国土交通省No.138
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核となるキーワード 行政において、重要な3つの要素を紹介します核となるキーワード 行政において、重要な3つの要素を紹介します現在、各地域にある観光協会については、地域の観光イベントの企画や運営、広報などを行っていますが、一方で財源の制約や集客のノウハウが十分でないといった問題を抱えています。また、観光協会が運営する観光案内所では観光地図やパンフレットの設置、宿泊の手配などを行っていますが、スマートフォンなどの通信機器が普及した昨今は、旅行者自身が手軽に旅先での情報収集やネット予約などが可能であり、その役割が相対的に小さくなっている面もあります。しかし観光協会には、現地の人だからこそ知っている情報(例えば隠れた景勝地、美味しいと評判のお店など)も蓄積されていることから、これらを適切に提供することにより、観光地の付加価値を高めることが可能です。そのためにも、観光地「経営」の視点を取り入れ、持続的に収益を上げつつ、地域独自の魅力あるコンセプト策定、美しい景観形成、体験プログラム開発など、地域一体となって観光客のニーズに合ったサービスを提供するような組織に変わっていくことが重要です。例えば外国における先行事例として、DMO(Destination Marketing/Management Organization)という組織があります。カリフォルニア州ナパ郡のDMO「Visit Napa Valley」では、富裕層やイベントプランナーなどに応じたマーケティングを専門職員が主導して実施したり、レストラン、ワイナリー、輸送会社、ツアー会社などと契約を結び、一定の金額を徴収し、安定収入を確保することでさらなる事業を展開しています。その結果、ナパ郡の旅行者数は2005年(平成17年)470万人から2014年(平成26年)550万人に増加し、消費額も10億ドル弱から16億ドルに増加させた実績があります。観光庁では、こうした例も参考に国内におけるDMOの形成・確立を目指し、平成27年よりその候補となり得る「日本版DMO候補法人」の登録を開始し、本年5月現在、「(一社)せとうち観光推進機構」など81組織が登録されており、2020年までに世界水準のDMOを100組織形成しようとしています。また、これらの活動を担う人材育成も急務です。まずは、大学院段階(MBAを含む)に観光の中核を担うトップレベルの経営人材育成拠点を形成し、また大学の観光学部カリキュラム変革、観光分野の専修学校など高等教育機関と連携し、即戦力となる観光人材を育成していきます。日本版DMO交通事業者商工業宿泊施設農林漁業飲食店行政地域住民・二次交通の確保・周遊企画乗車券の設定・ふるさと名物の開発・免税店許可の取得・個別施設の改善・品質保証の導入・農業体験プログラムの提供・6次産業化による商品開発・「地域の食」の提供・多言語、ムスリム対応・観光地域づくりへの理解・市民ガイドの実施・観光振興計画の策定・プロモーション等の観光振興事業・インフラ整備(景観、道路、空港、港湾等)・文化財保護、活用・観光教育・交通政策・各種支援措置「観光地を経営する」視点での観光地づくり経営を担う組織形成と人材育成を推進日本版DMOVisit Napa Valleyのウェルカム・センター8
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