国土交通省No.138
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政府は本年3月、今後の中長期的な観光政策である「明日の日本を支える観光ビジョン」(以下、ビジョン)を策定しました。ビジョンでは訪日外国人旅行者数を、2020年に4000万人、2030年には6000万人、訪日外国人旅行消費額を2020年8兆円(2015年は3兆4771億円)、2030年には15兆円を目指すとしています。また、安倍総理は「観光は、わが国の成長戦略の大きな柱の一つであり、そして地方創生への切り札であり、GDP600兆円に向けた成長エンジンでもある」と述べられました。政府一丸となって、観光を基幹産業へと成長させ「観光先進国」への新たな国づくりへ邁進します。ビジョンのポイント︵その1︶観光資源の魅力を極め、地方創生の礎にわが国には寺社仏閣、景勝地が全国にありますが、必ずしもその魅力を十分に外国の方々に伝えきれていません。例えば、日本人にはなじみの寺社でも、祀られているもの、人、創建の目的や背景などについて、外国の方々にも理解できる解説の工夫が十分でなく、深い関心、感動につながっていないなどの課題があります。ビジョンの目標に掲げた4000万人、6000万人といった多くの外国の方々が訪れ、またリピーターも増やさなければならない状況を踏まえれば、単に文化財、観光地を見せるだけでなく、観光客に分かりやすい解説や展示、案内の工夫により、観光資源の魅力を高めていく努力が必要となります。ビジョンでは、2020年までに文化財を核とする観光拠点を全国で200整備し、分かりやすい多言語解説など1000事業を展開していく予定です。また、主な観光地の街並みを美しくするため「景観計画」の策定にも取り組んでいきます。ビジョンのポイント︵その2︶観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に観光は旅行業だけでなく、運輸業、宿泊業、飲食業など非常に裾野の広い総合産業であるとともに、来訪者による新たな消費を呼び込むことが可能で、地域経済の自立を支える役割が期待できる産業です。しかし、観光産業に関する制度(通訳案内士、旅行業など)は60年以上前につくられたものが多く、例えば、通訳案内士は外国語を用いて、日本の歴史・文化の説明や景勝地の紹介を業とする資格ですが、訪日外国人旅行者の約7割が東アジアの方々である一方で、それに対応可能な通訳案内士は約16・7%と少なく、また、今後地方へも多くの観光客を呼び込む必要があることを踏まえれ日光東照宮宝物館では、東照宮の歴史や徳川家康の生涯をビデオなどで分かりやすく解説したり、全ての展示品に日本の歴史を知らない外国人でも理解できる英語解説がされている。このような工夫がますます必要となる。(写真提供:日光東照宮)通訳案内士の地域別・言語別登録者割合(平成28年4月1日現在、通訳案内士20,747人)都市部・地方部別登録者割合言語別登録者割合都市部75%地方部25%英語69%フランス語4.5%スペイン語3.9%ドイツ語2.8%中国語11.5%イタリア語 1%ポルトガル語 0.6%ロシア語 1.5%韓国語 5.1%タイ語 0.1%※ 都市部:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県※ 地方部:都市部以外の道県 (資料提供:観光庁)4
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