国土交通 No.145
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16ば、比較的取得の容易な5、6級の海技免許で船長になれますが、遠洋まで航海する総トン数5千トン以上の大型船の船長になるには、最上級資格である「1級海技士(航海)」の海技免許が必要です。このように航行海域が広くなり、船舶も大型になるほど、高度な知識や技量が求められるようになっています。うか。この「大型船舶」とは、総トン数20トン以上の船のことを指します。漁船や貨物船、客船など、どんな船であってもこの大きさを超える船に乗り組む場合には、海技士の資格である「海技免許」を持っていなくてはなりません。また、この免許は国際条約(STCW条約:船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)に基づいた国際的に通用する船員資格です。そして、船舶にはいろいろな職種の人々が乗り組んでいますが、この中で、船長や航海士、機関長や機関士、通信長や通信士といった、船のさまざまな仕事の責任者を務める人たちが「船舶職員」と呼ばれており、「海技免許」が必要となっています。彼らを補助する役割の人たちは、甲板部員や機関部員と呼ばれており、それぞれ法律で決められています。職種や航行する海域によって必要な資格が細かく決められている船舶の航行する区域や大きさによって、必要とされる海技士の資格も細かく決められています。例えば日本沿海を航行する小さな船舶なら「海技士」「水先人」Vol.0820トン以上の船舶の職員になるために必要な国際的な船員資格「海技士は、大型船舶の船舶職員として乗り組むときに、必ず必要な船員資格です」と言われても、一般の方は何となくぼんやりしたイメージしかわかないのではないでしょ船長職員部員(船舶の最高責任者)(各種業務の責任者)(各種業務の補助)無線部職員(通信長、通信士)事務部職員(事務長)甲板部員(操舵手、甲板員)機関部員(操機手、機関員)事務部員(司厨長、サービスクルー)医師 など船長甲板部職員(航海士)機関部職員(機関長、機関士)船舶職員(海技士であることが必要)船員法による分類船長、航海士の資格1~6級海技士(航海)1~6級海技士(機関)1~3級海技士(通信)1~4級海技士(電子通信)機関長、機関士の資格通信長、通信士の資格独立行政法人海技教育機構の練習船「銀河丸」ブリッジにおける航海科実習生の実習風景独立行政法人海技教育機構の練習船「日本丸」エンジンルームにおける機関科実習生の実習風景「海技士」ってどんな仕事?海技士の資格周囲を海に囲まれた日本にとって、船舶は物資や人を運ぶ重要な手段です。それだけに、船舶の乗組員にはおのおのの持ち場にふさわしい能力が求められます。海技士資格は、そうした船舶の乗組員のうち、特に重要な役割を担う船舶職員に必要な知識や技術を細かく体系化し、国家資格として定めたものです。一般の方はあまりなじみのない資格ですが、船舶職員にとって必須の「海技士」、そして船長のアドバイザーとして船を目的地まで案内する「水先人」について紹介します。船舶の運航、安全な着岸に必要不可欠な資格!「海技士」「水先人」になるには?

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