国土交通 No.149
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15乗務員の安全管理も大切な仕事機動撮影係は、国土地理院の中で人数が最も多い係です。通常の撮影業務を行うほかに、災害時の空中写真撮影も対応します。災害が起きたときにはすぐにフライトしなくてはならないので、土日祝日も当番を決めて緊急時に備えています。南は業務にあたって、安全管理を最優先していると語ります。「災害現場での撮影は、どうしても、もっと多くの情報を届けなければという気持ちから、前のめりになりがちです。私たちの仕事は、撮影担当職員だけでなく、パイロットや整備士など、さまざまな人が関わっています。全員が無理しすぎないように、安全面での注意には特に気を付けています」。また原田は、「天候に左右される業務なので、日程の再調整も視野に入れながら、任務を遂行することに気を使います。日本全土が撮影範囲なので北海道から沖縄までフライトしますが、災害時の緊急出動にも対応できなければいけません。機体や人員のマネジメントも含めて考える必要があります」と語ります。西之島の撮影は新たな国土を測る仕事地図作成の起点となる機動撮影係の業務は、責任も重いですが、やりがいも大きいと二人は話します。「入省以来、現場で地図作成に関わってきましたが、自分が担当した地図が公表されたときにやりがいを感じます。現在は空中写真の撮影に携わっているということで、やりがいもより大きくなっています」(原田)。平成25年11月から噴火が始まり、島の地形が大きく変化した東京都小笠原村の西之島では、現在、およそ1年の間隔で、「くにかぜⅢ」による空中写真撮影と解析が行われています。本年1月に行われた撮影には原田も参加し、新たな国土の変化を捉えられることの喜びを感じたと話します。日々の撮影が国土の記録“地図に残す仕事” のやりがい機動撮影係のほかにも南は、緊急撮影係、三次元地理情報係、写真図係を統括しています。小学生の頃から地図を眺めることが好きだったという南は、「飛行機にも気象にも関われる画像調査課の業務が本当に楽しいです。空中写真撮影業務は、これまで積み重ねてきた経験や日々進歩する最新の技術、そして、運航会社の安全な運航と着実な整備があってこそ成り立つものです。日々撮影しているものが、その時点の国土の情報として残る。国土の記録が国の財産になっていくところが、大きなやりがいです。“地図に残す仕事”だと思っています」と話します。国土地理院が明治以来150年にわたって積み重ねてきた膨大な地理空間情報は、地理院地図にまとめられています。パソコンやスマートフォン、タブレットから無料で利用することができ、常に最新の情報が反映されています。「空中写真は、地図を作る過程の一部でもありますが、デジタル画像解析により、撮影した瞬間の三次元の正確な位置が与えられます。一人でも多くの人に活用していただくため、その価値が十分生かされるような活用方法を提案できるよう日々の業務を行っていきたいと思います」(南)。昭和35年(1960年)から続く空中写真撮影。日々変わりゆく国土を映し出し地図に残す任務は、これからも続いていきます。地理院地図 https://maps.gsi.go.jp/地理院地図について、144号23ページでもご紹介しています。業務密着ルポシリーズFILE 50機動撮影係長原田 知明画像調査課 課長補佐南 秀和雲もなく視界も良好だった空中写真撮影(くにかぜⅢより取材班撮影)

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