国土交通 No.149
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14して表示したもの)を確認しながら、パイロットへ指示を出し、計画どおりに撮影を済ませていきます。刻々と変わりゆく上空の状況に応じて、臨機応変な対応が求められるため、パイロットとのコミュニケーションは、ミッション成功のための重要なポイントの一つです。1回のフライトは平均すると3時間程度ですが、雲や光の状態でうまく撮影できない時や、周辺を飛行するほかの航空機の状況によっては、上空で旋回しながら待機することもあります。また、撮影地区が広い場合や、複数の地区を連続して撮影する時などもあり、長い場合は5時間以上地上に降りてこられない日もあるといいます。場合によっては、後日へ仕切り直しになることも少なくありません。撮影の計画から仕上げまで一つの地区でおよそ1カ月にわたる作業降機後、「本日は良い写真が撮れました」と笑顔を見せる南。この日は2時間のフライト予定でしたが、天候条件も良く順調に撮影することができ、1時間半ほどで完了しました。原田は「昨年は天候が良くない日が多くて苦労しました。計画に沿って行いますので、一番気になることは天候です」と話します。機動撮影係の業務は、年度計画を基に各地区の撮影の計画を立てるところから始まります。計画された撮影範囲をくまなくカバーできるように、航空機のコースと撮影ポイントを組み立て、パイロットと相談しながら、計画をブラッシュアップします。「計画から撮影までに3週間くらいかかります。撮影後、データの画像処理を行い、成果物として整理するまでで1週間。撮影以外は基本的に一人で作業を行い、複数地区での撮影が並行して進んでいますので、それほど単純にはいきませんが、一地区の撮影に1カ月ほどかかります。」(原田)。撮影した写真データは、SSD(Solid State Drive)と呼ばれる記録装置に取り込まれます。これを降機時に機内のカメラから取り出し、本院にある解析用パソコンにダウンロードして画像処理を行った後、検査します。「撮影直後のサムネイル表示では確認できなかった雲やハレーション※などが映り込んでいる場合があります。また、地面に雲影が入っていないかも確認します。これらを“障害”として記録し、再撮影が必要なものとそうでないものに分けます。写真を検査した後、成果物として整理するところまでが、機動撮影係の業務です」(南)。※ 特に強い光が当たった部分の周囲が白くぼやけて写る現象撮影後、画像が保存されたSSDを取り出す原田。このあと本院で画像処理作業が行われる。機上では分からなかった薄雲が原因で、障害として記録された写真(写真上)と再撮影後の写真エンジンの音などにより声がかき消されてしまうため、マイク付きのヘッドホンを装着して、会話する現地確認や当日の天候を記録するため、デジタルカメラでの撮影も行う取材時の飛行経路(青線)と撮影位置(赤点)を画面に表示したもの。撮影後は作業時のGNSS衛星の受信状況に問題がないか、解析した結果が規定の制限値内に収まっているかどうかなどの確認も行う。機内に設置されているモニターには、今回撮影する地区の計画が示されており、現在位置もリアルタイムで表示される。このモニターを見ながら撮影記録を取っていく。

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