国土交通省No.138
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今後の観光施策の今、大きな転換期を迎えている日本の観光 「地方創生回廊」について安倍総理は、本年1月の通常国会での施政方針演説において「新幹線をはじめとした交通網で地方と地方をつなぐ地方創生回廊を創り上げていく」と述べられ、ビジョンでは「地方創生回廊の完備を通じて、ゲートウェイから地方と地方を結ぶ新幹線、LCCなどの長距離交通網を活用し、ゴールデンルートにとどまらず、全国をダイナミックに移動し快適な旅を実現する」と盛り込まれました。平成27年の訪日外国人旅行者数は1974万人ですが、その約6割が東京↓富士山↓京都・大阪といったゴールデンルートに集中しています。ビジョンでは訪日外国人旅行者数を、2020年に4000万人、2030年には6000万人との目標を掲げており、こうした高い目標を達成するためにも、ゴールデンルート以外の地域にも観光客に訪れてもらうことが重要です。具体的な対策として、これまで出発前に海外の限られた旅行代理店でしか購入できなかった「ジャパン・レールパス※」を日本到着後も購入可能とする他、新幹線開業、空路新設などに合わせた観光地周辺までの新たなアクセスルートの設定、観光地周辺での交通の充実、乗り放題きっぷなどの造成などに取り組むことにしています。このような取り組みを通じ、利用者にとって使い勝手の良い「地方創生回廊」の完備を実現します。休暇改革については、日本の労働者の年次有給休暇取得平均日数は8・8日、取得率は47・6%※で必ずしも高いとはいえません。併せて、国内旅行の需要は盆休みやゴールデンウィークなどの一部期間に集中するため、交通機関の混雑や道路の渋滞が発生、多くの観光地が混雑し、必ずしも快適な観光を楽しめていない状況があります。諸外国の休暇制度、例えばフランスでは、年間有給休暇は、就業日ベースで30日間取得可能で、このうち5/1~10/31の間に28日間、うち14日間は連続して取得させることが義務づけられています。また、オーストラリアでは、同一雇用主の下で1年以上勤務すると年間28日間の有給休暇が保証され、さらにその休暇に奨励割増金として、給与の17・5%分が休暇前に前払いされます(当該割増金は所得税控除対象)。加えて、10年以上勤務すると最低42日間、15年以上勤務すると91日間の有給休暇が保証されています。ビジョンでは、2020年までに年次有給休暇の取得率70%への向上を目指し、休暇取得の分散化を通じて、休暇の利用による観光の促進を図ることとしており、今後具体的な取り組みを検討していきます。東海道・山陽新幹線改札前に集まる外国人旅行者(東京駅にて)快適な旅を実現し、地方への旅行者の流れを創出する休暇取得の分散化を通じて、観光の促進を図る地方創生回廊休暇改革※JRグループ6社が共同提供する外国人旅行者向けパス。新幹線などが割安で利用でき、訪日外国人に人気のきっぷ。※厚生労働省 平成27年就労条件総合調査特集明日の日本を支える観光ビジョン「観光先進国」への取り組み9

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