国土交通省no141
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10下水で農業!? 植物園!?新たなエネルギーの創出と活用へ新潟県・長岡技術科学大学西川浄化センター(新潟県新潟市西区)では、下水処理水と外気の寒暖差、二酸化炭素やメタンガスなど、さまざまな下水道資源を活用して、植物栽培実験を行っています。こうした下水道資源全般を植物栽培に使う試みは、全国でも初めて。希少植物の保全や付加価値の高い農作物の生産など、実用化も視野に入れた取り組みに各方面から期待が集まっています。新潟県と長岡技術科学大学を中心に県立植物園や民間企業も参画下水道資源には、前述の下水熱やメタンガスの他、二酸化炭素(CO2)がありますが、CO2は植物の生育を活性化させるものであるにも関わらず、ほとんど活用されていません。また、その他の下水道資源も、活用には高い技術や用途の選定が必要となり、西川浄化センターでも多くの資源が活用されずにいました。一方、エコエネルギーの技術開発は目覚ましく、長岡技術科学大学資源エネルギー循環研究室では、姫野修司准教授のもと、バイオガス中のメタンとCO2を分離する分離膜の作製など多くのエコエネルギー技術を開発しており、実用化やデータ取得の場を探していました。そこで、同大学から新潟県に対して実験を提案したところ、下水道資源の活用において両者の思いが一致。さらにバイオガス発電機や温冷熱回収などの技術を持つ民間企業、植物の栽培技術を持ち絶滅危惧植物の保全を研究する新潟県立植物園、そして施設栽培技術の開発・改良の研究を行う農業総合研究所などが合流して、本年6月より、県の施設としては一番新しい下水処理施設である西川浄化センターにおいて「下水道資源・エネルギーを活用した植物栽培の実証実験」が開始されました。希少植物「梅花藻」や「山葵」特産いちごの「越後姫」がすくすく成長!?実際の研究施設の様子を紹介しましょう。まず一棟目のビニールハウスは、高原のような爽やかな空気に満たされた冷水栽培室。水槽には清流にしか育たない希少水草の梅ばいかも花藻が揺れ、奥のコンテナには冷涼な気候と水を好む山わさび葵長岡技術科学大学 姫野准教授汚泥処理処理水バイオガス電力電力電力水処理冷水冷水温水温水排気ガスメタンガスCO2CO2空調ファンコイルユニットハウス2棟(水草、熱帯植物)栽培環境制御型ハウスガスエンジン式バイオガス発電機気体分離膜CO2分離装置熱源槽ヒートポンプ下水熱回収装置熱交換器既設設備実 証 試 験 設 備事 例がすくすくと育っています。「下水熱から冷水を作り活用するのはあまり例がないと思います。この梅花藻は水槽ごとに、
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