国土交通 No.145
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20になった。経営は赤字続きで、指定管理料0円という条件であったが、「OH!!鰐元気隊」の役員会で「私たちがやらなければ」と満場一致し、「OH!!鰐元気隊」発起人のうち家族の同意が得られた者9人で出資し、まちづくり会社 「プロジェクトおおわに事業協同組合」を設立し、指定管理者へ応募した。「プレミアム付き温泉入浴前売券の売上と、組合費を合わせ1000万円ちょっとの運転資金でスタートしました。金融機関からの借入金なしでスタートし、今までも運転資金の借り入れはしていません。奇跡の無借金経営です」(相馬さん)。 町から引き継ぐ際に、従業員を全員再雇用し、社員のスキルアップ研修を徹底して行い、“意識改革”に取り組んだ。ほかにも、売店を改装し、お土産屋から産直市場へ変更するなどハード面の変更も行った結果、指定管理初年度から黒字経営を達成した。「鰐come産直の会」も立ち上げ、従前全くお金にならなかった規格外の野菜などを販売した。鰐come内だけではなく、首都圏へも出荷しており、本年度は売り上げが4000万円を超える見込みで、町の経済に好循環を生みだしている。「鰐comeは、常に世界一を目指しています。地域一番ではダメで、隣町に良い施設ができると負けてしまいます。定休日も朝礼を行い、清掃と従業員のスキルアップ研修を継続して行っており、企業として当たり前の事をぶれずに行っています」(相馬さん)。また、町の伝統野菜「大鰐温泉もやし」のブランド化に取り組み、成果を挙げている。このような取り組みが評価され「平成28年度地域づくり表彰国土交通大臣賞」を受賞した。「しいたけ」や「山菜」などの旬の地元産野菜「茶臼餅」や「マルシチの味噌」などの大鰐名物平成28年12月に「大鰐温泉観光案内所」を開設。左から、観光コンシェルジュの藤原さん(地域おこし協力隊)、山田さん、藤森さん朝礼から1日が始まる。売り上げ報告のほか、「あっち向いてほい」や、隣の人の良い所を褒める「いいねータイム」の時間もあり、従業員がリラックスして笑顔で仕事にとりかかれるようになる。ほかにも、「今日は何の日」を従業員全員で共有し、お客様とのコミュニケーションのきっかけにして、お客様を名前でお呼びできるようにしている。産直・売店「メルカート」大鰐温泉観光案内所大鰐町地域交流センター鰐come 温泉熱と温泉水のみを用いる独特の栽培方法により、少なくとも350年以上前から栽培されてきた伝統野菜で町の特産品。長さが30cm以上もあり、独特の芳香とシャキシャキとした歯触り、味の良さ、品質の高さで人気が高く、優良な大鰐産品の先せん兵ぺいである。 作り方は、一子相伝で代々受け継がれてきたが、生産者が一時期4軒にまで減ってしまったことから、町が2005年から後継者確保に乗り出し、現在7軒で栽培している。主に冬期間の栽培だったが、現在は、2軒の農家が通年化にチャレンジしており、一層のブランド化、増産に取り組んでいる。昔ながらの土耕栽培。原料は、大鰐町にだけある品種「小こ八はち豆まめ」。一度栽培に使用した土は、土の栄養分を補強するため、温泉をかけて1年間寝かせる。大鰐温泉もやしラーメン。近年は、イタリアン、フレンチの食材としても使われている。大鰐温泉もやし

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