国土交通 No.145
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北木島大飛島小飛島六島真鍋島白石島高島笠岡市岡山県9特集人が結ぶ離島岡山県西南部の笠岡市沖、瀬戸内海の中心に浮かぶ笠岡諸島。大小30の島々のうち、高たか島しま・白しら石いし島じま・北きた木ぎ島しま・真ま鍋なべ島しま・大おお飛び島しま・小こ飛び島しま・六む島しまの七つの有人島をつなぐ交通手段は船のみで、離島ならではののんびりとした空気が流れています。古くは海上交通の要衝として栄え、穏やかな自然環境のもと、多彩な伝統文化・歴史を刻んできました。しかし、生活環境の厳しさや産業の衰退なども相まって、この10年間で人口は3割強も減少するとともに急速に高齢化が進んでいます。こうした中で島の暮らしを守ろうと「NPO法人かさおか島づくり海社(がいしゃ)」の活動が島々をつなぐ取り組みを行い、さらに各島で住民の自発的な活動としてまちづくり協議会が立ち上がり、島おこしの気運が高まっています。「NPO法人かさおか島づくり海社」は、平成28年秋に国土交通省が主催する「しまっちんぐ」にも参加しました。今回は白石島、北木島、大飛島、六島の4島を訪ね、それぞれの島の活動や笠岡諸島一体となった取り組みについて紹介します。都会からの大学生が島を活性化インターンシップ事業を継続して実施住吉港から普通船で1時間、笠岡諸島の最南端に位置し「灯台と水仙の島」として知られる六島では、六島まちづくり協議会の企画のもと、大学生が約1カ月間滞在しながらまちづくりを提言する「六島インターンシップ事業」を実施しています。滞在の世話をする三宅千代美さんは、大阪から島へ嫁いで子どもを育て、地域のまちづくり事業に参加しています。平成24年から8回の開催を通じて、空き家の調査や灯台と水仙の観光資源化、びわ茶などのお土産づくり、地域交流の場「島小屋」や花見スペース「ちぇあパーク」の整備など、次々とインターンシップ生がプロジェクトを完遂するのを見守ってきました。取材時は、六島まちづくり協議会の「六島水仙植えるカムツアー」の準備中で、「島の高齢化が進む中、『六島ファン』の方々の手を借りながら、少しでも長く続けていけたらと思います」(三宅さん)。●七つの島からなる笠岡諸島では、急速な人口減少・高齢化への対策のため、各島の特徴を生かした島おこしを実施。●観光だけでなくインターンシップ生とのまちづくりや、私立高校の通信制コースのスクーリングの場として若者との交流を進めている。●各島の暮らしのサポートや産業開発などをNPO法人が中心となり、島民の声を聞きながら連携して進めている。ここがポイント!島と島をつないで瀬戸内の七つの島が思い描く離島の未来事例2空き家をリノベーションして作られたゲストハウス「島小屋」も、インターンシップ生の発案。六島まちづくり協議会の事務所でもあり、地域の交流の場にもなっている。目視による空き家の調査結果を反映した島の集落模型はインターンシップ生が作製。壁にはこれまでの活動が紹介された壁新聞が掲示されていた。「今も第二の故郷といって顔を見せに来てくれる子もいます」と話す三宅さん。笠岡諸島(笠岡市)・岡山県六島

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