国土交通省no143
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6ではなく、雨水の地中への浸み込みやすさ、地表面や地中を通って川に集まり、川に沿って流れ下る時間差なども考慮した3つの指数(土壌雨量指数・表面雨量指数・流域雨量指数)を用いて危険度を予測する方法に変更します。この方法により、雨量そのものを用いるよりも、大雨警報や洪水警報が改善します(図3)。❷ 過去20年以上のデータを基に、  基準値を設定洪水災害や土砂災害に対して警戒を呼びかける基準には、①で説明した通り雨量そのものを用いるのではなく、3つの指数を用います。3つの指数は、その値が大きいほど災害リスクが高まるという指標です。しかし、指数そのものは、あくまで災害リスクの高まりを示す“相対的”な指標であり、命に危険を及ぼすような“警報級”の洪水災害や土砂災害の恐れがあるかどうかを判断するには、これだけでは十分ではありません。そこで、過去の災害発生時の状況を過去20年以上のデータを基に詳細に調査し、例えば「流域雨量指数がこの数値を超えると重大な洪水災害がいつ発生してもおかしくない」といった基準値の設定を行いました。この方法により、指数が基準値に到達したかどうかに応じて、災害発生の危険度(重大な災害の恐れの有無など)を判断して色分け表示できるようになりました。❸ どこで危険が高まっているか  地図上で視覚的に知らせるこれからは洪水警報が発表された際、実際に河川の水位が上昇するよりも早い段階から「どの河川で洪水の危険度が高まっているか」が色分けされて一目で分かるようになります(図4)。岩手県岩泉町の小本川の水害では、河川の水位上昇が急激だったため避難の遅れにつながりました。今後は、雨量予測に基づく個々の河川における危険度の高まりを一目で確認できる「洪水警報の危険度分布」によって、この先に発生する災害の恐れを早い段階から予測し、迅速な避難を促せるようになると期待されています。また、「危険度分布」は、既に提供中の「大雨警報(土砂災害)の危険度分布」(土砂災害警戒判定メッシュ情報)の他、本年夏頃から「大雨警報(浸水害)の危険度分布」を提供する予定です。正確な予測情報を提供し的確な避難行動を促す基盤へこうした詳細な予測情報を基に、各自治体による、より迅速で的確な避難勧告などが実現されるとともに、国民の皆さま一人一人が、納得感をもって主体的に避難行動の判断をしていただければ、気象災害による被害を最小限に抑えることができると考えています。図3 雨水の振る舞いを総合的に予測し判断する図4 河川における危険度の高まりを一目で確認できる「洪水警報の危険度分布」※(小本川の水害時の再解析図。本年夏頃から気象庁ホームページで公開)※ 流域面積が大きく、洪水により大きな損害を生ずる河川については、指定河川洪水予報に応じて色分け表示されます。平成28年8月30日15時10分平成28年8月30日18時10分3時間後この時間帯の当該施設の状況(内閣府「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインに関する検討会」資料より)「急に水位が上がってきたため、管理者が利用者をベッドの上等に誘導したものの、その後、大量の水が一気に流れ込んできた。」多くの方が犠牲となった高齢者福祉施設多くの方が犠牲となった高齢者福祉施設洪水警報の危険度分布極めて危険非常に危険警戒注意今後の情報等に留意高低

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