い場所、危険な場所などでのインフラ点検に。空撮による状況確認などで試験的に実施している例もある。空からの測量で建設工事などを効率化空撮による測量が高精度になると造成工事なども効率化できる。また、福島原発事故での空中線量の測定のようにドローンはさまざまな計測に応用できる。緊急や災害にも強い新たな輸送手段物流に応用するには積載量やバッテリー性能、安定した操縦、他機体との衝突回避など多数のハードルが残るが、期待は大きい。世界中の通信を結ぶ空の中継基地通信の中継基地としては、大型の太陽電池を搭載し、成層圏で数年間飛び続ける技術の研究も行われている。敷地内を自由に監視・追跡できる防犯装置として防犯として一定の領域だけを監視する場合はケーブルで電源を供給し、長時間運用することも可能である。さまざまな可能性が広がるドローンの活用
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