国土交通 No.147
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6国内最大級のドック新設や溶接ロボット開発などで国際競争力向上今いま治ばり造船株式会社丸亀事業本部(香川県丸亀市)i-ShippingProductioni-Shippingの政策のもと、ITの導入による造船ドックのスマート化や、生産設備の自動化などの技術革新が急速に進んでいます。こうした中、新造船建造量で国内トップの実績を誇る今治造船株式会社では、国内で17年ぶりとなる大型ドックを新設しました。また複数の溶接ロボットが連携して動くAI(人工知能)システムの開発などの試みを通じて、国際市場における日本の造船業の競争力向上を目指しています。海外とのシェア争奪戦に向け効率化と技術革新を新ドックは今治造船の丸亀事業本部(香川県丸亀市)に建設され、本年9月に竣工式典が行われました。このドックは長さ610m、幅80m、深さ11・7mと国内最大級の規模を誇り、船体の長さが400mに達する超大型船を、次船の後ろ半分と同時に建造でき、高い作業効率と最新の設備を有しています。国内最大級のドックを新たに建造した狙いについて、同社代表取締役/専務取締役である檜ひ垣がき和幸さんは、「海外との競争に打ち勝ち、顧客の要望に応え、地域で安定した操業を続けるためには、常に高い船型開発力や生産性に加え、顧客のご要望に的確かつスピーディーに対応できる建造体制づくりが必須です。当社では新しい船せん型けい開発センターの建設や自動溶接ロボットの開発なども進めており、このたび竣工した大型コンテナ船のロット建造にも対応できるこの新ドックは、新造船マーケットや顧客要望が大きく変わった事に対応したものです」と語ります。船会社の要望に応え新ドックを建設国内9カ所の造船所を駆使し、さまざまな種類の船を同時に建造する同社が超大型コンテナ船の建造体制の強化に本格的に取り組み始めたのは平成25年。この頃から多くの船会社の要望もバラ積み運搬船中心からそれ以外の船種に要望が多様化したことや、コンテナ船の大型化が進んだことが背景にあります。「特に短期集中建造が求められる超大型コンテナ船は、比較的近年に大型造船所を立ち上げた韓国や中国でしか対応できないと思われていましたが、当社が日本初の超大型コンテナ船(14000個積み)5隻を、ひとつの工場で連続建造し、わずか半年間で5回転というスピードで建造・引き渡しを繰り返したことがきっかけとなりました。この実績が広まり、日本の造船所で対応できるなら日本で建造したいと超大型コンテナ船のロット商談を幅広く頂けるようになりました」(檜垣さん)。その後、さらに大型の20000個積みコンテナ船をロット受注したことから、長さ610mの超大型船用ドックを丸亀事業本部に新設することになりました。巨大クレーンが作業の地上化を推し進め、生産効率が大幅に向上国内最大1330トン吊りゴライアスクレーン3基を有する最新鋭ドックが誕生しました。「顧客の要望に対応すべく超大型船を建造できるドックが竣工しましたが、全体として増産を目指すわけではありません。また、今は超大新ドック完成と同時に進水する長さ400mの20000個積みコンテナ船今治造船株式会社代表取締役/専務取締役檜垣和幸さん事 例

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