国土交通省No.138
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19基地内を盛り上げる﹁イベント﹂の数々当然ながら、娯楽施設はゼロである南極。天候が荒れれば外にも出られません。そんな単調な生活の鬱々を吹き飛ばすため隊員たちによる企画が開催されます。中でも6月の冬至のころ、太陽の出ない「極きょくや夜」期間に行う「ミッドウィンター祭」は大掛かりで、南極にある各国の基地が同時期に開催し、さまざまなイベントで盛り上がります。隣の基地まで数百km離れているので行き来することはできませんが、各国の基地はお互いにグリーティングカードを交換します。その他、日本の四季を感じるひな祭りや七夕などの行事、『イベント係』が誕生会や球技大会を企画することもあります。「実は、滞在中に子どもが生まれ、たくさんの方にお祝いをしていただきました。出産に立ち会えなかったのは残念ですが、とてもいい記念になりました」暮らしを支える設営隊員彩りを与える生活係こうした快適な生活を支えているのは、隊員の約半数を占める「設営」の隊員。生活に必要不可欠な発電や通信、野外観測支援などのエキスパートです。「設営担当が支えてくれるからこそ、観測担当は仕事ができる。その感謝は常にありました」また、隊員も「暮らし」を快適にするために、任務とは別のさまざまな係につきます。前述した係以外に、入れたてのコーヒーや夏隊の南極生活は越冬隊に比べるとやや過酷。宿舎は越冬隊の居住棟から徒歩10分程度の場所にあり、2段ベッドの相部屋で荷物の置き場所にも苦労するほど狭く、他には共有スペース、洗濯物干場からなるシンプルなつくりです。「船酔いで大変でしたが住居としては『しらせ』の方が快適でした。夏隊は体育会系の合宿みたいな雰囲気でしたね」(住吉)「短い南極滞在期間に観測などやるべき事が多く、なかなか越冬隊と交流する機会が持てなかったので、週2回開放する管理棟のバーに出かけるのがとても楽しみでした」(下野)りや七夕などの行事、『イベント係』が誕生会や球技大会を企画することもあります。くさんの方にお祝いをしていただきました。出産に立ち会えなかったのは残念ですが、とてもいい記念になりました」氷上を削って行う「もっとも寒い(でも南極にとっては暑い時期)流しそうめん大会」56次隊のミッドウインターフェスティバル用のグリーティングカードはピッケルやルート旗などの道具を持って全員での記念撮影。各国の基地は数百kmと離れているのでメールで送りあう。基地滞在中に生まれた馬場の子どものお七夜を隊員総出でお祝い南極地域観測隊Vol.01スイーツを振る舞う『喫茶係』、映画を上映する『シアター係』、隊員の髪を整える『理髪係』などもあります。唯一全員が担当するのが『新聞係』で、毎週一人ずつその週の出来事などをまとめて貼り出します。「本棚には各年の新聞が保管されており、どれも人間味があふれていて親しみを感じました。私たちがつづった新聞もその中に加わると思うと、仕事とはまた別の感慨があります」 夏隊はまるで体育会系の合宿!?

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