国土交通省no143
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9特集防災情報を活用し 命を守る火山VOLCANO日本の活火山110のうち50の活火山を24時間観測日本にはたくさんの火山があります。そのうち、おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある110の火山が「活火山」です。気象庁は、この活火山を対象に噴火警報・予報を発表しています。噴火警報は、生命に危険を及ぼす火山現象の発生や、その拡大が予想される場合に「警戒が必要な範囲」を明示して発表しています。生命に危険を及ぼす火山現象とは、大きな噴石、火砕流、融ゆう雪せつ型がた火か山ざん泥でい流りゅうなど、発生から短時間で火口周辺や居住地域に到達し、避難するまでの時間猶予がほとんどない現象が中心です。気象庁では、110ある活火山の中でも、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性および社会的影響を踏まえて選定された50の活火山を常時観測しています。この常時観測火山については、噴火の前兆を捉えて噴火警報などを的確に発表するために、地震計、空震計、傾斜計、GNSS※4、遠望カメラなどの観測施設を整備し、火山活動を24時間体制で常時観測・監視しています。また、常時観測している50の活火山のうち38の活火山では、噴火警戒レベルが運用されています。噴火警戒レベルとは、火山活動の状況に応じた「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」を五段階に区分※5したものです。気象庁が噴監視カメラCameraGNSS傾斜計Tiltmeter空震計Low-frequencymicrophoneGNSS地震計Seismometer火警報などで噴火警戒レベルを発表すると、地元では予め定めた避難計画に基づいて噴火警戒レベルに応じた防災対策がとられています。御おん嶽たけ山さんの噴火災害を踏まえた取り組みの推進平成26年9月の御嶽山の噴火では、死者・行方不明者が63名に上るなど、大きな人的被害が発生しました。この災害を受けて現在、火山観測監視体制の強化や火山情報の改善などを進めています。平成28年4月には、新たに気象庁本庁に「火山監視・警報センター」を、札幌、仙台、福岡管区気象台に「地域火山監視・警報センター」を設置しました。また、噴火警戒レベル1および噴火予報に用いていた「平常」というキーワードは誤解を生じやすいため、活火山であることを適切に理解できるよう「活火山であることに留意」と表現を改めました。さらに、平成27年8月からは、登山中の方や周辺に住んでいる方に、火山が噴火したことをいち早く伝えるため、噴火速報の発表も始めています。噴火速報は、気象庁のホームページの他、テレビやラジオ、携帯端末などでも知ることが出来ます。110ある活火山は、穏やかに見えても「活火山」であることに違いはありません。併せて観光や登山目的で多くの方々が楽しむ山でもあります。訪れる際は、火山防災マップを見て、あらかじめ避難場所を確認しておき、噴火予報や噴火警報、噴火速報に注意することが大切です。※5 詳細は気象庁HP「噴火警戒レベルの説明」をご参照ください。 http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/ level_toha/level_toha.htm常時観測活火山の一つ浅間山山頂部の噴煙の状況。同山は火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続している(平成29年3月3日時点。写真は同年1月18日撮影)。火山の連続監視のイメージ図※4 Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム火山監視・警報センター
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