国土交通省No.139
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わが国では平成22(2010)年の1億2806万人をピークに人口減少が始まっています。しかも少子化は深刻で、極めて速いペースで高齢化も進んでいます。これは今後、これまで日本経済を支えてきた勤勉で豊富な労働力が急激に減少することを意味しています。しかし人口減少下にあっても、社会のさまざまな「ムダ」(例えば道路移動時間の約4割が渋滞に費やされている状況など)を減らし、労働者の減少を上回る生産性の向上があれば、経済成長を続けていくことは十分に可能です。そこで国土交通省では大臣のリーダーシップの下、本年を「生産性革命元年」とし、省内に「国土交通省生産性革命本部」を設置。総力を挙げて「社会のベース」、「産業別」、そして「未来型」の三つの切り口から生産性革命に取り組んでいます。13の生産性革命プロジェクト社会全体の生産性向上へ生産性を向上させるためには、急速に発達しつつあるICT(情報通信技術)、IoT※、ロボット技術の活用など「未来型」の投資や新技術の活用が欠かせません。また、かつて東名・名神高速道路や東海道新幹線の全通が日本の高度成長をもたらしたように、都市部の渋滞解消による移動時間の短縮、事故や災害のリスクの低減など、戦略的な社会資本の整備や活用を通じた「社会のベース」の生産性向上に取り組むことも必要です。さらに、建設産業、住生活産業、造船業、物流産業、観光産業などの「産業別」の生産性向上も急務です。国土交通省では、「国土交通省生産性革命本部」において、すでに熟度が高いと思われる13のプロジェクトを選定しました。その一つ、「渋滞をなくす賢い料金」では、4月に首都圏で導入した新たな高速道路料金の効果として、首都高速の渋滞緩和、一般道の交通量の緩和、圏央道の利用促進が確認されたところです(6ページ参照)。6月2日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太の方針)や「ニッポン一億総活躍プラン」でも、生産性革命に向けた取り組みは、政府として取り組むべき課題として位置付けられています。国土交通省は、国民経済や国民生活の基盤である社会資本や観光、物流など、幅広い分野を担っています。「社会のベース」「産業別」「未来型」の三つの切り口から生産性向上に取り組むことで、未来を切り拓ひらき、希望を生み出すわが国経済の持続的で力強い成長に貢献したいと考えています。国土交通省生産性革命本部の様子(出典:内閣府・総務省統計局)生産性の向上こそ人口減少社会における"経済成長の鍵"となる総 論1980195004060801401201002020152060年人口65歳以上15-64歳0-14歳百万人国内の少子高齢化が課題2010年を境に人口減少局面へ日本における年齢別人口割合の推移4
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