国土交通省No.138
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15船内のマットは南極仕様。ほかにペンギン柄も。「しらせ」に潜入!隊員たちの食堂。将棋大会が開かれるなどイベントも開催。馬場が過ごした部屋。「しらせ」では基本二人相部屋になる。転がらないように椅子は固定。船内では洗濯も可能トレーニングルームも完備航行中、アザラシやクジラが現れると船内放送が流れる。海上保安庁は第1次隊が乗船した南極観測船「宗谷」の運航から参加、第2次隊では海の観測にも携わり、本格的に継続観測を始めたのは第7次隊から。現在は、国際水路機関の南極地域水路委員会の要請に応じ、各国が協力して南極海域の海図を作製するべく、毎次1名を夏隊に派遣しています。第57次隊でも住吉昌直が参加し、観測に臨みました。「氷に覆われた南極海域の観測は難しく、観測できていない場所がいまだに多く存在しています。2014年︵平成26年︶には第55次隊を乗せた『しらせ』や、今年はオーストラリアの観測船など、近年も座礁する船舶が少なくありません。安全な航海に欠かせない海図を作製・更新するために、正確な海底地形や水深の調査が求められているのです」そしてもう一つ、海底地形データは地球科学の見地から南極の成り立ちを知る上で不可欠な基盤情報としても大きな価値を持ちます。「地上では光学衛星やGNSS︵※︶の普及で、地形は詳細かつ手軽に分かるようになりましたが、音波を使用する海底地形の観測は技術的に難しいのが現状です。しかし近年技術の進歩により、GNSS測位と高度な音響測深の組み合わせで海底地形を面的に捉えられる氷に閉ざされた南極の海で海底地形・潮汐を観測第57次南極地域観測隊(夏隊)海上保安庁 海洋情報部 技術・国際課 海洋研究室 住吉 昌直6月1日の「気象記念日」を祝うイベントはかまくらの中で。砕氷艦「しらせ」は海上自衛隊所属の自衛艦。物資や観測隊員の人員輸送のほか、観測支援のため、船内には観測設備も備わっています。隊員たちはオーストラリアで「しらせ」に乗船。行きと帰り(オーストラリアまで)の合計約3カ月を船内で過ごします。現在の「しらせ」は2代目。そのバトンをつなぐため、帰国後も馬場は南極観測と密接に関係する部署に所属し、現在越冬中の第57次隊や11月に出発する第58次隊が観測を継続できるよう日々業務に取り組んでいます。砕氷艦※ 全球測位衛星システム衛星から発信される電波を利用した測位方式。GPS︵アメリカ︶、GLO NASS︵ロシア︶、みちびき︵日本︶など測位衛星システムの総称。「しらせ」に潜入!「しらせ」に潜入!砕氷艦業務密着ルポシリーズFILE 39
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