国土交通 No.149
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19産となっており、これらは市内3カ所にある道の駅や観光施設などで購入できる。広域で連携した観光首都圏からの国内旅行者を中心に年間約400万人が訪れる北杜市だが、さらなる観光客誘致の取り組みとして特に力を入れていることが、長野県の富士見町、原村と連携した「八ヶ岳観光圏」の形成である。「観光圏」とは、自然・歴史・文化などにおいて密接な関係のある観光地を一体とした区域であり、区域内の関係者が連携し、地域の幅広い観光資源を活用して、観光客が滞在・周遊できる魅力ある観光地域づくりを促進するものである。現在、全国で13の地域が観光庁から認定されている。八ヶ岳観光圏の事業推進母体となっている一般社団法人八ヶ岳ツーリズムマネジメント小林昭治代表理事に伺った。「八ヶ岳観光圏の特徴は、上層部には主峰である赤あか岳だけや権ごん現げん岳だけなど鋭く切り立つ峰々、下層部には東西約31㎞、南北約41㎞と広大なスケールの裾野が広がり、『山岳』『高原』『里山』『田園』とそれぞれのエリアが特徴を持っているところにあります。圏域内の約1000mの標高差を車で30分ほどで移動できる『標高1000mの立体空間』のため、花や新緑・紅葉などが織りなす日本の四季を同時に2シーズン味わうことができます。また、過ごしやすく優れた自然環境や景観の中で、青空や星空の魅力を提供できるエリアでもあります。首都圏から約2時間という距離も魅力となっています」。八ヶ岳観光圏は「1000mの天空リゾート八ヶ岳~澄みきった自分に還る場所~」をブランドコンセプトに掲げ、さまざまな取り組みを行っている。その一つに「標高サイン」の掲示がある。これは、観光施設や地元の商店など2000カ所以上の至る所にその場所の標高を掲示して、来訪者や地域住民自らが八ヶ岳観光圏のコンセプトである標高1000mの立体空間(標高差)を体感してもらう試みである。また、この圏域は1月中旬から2月中旬にかけて特に冷え込みが厳しいため、来訪者が少なくなる時期である。弱みであるその寒さを強みと捉え、毎年開催されているのが、その日の気温で割引率が変わる「寒いほどお得フェア」である。観測点(北杜市の清里駅前観光案内所)の朝10時の気温に応じて対象商品が、5~0・1度の際は10%、0~マイナス4・9度の際は30%、マイナス5度以下の際はなんと50%も割引になる。「圏域内の飲食店など75店舗が参加しており、今や風物詩ともいえるイベントとなっています」(小林代表理事)。他にも、八ヶ岳の満天の星が織り成す星空をナビゲーターが案内する「スターオーシャン八ヶ岳」など、圏域ならではの魅力を体感できる滞在コンテンツやプログラムの造成も行っており、「対面での聞き取りで実施した来訪者満足度調査の結果、満足度は88・1%、再来訪者の割合(2回以上)も78%と高くなっています。美しい自然環境や景観の中で、青空や星空をぜひ見に来ていただきたいです」と小林代表理事は語る。世界的な名水の地を目指す平成26年6月に、人と自然の共存活動に率先して取り組んでいる地域として南アルプスがユネスコエコパークに登録された。この登録を機に、北杜市と水資源の保全活動を積極的に行う企業が互いに手を結び、南アルプス地域を起点に「世界に誇る水の山」としてその価値を世界に広め、市民と共に地域活性化を目指していく、ブランド推進プロジェクト“世界に誇一般社団法人八ヶ岳ツーリズムマネジメント 代表理事 小林 昭治さん北杜市の特産品八ヶ岳観光圏の中でも多くの方が訪れる山梨県立「まきば公園」「寒いほどお得フェア」はテレビでも紹介された圏域内の各所に掲示されている「標高サイン」八ヶ岳観光圏
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