中国地方開発促進計画(第四次)

〜多軸・分散型発展を先導する中国〜


 中国地方開発促進計画は、中国地方開発促進法に基づいて作成される総合的な計画です。この度、第4回目の計画が国土審議会中国地方開発特別委員会の調査審議を経て、平成11年3月30日に閣議決定されました。その内容を紹介します。



−目      次−




第1章 計画策定の意義と計画の性格

  1 計画策定の意義

  2 計画期間

  3 計画の性格

  4 計画の推進

第2章 中国地方の新たな発展の基本方向

 第1節 中国を取り巻く状況

  1 国土の中での中国

  2 これまでの中国

  3 これからの中国

 第2節 新たな発展に向けた基本方向

  1 21世紀における新たな発展の基本理念

  2 新たな発展を実現するための重点課題
   (1) 都市の分散型分布を生かし、域外にも開かれ、連携・交流する中国を創造
   (2) 多様な主体の参加と連携により、多自然居住地域の創造を先導
   (3) 産業技術集積を生かし、創造的な産業社会への転換を促進
   (4) 世界に貢献し、交流する中国を実現

第3章 参加と連携による重点課題への対応

 第1節 対応に当たっての考え方

  1 多様な主体の主体的参加

  2 広域的な発想の下での連携による展開

  3 投資の重点化・効率化

  4 他の計画・施策との連携

 第2節 重点課題に沿った主要施策の展開方向

  1 都市の分散型分布を生かし、域外にも開かれ、連携・交流する中国を創造
   (1) 地域連携の基礎となる都市の分散的発展
   (2) 縦横に展開する地域連携軸の形成
   (3) 多軸・分散ネットワーク型発展を支える交通・情報通信基盤の強化

  2 多様な主体の参加と連携により、多自然居住地域の創造を先導
   (1) 自立できる多自然居住地域の創造
   (2) 安全でうるおいのある空間の形成

  3 産業技術集積を生かし、創造的な産業社会への転換を促進
   (1) 産業構造の転換・高度化と新産業の創出・振興
   (2) 農林水産業の高度化と基盤整備

  4 世界に貢献し、交流する中国を実現
   (1) 地域資源を生かした世界に開かれた交流と貢献
   (2) 国際交流を支える拠点の整備



−本      文−




第1章 計画策定の意義と計画の性格

1 計画策定の意義

 中国地方開発促進計画は、時代の要請に応えながら、中国地方開発促進法に基づき逐次策定されてきた。前回の計画は、第4次全国総合開発計画に示された多極分散型国土形成の理念に即しつつ、90年(平成2年)に策定されたものである。その後、基盤整備の進捗などを背景に、広島を始めとする地方中枢・中核都市が人口・諸機能の集積の面で拠点性を高めつつあり、また、流出超過が続いていた中国地方全体での人口移動もここ数年流出超過幅が縮小基調で推移しているなど、一定の成果をあげてきた。
 翻って国土をめぐる諸状況をみると、歴史的に大きく転換しようとしている。心の豊かさ重視、自然再認識などの国民意識の大転換や、地球時代、人口減少・高齢化時代、高度情報化時代の本格的な到来に適切に対応し、来るべき21世紀の新しい国土づくり、地域づくりを目指していくことが求められている。このため、新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン−地域の自立の促進と美しい国土の創造−」が策定され、一極一軸型の国土構造から多軸型の国土構造への転換と、その実現に向けた基礎づくりの方向が示されたところである。この理念に即しつつ、中国地方を取り巻く経済社会の諸情勢を踏まえ、中国地方の新たな発展に向けた戦略的な対応を図っていくことが必要となっている。
 また、生活行動や経済活動が広域化するとともに、地域の今後の発展にとって必要なサービスや機能は、より一層高度化し、しかも選択の幅の広い多様性に富んだものとなることが求められている。こうした状況に効果的かつ効率的に対応していくためには、既存の行政単位の枠を越えた広域的な発想が重要である。人口減少や地域間競争の高まりの中で、今後の地域づくりに当たっては、このような広域的な発想の下で地域の連携による各種施策の展開を積極的に推進していく必要がある。
 こうした要請に適切に応えていくため、長期的かつ総合的な観点から中国地方の今後の発展の基本方向を展望し、重点的に取り組むべき戦略的な対応の方針及び大綱を明らかにする中国地方開発促進計画を、新たに策定するものである。

2 計画期間

 本計画の目標年次は、概ね2010〜15年(平成22〜27年)とする。

3 計画の性格

 本計画は、中国地方開発促進法に基づいて、全国総合開発計画と地方公共団体が自主的に策定する構想、計画との間に立って作成した中国地方に関する総合的な長期計画である。新しい全国総合開発計画の理念に即しつつ、地域の意見や構想等を踏まえ、中国地方を一体とした広域的な観点から作成した。
 もとより、中国地方の発展は、国、地方公共団体に加えて、民間事業者、ボランティア団体、地域住民等多くの主体の取組によって達成される性格のものである。特にこれからの地域づくりは、「参加と連携」の下で地域が自らの選択と責任で行うことが基本となっていくが、その実現に際して効果的と考えられる各種施策を総合的かつ計画的に展開していくためには、地域づくりに参加する様々な主体が、地域の発展方向に関する認識を共有していくことが重要である。
 こうした観点から、本計画は、中国地方の発展を促進するために必要な国及び地方公共団体の事業実施の基本となるとともに、地方公共団体が独自に事業を実施するに当たっての指針となり、また、地域振興を図る上での民間にとっての指針及び地域住民等による自主的な地域づくりにとっての指針となることが期待される。

4 計画の推進

 本計画の実施に当たっては、その基本性を確保しつつ、中国地方を取り巻く内外の情勢変化や動向に柔軟に対応しながら、計画の実効ある推進を図っていく必要がある。
 このため、国土審議会中国地方開発特別委員会は、毎年中国地方の発展状況及び施策の実施状況の点検を行うものとする。また、特に計画期間の前半は構造改革期であり、経済、財政等の状況を始め、その進展状況を踏まえ、時代の変化に対応し、必要に応じて適宜見直しを行うものとする。

第2章 中国地方の新たな発展の基本方向

第1節 中国を取り巻く状況

1 国土の中での中国

 中国地方は、本州の西南方に位置し、近畿地方と九州地方の間を繋ぎ、日本海を通じて海外に直接開かれた地理的状況にある。また、瀬戸内海を挟んで、四国との繋がりも深い。
 面積は全国比8.4%に対し、可住地面積が同6.6%と狭く、人口は6.2 %、総生産も5.8%と、全国の6%前後の人口、産業規模となっている。
 中国地方は、多様で豊かな自然に恵まれた地域である。北は砂丘等の変化に富んだ海岸線を有する日本海に、南は静穏で多島美の瀬戸内海に面し、内陸部は、分水嶺を挟んで地形の異なる中国山地が東西に貫通している。また気候も総じて温暖である。
 中国地方については、地方中枢・中核都市を始めとして、歴史や個性の異なる様々な都市や地域が適度に分布する分散型の地域構造である点が大きな特徴となっている。瀬戸内海沿岸部においては、平坦部を中心に比較的大小様々な規模の都市が数多く連なりながら展開し、他方長い海岸線上に狭小な平坦地を持つ日本海沿岸部及び中国山地内陸部において、中小都市が適度な間隔で点在している。
 さらに、中国山地を中心に全国で有数の高齢化・過疎化地帯が広がっており、中国地方は、四国地方についで高齢化比率が高い地域である。島根県の高齢化比率は21.7%(95年(平成7年))と全国で最も高い。
 また、中国地方における中間農業地域と山間農業地域とを合わせた地域は、市町村数で約77%(90年(平成2年))と全国平均の55%を大きく上回っており、いわゆる中山間地域が多い。

2 これまでの中国

 中国地方は、我が国の古代史において独自の文化を彩る出雲国や吉備国に遡る歴史を有している。日本海を隔てて大陸と近接し、瀬戸内海等を通じて九州、四国、近畿地方とも隣接していることから、古来より「中つ国」と呼ばれ、文化、経済その他各種分野において中国大陸や朝鮮半島と京都・大阪を結ぶ回廊、言い換えれば、日本海及び瀬戸内海の水運並びに陸上交通の要衝として重要な役割を担ってきた。中世においては、石見銀山から産出された銀が海外に貨幣として流出しており、近世においては、たたら製鉄による鉄が、北前船で大阪に運ばれ、鉄器に加工後全国に販売されていた。こうした中で、伝統工芸、地場産業(和紙、そろばん、畳、筆、ヤスリ等)などの高度な技術も蓄積されてきた。また、幕末・明治維新期に多くの人材を輩出するなど、数多くの歴史的、文化的遺産が各地に分布している。
 東西の交通路として栄えた瀬戸内海沿岸部は、近代になってからも、海運の優位性を生かし、基幹的な鉄鋼、造船、化学等重化学工業が立地し、我が国の一大工業地帯として高度成長を支えてきた。近年では中国縦貫自動車道の開通によって内陸部に企業立地が進み、日本海側地域にも電気・電子機械関係の企業進出が進んでいる。
 製造品出荷額の全国シェアは、70年代後半も8%前後を保っていたが、80年代前半から年々シェアを下げ、80年代後半からは、概ね7%台前半の推移が続いている。97年度(平成9年度)は6.9%である。
 域内総生産の産業別構成では、重厚長大型産業に代表される第2次産業への依存度が高く、雇用環境の改善が進まないことや、自動車など輸出依存産業において過去の円高のダメージ等からの回復が遅れていることなどの課題を抱えている。
 中国地方におけるサービス業の総生産及び従業者数の伸び(91年度(平成3年度)/85年度(昭和60年度))は、それぞれ全国における同期間の伸びよりも低かった。また、中国地方においても、サービス産業の生産は順調に伸びているが、人口は全国の6.2%を占めているのに対して、情報サービス業、物品賃貸業及び広告業の年間売上高は、それぞれ全国の2.6%、3.9%及び2.3%(96年度(平成8年度))しか占めておらず、中国地方におけるサービス産業の集積度合いは低い。
 なお、一人当たり県民所得でみた所得格差も、域内産業経済の動向を映じて、70年代半ば以降拡大傾向で推移してきたが、90年代以降は、バブル崩壊による影響を受けた大都市圏の所得が低迷したこともあって、格差拡大に歯止めがかかり、95年度(平成7年度)には、中国地方の1人当たり県民所得は対全国比92%となっている。
 中国地方においては、75年(昭和50年)に山陽新幹線が全線開業となり、高速道路も83年(昭和58年)に中国縦貫自動車道が全線開通して九州地方と近畿地方を結ぶ東西間の高速交通の太いパイプがまず形成された。93年(平成5年)には山陽自動車道がほぼ全線開通し、東西を結ぶ2つめの高速道路が完成した。一方、南北方向についても、91年(平成3年)に中国横断自動車道広島浜田線が開通した。さらに97年(平成9年)には中国横断自動車道岡山米子線が開通し、日本海から太平洋まで高速道路で直結することとなった。このように梯子型の高速道路網の整備が進展しつつあり、中国横断自動車道岡山米子線の開通にあわせて開催された山陰夢みなと博覧会に域外から多くの人が訪れたように、新たな交流の増大をもたらしている。ただし、日本海側における東西間などの高速交通体系整備が遅れ、域内の循環面でも依然弱さが残っている。また、東西間の高速交通体系の整備は、物流分野等における中国地方の媒介機能を高め、経済発展につながっている半面、近畿、九州の両地方に挟まれて、自立的な機能の発揮に伸び悩んでいる面もある。
 生活関連社会資本の整備の面では、道路の舗装率等は全国平均を若干下回るものの、住宅の持ち家率は高く、直近年次における人口1人当たりの水準で見て、住宅面積、病床数等で見た医療施設、図書館、美術館、博物館等文化施設も全国平均よりは多い。しかし、公共下水道の普及率(対人口)については、近年急速に全国との格差が縮小しつつあるものの、39%(96年度(平成8年度))と全国平均の54%よりも低い水準にとどまっている。
 また、大学進学率は高いが、中国地方内の大学(含む短大)の収容倍率は、75%(96年度(平成8年度))と必ずしも高くはなく(大学収容倍率=中国地方内大学の入学者数/中国地方内高校出身者の大学入学者数)、中国地方内高校出身者の相当割合が中国地方外の大学へ流出している。

3 これからの中国

 心の豊かさ重視、自然再認識などの国民意識の大転換や、地球時代、人口減少・高齢化時代、高度情報化時代の本格的な到来など、我が国を取り巻く時代の潮流が大きく転換しつつある。これらの変化は、いずれも、これからの中国地方に大きなインパクトをもたらす。特に次のような環境変化は中国地方の発展の行方に大きく係わってくる。
 第1は、人口減少・高齢化が全国に先駆けて進行していくと予想されることである。中国地方の高齢化率は18%(95年(平成7年))を超え、人口減少市町村も79%(95年(平成7年))に達するなど、全国に先駆けて高齢化と過疎化が進行している。特に中国山地や瀬戸内海の島しょ部においては、地域の基幹産業である農林水産業の不振や後継者不足、耕作放棄地の増加等により、公益的機能の発揮が期待される森林、農用地の適正な管理が困難となってきているなど深刻な課題に直面しているほか、集落の存立自体も危ぶまれる地域もみられる。
 こうした人口減少・高齢化によって、コミュニティの維持が懸念される地域が拡大するとともに、労働力供給の減少、貯蓄率の低下、医療・介護負担の増加等を通じて、経済的な活力の低下や投資余力の減少がもたらされる面がある。他面では、高齢化には社会参加の意欲も高く、自由度の高い生活を享受できる人々の増加から、経験豊かな人材や新たな需要を生み出すといった積極的な側面もある。
 高齢者が安心でき、暮らしやすい生活環境を整えていくとともに、性・年齢にかかわらず社会に参加し活躍できる地域社会を実現していくことが必要である。また、高度情報化時代の到来を生かしつつ、技術革新の促進などを通じて生産性の一層の向上を図っていくことも課題である。さらに、人口減少・高齢化の進行とともに地域間競争も活発化する中で、多様なニーズに応え、質の高い自立的な地域社会の形成を図っていくためには、既存の行政単位の枠を越えた広域的な発想の下で地域が連携して課題に対応していくことが重要であり、また、若年層を中心とする定住人口の確保とともに、今後は他の地域との交流に着目した交流人口の増大という視点が従来以上に重要となる。
 第2は、瀬戸内海を越えて日本海と太平洋が直結し、中四国の近接性、連結性が本格的に高まる時代となってきたことである。
 すなわち、瀬戸大橋が開通して10年後の97年(平成9年)に中国横断自動車道岡山米子線が開通し、日本海と太平洋が高速道路で直結したのに加え、99年(平成11年)には尾道・今治ルートの開通によって、中四国地方の近接性、連結性が一段と高まってくる。
 一方、中四国地方には、外海である日本海、静穏な多島美の瀬戸内海、荒々しい太平洋と、なだらかな中国山地、急峻な四国山地という性格を異にする変化に富んだ豊かな自然があり、それを背景とした個性ある歴史、文化、さらには産業集積が存在している。
 中国地方の今後の発展にとっては、このような中四国地方の近接性の高まりと地域の多様性の豊かさを生かして、「環三海二山交流圏」と捉え、中国地方と四国地方との機能分担と連携により、一体的な発展を図っていくという視点が重要である。
 
第2節 新たな発展に向けた基本方向

1 21世紀における新たな発展の基本理念

 20世紀の我が国は、欧米諸国へのキャッチアップ過程の中で経済の量的拡大を優先して発展を遂げ、生活水準も大幅に向上した。この結果、我が国は地球社会のフロントランナーの一員となり、また個性の尊重と多様性の重視という観点に立って、人の活動と自然の調和を含めた質的向上を目指す段階に入っている。環境が強く意識される21世紀においては、経済的な豊かさと共に精神的な豊かさを味わうことができる、ゆとりと美しさに満ちた暮らしを実現し、新世紀にふさわしい新しい文明を創造していくことが期待されている。
 こうした中にあって、中国地方では、瀬戸内海工業地帯の形成に代表されるように20世紀型の都市、産業文明とともに発展してきた側面を有するが、一方では、その波に洗われることが比較的少なかった地域が、山陰・浦富海岸等の豊かな自然や、瀬戸内・竹原の町並み等伝統文化を始めとして、多く残っている。また、近年では、各地域で国際交流が世界各国との間で行われるとともに、ボランティア団体の活発な活動により拠点整備が進むなど住民参加の地域づくりが先導的に行われてきた。
 こうした状況を長所と捉え、中国地方を我が国の21世紀の新たな発展を切り拓くフロンティアとして位置づける。
 その目指すべき姿は、
@ 変化に富んだ豊かな自然と魅力ある大小様々な都市が重層的に共存し、ゆとりと利便性をあわせ享受することができ、人々の価値観に応じて多彩な生活や就業が可能な中国となっていくこと、
A しかも活力があり、また世界に開かれ、貢献・交流する中国となっていくこと
 である。
 その実現を目指し、中国地方が有する個性とポテンシャルを戦略的に発揮し、多様な地域が連携・交流する多軸・分散ネットワーク型発展により、中国地方が機能分担の下に一体となって、21世紀における我が国の多軸型の国土構造の形成を先導する役割を担っていく。

2 新たな発展を実現するための重点課題

 こうした基本理念の下で、中国地方を取り巻く今後の経済社会情勢の潮流や抱える諸問題に適切に対応し、計画期間中に21世紀の新たな発展に向けた基礎を築くべく、以下の4つを重点課題として掲げ、戦略的かつ重点的に施策を展開する。
  @ 都市の分散型分布を生かし、域外にも開かれ、連携・交流する中国を創造
  A 多様な主体の参加と連携により、多自然居住地域の創造を先導
  B 産業技術集積を生かし、創造的な産業社会への転換を促進
  C 世界に貢献し、交流する中国を実現

 これらを通じ、長期的に、日本海国土軸、西日本国土軸が形成されていく。
 また、中国地方の人口は、少子化等の影響から計画期間中に減少局面へと移行し、高齢化が一層進行していく。総人口は、2000年(平成12年)前後に779万人程度でピークを迎え、2015年(平成27年)には761万人程度になると見込まれる。2015年(平成27年)においては、老年人口比率(65歳以上)が27%程度(老年人口207万人程度)にまで上昇し、一方、生産年齢人口比率(15〜64歳)は59%程度(生産年齢人口445万人程度)へと低下するとみられる。しかしながら、我が国の高度成長期に中国地方の総人口が減少した局面と異なり、中国地方の総人口の全国シェアは低下に歯止めがかかっていくとともに、海外を含め、域内外との交流人口という面では増大していくと期待される。
 経済面では、今後長期的に着実な成長を続け、依然残る全国との所得格差についても、生産性の向上を通じて縮小されていくことが見込まれる。なお、産業構造は、経済のサービス化の進展等により、第3次産業の比率がさらに上昇を続け、職業別就業構造では、直接生産職の比率が低下を続ける一方、専門・技術職の比率が上昇していくとみられる。

(1) 都市の分散型分布を生かし、域外にも開かれ、連携・交流する中国を創造
 人口減少・高齢化や地域間競争の高まりの中で、中国地方において、地域の自立を促進するとともに、人々の価値観に応じて選択可能性の高い暮らしが可能な社会を構築していく上では、各地域が広域的な発想を持って資源、魅力を共有し、相互の機能分担と連携を進め、地域間で、人、物、情報の活発な交流が行われる地域を形成していくことが求められる。
 特に、中国地方は、日本海から中国山地を経て瀬戸内海に至る多様性に富んだ地域の中に、個性的で魅力のある大小様々な都市が適度に分散して分布しているという特徴を有しており、域内の高速交通体系の整備が進展しつつある状況の下で、地域間の連携と交流を進めていく素地が整いつつある。
 また、尾道・今治ルートの開通によって、四国地方との近接性、連結性も一段と高まり、域内外に亘って地域間の連携と交流を進めるポテンシャルが飛躍的に高まりつつある状況である。
 こうした中国地方の特性を積極的に生かし、多様性に富んだ中国地方の各地域が、それぞれの地域アイデンティティを確保しつつ、新しい文化の創出をも視野に入れながら、異なった歴史、文化、都市機能を有する地域間の連携・交流を促進し、さらに四国地方を始め、九州地方、近畿地方や海外との連携と交流も活発に展開される域外に開かれた多軸・分散ネットワーク型発展を目指していく。
 これは、都市間の階層構造を自立と相互補完に基づく水平的なネットワーク構造へと転換し、望ましい国土構造の形成を図っていこうとする21世紀の国土づくりが求められる中で、中国地方において、水平型ネットワークの地域構造の形成を先導的に図っていこうとするものである。
 このため、多軸・分散ネットワーク型発展の基礎として、地方中枢・中核都市圏においては、中枢管理機能や、これまでの産業集積を生かした高度な研究開発拠点の形成を始めとする高次都市機能の充実を図り、中国地方の自立的発展の拠点としての役割を果たす。また、これと併せ、都市の規模と個性に応じて、国際交流、文化、医療機能等の強化・整備を進めながら、分散型に配置された地方中枢都市、地方中核都市、地方中心・中小都市等の間を結ぶ複合的な都市間ネットワークを中国地方の内外に連ねることにより地域連携軸の形成を図る。このような地域間の連携と交流を促すため、交通・情報通信基盤の整備を進める。

(2) 多様な主体の参加と連携により、多自然居住地域の創造を先導
 中国地方には、外海である日本海、静穏で多島美の瀬戸内海という性質の異なる海と南北で地形の異なる中国山地といった変化に富んだ豊かな自然環境が存在している。この自然に恵まれた地域の中に、地方中心・中小都市が、適度な間隔で点在しており、中国地方各地に農山漁村と地方中心・中小都市とを一体とした自立的な生活圏の形成を可能とする素地がある。また、これらの都市は、石見銀山、備前焼、水軍、明治維新ゆかりの地等個性的な歴史・文化を有しており、その周辺の農山漁村においても、温泉、棚田、たたら製鉄、桃太郎伝説、カルスト等地域のアイデンティティとなりうる地域資源が豊富である。
 このように、中国地方では、多自然居住地域が創造されるポテンシャルは相当高いと考えられる。
 他方で、これらの地域は、全国でも有数の少子高齢化の進行地域であり、その活力の低下が危ぶまれる。また、市町村も、その財政力等に鑑み、単独で様々な課題に対応することは必ずしも容易ではなく、地域の自立の促進や個性的で魅力的な地域づくりに向けて、広域的な連携による対応や多様な主体の参加による対応が不可欠となっている。この点に関して、中国山地での県境を越えた関係市町村の連携による中山間地域等の振興に向けた取組やボランティア団体による住民参加の地域づくりの活発な活動など、全国の中でも先駆的な動きが展開されつつある。
 このようなポテンシャルやこれまでの取組の蓄積を一層発揮し、日本海や瀬戸内海の沿岸地域、中国山地の中山間地域等においては、多様な主体の参加と連携により、農山漁村と隣接する中小都市が一体となって、都市的なサービスとゆとりある居住環境、豊かな自然を併せて享受できる、大都市では得られない21世紀の新しい生活様式を実現するフロンティアとして、美しく、アメニティに富んだ多自然居住地域の創造を全国に先駆けて図っていく。
 このため、(1)で述べた多軸・分散ネットワークの構築の下で、地方中心・中小都市を、多自然居住地域の拠点として位置づけ、基礎的な医療と福祉、教育と文化、消費等の都市的サービスや身近な就業の機会の充実を図り、周辺の農山漁村に提供することを目指す。あわせて、高度な医療、文化等の高次都市機能については、ニーズの水準に応じて交通・情報通信基盤の整備を活用して地方中枢・中核都市等からの享受を可能とし、また、近隣の地方中心・中小都市間の相互の機能分担と連携による都市機能の充実を図る。
 また、多自然居住地域において質の高い生活と就業を可能とするため、農林水産業や豊かな自然や文化等の資源を総合的に活用した新しい産業の構築を図るとともに、生活基盤等の暮らしの条件の整備、豊かな自然環境の適切な管理保全を行う。さらに、若者層を含めた交流人口の増大やUJIターンの促進により、地域の活性化を図る。

(3) 産業技術集積を生かし、創造的な産業社会への転換を促進
 中国地方は瀬戸内海沿岸地域の重化学工業化を背景に発展してきたことから、基礎素材型や我が国の経済発展を牽引してきた自動車、造船等の加工組立型産業の蓄積が大きい。しかし、近年発展著しいアジア諸国等との競争の激化の中で、産業・雇用の空洞化に直面している。また、輸入品の急速な浸透、流通ネットワークの再編等により、地方都市の商業・サービス業も厳しい競争にさらされている。
 中国地方の経済の活力を維持し、豊かな地域社会を実現していくためには、引き続きこれまでの発展を支えてきた基礎素材型、加工組立型産業の技術・人材集積を活用しつつ、情報通信関連や環境、福祉、バイオなど新規成長分野への進出や起業化を進める必要がある。
 このため、従来の基幹産業を始め、地域産業から新素材等ハイテク産業までの我が国有数の幅広い産業技術の集積を生かし、産業集積地域において、高度な研究開発拠点の整備及び機能の強化を促進し、人材育成を図るとともに、産学官の連携・協力により、企業間・産業間のネットワーク化を促進し、産業構造の転換を促進する。
 また、新規産業創出や既存産業の新規分野への事業展開を促進するための環境を整備するとともに、情報通信を活用した知的機会の普及や能力開発の機会充実を図る。さらに、在来型企業の立地を引き続き確保するとともに、新規投資を促進することにより、地域経済の活力を維持し雇用の安定を図るため、物流基盤施設の効率的な整備等を通じ国際的にも魅力ある立地環境を創出する必要がある。
 農林水産業については、就業人口で全体の8%(95年(平成7年))を占め、特に中山間地域等においては地域社会の維持に重要な役割を果たしている。このため、農山漁村の活性化、食料の安定的供給の確保等の役割を十分果たすため、生産物の特性や市場の近接性等の条件に即して、担い手の育成、生産・流通基盤の整備、生産物の高付加価値化等の推進を図ることが重要である。

(4) 世界に貢献し、交流する中国を実現
 中国地方には、歴史や文化、産業等海外に独自性をアピールし得るものがあり、海外への地理的近接性を本来有している。環日本海交流や環黄海交流の蓄積とともに、東アジアを始め世界各国との間で、広島や岡山を始め各地で平和、医療、環境、人道援助等の国際貢献やスポーツ交流等が活発に行われ、地球時代をリードしてきた実績がある。
 このような中国地方の特徴を生かし、地域連携軸の形成と併せて、近畿地方や九州地方とも連携しつつ、四国地方との機能分担と連携による一体的発展を図りながら、広島、岡山を核とする中枢拠点都市圏を中心として、東京、大阪などの大都市に依存しない自立的な国際交流を可能とする広域国際交流圏の形成を図る。
 これにより、国際的に魅力ある立地環境の創出や、国際的な連携や交流を通じて世界に貢献し、誇り得る地域づくりが促進される。
 このため、国際交流の拠点となる空港、港湾等の整備を進め、アジア・太平洋地域等へのゲートウエイ機能の強化を図る。また、地方中枢・中核都市圏において国際コンベンション等高次都市機能の充実を進める。さらに、「小さな世界都市」における歴史・文化遺産や美しいアメニティに富んだ多自然居住地域の伝統文化等の地域資源とが相まって、国際的にも魅力ある観光が展開されるように、拠点となる地域の環境整備やそれを支える体制の整備を進める。

第3章 参加と連携による重点課題への対応

第1節 対応に当たっての考え方

 中国地方の新たな発展の実現に向けた重点課題に対して、次のような考え方に立って、「参加と連携」を基軸に据えながら対応を進める。

1 多様な主体の主体的な参加

 各地域が個性的で魅力的な地域づくりを進めていくため、地域住民、ボランティア団体、民間事業者等の多様な主体による地域づくりを全面的に展開していく。
 その際、公的主体と民間主体の間で適切な役割分担を図り、また公的主体内では、国は、国家的見地から支援するとの基本的考え方の下、基幹的な基盤の整備を進め、地方公共団体は、地域的視点から地域づくりへの多様な主体の参加を支援、調整、活用する。
 また、地域住民の積極的な参加の下、地域が自らの選択と責任で地域づくりを行っていくため、地方公共団体の行財政基盤の強化も含め、地方分権を積極的に推進する。
 さらに、民間資金、能力の積極的な活用を検討するとともに、規制緩和、政策金融等により民間投資の促進、支援を図る。

2 広域的な発想の下での連携による展開

 人口減少・高齢化や地域間競争の中で、多様な人々の要請に応え、質の高い自立的な地域社会を形成していくため、既存の行政単位の枠を越えた広域的な発想の下で、関連する地域の主体的な取組としての連携による施策の展開を図る。
 この地域連携においては、地方公共団体が主体的な役割を担い、国は、地域の取組を踏まえつつ、基幹的な基盤の整備や広域的なサービス提供等の観点から支援する。また、国は、活力とゆとり・潤いのある生活空間の創造に向けて市町村等が広域的な連携の下に策定する地域戦略プランの推進を支援する。
 地域連携の主体の形成という観点から、既存の広域行政制度を活用するとともに、地域連携を効果的にするためにも市町村の自主的合併を積極的に推進する。

3 投資の重点化・効率化

 今後の中国地方の地域整備においては、中国地方の国土資源賦存量、公共施設の整備状況等を勘案の上、厳しい財政事情や長期的な投資余力の減少等を踏まえ、重点的かつ効率的な地域整備を進める必要がある。
 このため、本計画に掲げた重点課題の達成に必要な基盤の整備について重点的に投資を行う。
 この投資の重点化とあわせて、連携投資の推進、建設コストの縮減、既存ストックの有効利用等により、効率的な投資を行う。
 また、基盤整備がより一層有効に活用されるよう、あわせて関連するソフト施策を一体的に推進する。

4 他の計画・施策との連携

 本計画は、新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン−地域の自立の促進と美しい国土の創造−」の基本的方向に即して策定されたものであるが、本計画を効果的に実施するため、国土利用に関する諸計画、各県の総合計画を始めとする各種長期計画と緊密な連携調整を図る。
 さらに、環境への配慮を十分に行う観点から、基盤の整備に当たっては、環境保全に関する各種計画との連携を図るとともに、環境影響評価等を適切に実施する。

第2節 重点課題に沿った主要施策の展開方向

 以下では、第2章第2節で示した4つの重点課題に沿って、中国地方の新たな発展の実現において、広域的な影響・効果を与えるもの、広域的な連携を図るもの、先導性、発展性を有するものとの観点から、主要施策について、その展開方向を示す。言うまでもなく、中国地方の新たな発展は、ここで示したものに限らず、これまで積み重ねられてきた施策の更なる展開や、地域に密着したきめ細かな施策の展開、内発的な地域の取組など、様々な活動と相まって、全体として達成されるものである。

1 都市の分散型分布を生かし、域外にも開かれ、連携・交流する中国を創造

(1) 地域連携の基礎となる都市の分散的発展
 広島の地方中枢都市圏及びこれに準ずる規模と機能を有する岡山の地方中核都市圏は、高次都市機能の集積の拠点、広域国際交流圏の拠点として中国地方の中枢拠点都市圏と位置づけ、県庁所在市等の地方中核都市圏や、多自然居住地域の核となる地方中心・中小都市との間に分散型ネットワークを形成し、集積された都市機能の広域的な波及と自然を生かした諸機能の享受を図る。
 このため、各都市においては、西日本の中央に位置するという国土形成上の重要性に鑑み、それぞれの規模や立地条件等に応じ、国際交流、文化、医療機能等の強化・整備を進めながら、都市間の多様な機能分担と連携・補完を通じて都市機能の充実を図るとともに、地方都市の特色を生かしたゆとりと潤いのある居住環境の形成を目指す。

(中国地方の自立的な発展のための拠点づくり)
 広島都市圏と岡山・倉敷都市圏は、機能を分担しながら、中国地方の自立的発展の拠点を形成する中枢拠点都市圏として、中枢管理、研究開発、情報、国際交流等の高次都市機能の集積を図る。特に、広島都市圏においては、広島市において地方中枢都市としての都市づくりを進めるとともに、より広域の視点に立って中枢拠点都市圏の機能を強化するため、広島空港への近接性を生かした国際交流、研究開発等の機能の集積を図る東広島市を中心とする都市圏、臨海産業と拠点性の集積を目指す呉都市圏及び山口県東部の交流拠点機能等の集積を目指す岩国都市圏等近隣都市圏との間で相互の機能分担と連携を図る。
 他方、環日本海交流の拠点として、松江・米子・出雲都市圏の形成を目指し、山陰中央における一体的な経済圏において、中枢拠点都市圏に準じて高次都市機能の集積を図る。
 このように、瀬戸内海側と日本海側の両側において中心となる地域の形成を目指すとともに、大小様々な都市が適度に分散分布しているという中国地方の特徴を生かし、沿岸部に連担したその他の各地においても、地方中核都市圏等の分散形成を図る。すなわち、鳥取都市圏は県東部及び但馬地域において高度医療、学術研究、文化等の機能を及ぼす都市圏として、福山都市圏は福山市を中心として尾道市及び府中市との機能分担を図りつつ備後地域において物流、文化、研究開発等の機能を及ぼす交流圏として、下関都市圏は国際交流、海洋開発の拠点機能等の集積を目指す都市圏として、山口・防府都市圏は山口県全体の中枢管理機能等の集積を目指す都市圏として、宇部・小野田都市圏及び周南都市圏は県央部において工業等の集積を目指す都市圏として、それぞれ高次都市機能の充実を図る。
 このため、これらの都市圏においては、その機能や規模に応じて、国際交流基盤の整備や組織、人材の育成を行う。また、高次都市機能の受け皿となる良好な拠点市街地の整備に向けて、流通業務団地等既存ストックの有効活用と併せ、市街地再開発事業、土地区画整理事業、連続立体交差事業等により、広島市紙屋町における地下街化等による土地の高度利用、広島駅、岡山駅、出雲市駅等の駅周辺地域の再開発と併せた商業業務施設の集約、再配置等を通じた中心市街地の活性化を推進する。加えて、自然環境の豊かさ、港湾や空港等交通拠点への近接性といった特性を生かしながら、高次の業務、商業・サービス、文化等の機能の導入を行い、広島市北西部等における新都市づくりや、にぎわいのある街づくり等都市の活性化を図る。また、山口におけるスポーツ交流ゾーン等都市の将来を担う子供の学習機能の強化や都市住民の手近な余暇活動を充実させるための施設の整備を図る。地域連携による山陰夢みなと博覧会の経験も生かし、2001年(平成13年)に山口で開催される21世紀未来博覧会を内外との交流の活性化に活用する。
 人口増加等に伴う都市問題を防止するため、都市圏レベルでの、良質な住宅の供給、広島高速道路等道路、河川、下水道等都市・生活基盤の一体的かつ先行的な整備を進める。また、路面電車や新交通システム等公共交通機関について、乗継利便も考慮した整備充実や利用しやすいバスシステムの構築など利便性の向上を図るとともに、その利用を推進する。ITS(高度道路交通システム)の実験導入やパークアンドライドの普及によるTDM(交通需要マネジメント)施策、UTMS(新交通管理システム)の実施等を推進する。また、低公害車・低燃費車の普及を図る。

(多自然居住地域の拠点となる地方中心・中小都市圏における個性あるまちづくり)
 多自然居住地域の拠点となる地方中心・中小都市においては、21世紀型のライフスタイルが実現できる新しい都市のあり方を実践するフロンティアとして、画一的でない個性あるまちづくりを通じた都市の魅力と活力を創出することにより、地域の自立の基礎を形成する。
 このため、日本海、中国山地、瀬戸内海といった豊かな自然やたたら製鉄を始めとする地域固有の伝統文化、UJIターン者を含む多様な人材、特色ある地域産業等を生かして、臨海都市、高原都市、観光・リゾート都市、芸術文化都市、伝統産業都市等の明確なテーマ、基本目標等をもって、地域の魅力ある個性の創出や文化の香り高いまちづくりの推進を図る。また、井上靖記念館(鳥取県)、森鴎外記念館(島根県)、倉田百三文学館(広島県)、金子みすず記念館(山口県)等文学ゆかりの地や、出雲や吉備の古代文化、維新史や戦国史の歴史、夢二郷土美術館(岡山県)等芸術のゆかりの地をつなぐ文化回廊構想に沿って連携・交流するなど、個性あるまちづくりを進める。それらの地域資源を生かした成果を全国、さらには世界に向かって情報発信することにより、国内外と活発に交流する「小さな世界都市づくり」を目指す。
 また、浜田・益田、津山、井笠等地方拠点都市地域について、地域の自立に向けて拠点性の向上を図るほか、日本海沿岸の倉吉、大田、萩及び長門、中国山地の新見及び三次・庄原、瀬戸内海沿岸の備前等その他の地方中心・中小都市においても、多自然居住地域における生活圏の拠点として、圏域全体のニーズを踏まえて、基礎的な保健・医療・福祉、教育、文化、消費等の日常生活上の都市的サービスや身近な就業機会を提供する。さらに、圏域内の農山漁村との間の交通、情報通信基盤の整備を図り、相互の機能分担と連携による地域の自立の基礎を形成する。
 これらの都市圏単独では整備できない高度医療、文化等の高次都市機能については、アクセス条件の向上による地方中枢・中核都市圏における機能の享受や他の地方中心・中小都市圏等との連携による整備を図る。
 近年空洞化の見られる中心市街地においては、土地区画整理事業や市街地再開発事業等により、駅周辺地区等において地域の個性を生かしながら商店街等の再生を行うとともに、文化施設、駅前広場等交流拠点、駐車場等の整備や、公共交通機関の利用者の利便の増進、道路、公共交通機関によるアクセスの向上、情報通信の高度化を一体的、総合的に推進することにより、都市的魅力を創出し、その活性化を図る。そのほか、自然環境と農業的土地利用との調和を図りながら、河川、下水道、都市公園といった都市・生活基盤の整備や良質な住宅の供給を積極的に推進し、快適な居住環境の形成を図る。さらに、広域的なレクリエーション活動や地域間交流の拠点となる国営備北丘陵公園の整備を推進する。

(豊かな長寿福祉社会をもたらし、多様な主体が参加しやすいまちづくり)
 以上の都市づくり等の取組とあわせて、長寿福祉社会の実現とともに、多様な主体が参加しやすいまちづくりを図る。
 保健、福祉について、市町村が中心となって、民間サービスやボランティア、情報ネットワークの活用を図りながら、地域ぐるみで地域の実情に応じたきめの細かい施策を実施する。その際、施設整備と併せて在宅介護等利用者のニーズの多様化に対応したサービスの充実を図る。
 高齢者の生きがいを高め、その能力を活用するため、生涯学習の観点から趣味、スポーツ活動等の振興、就業機会の確保等を推進するとともに、高齢者等が活動しやすいまちづくりを進めていくため、公共施設や交通機関、住宅におけるバリアフリー化を推進する。また、高齢者の有する豊富な知識を引き継ぐなどの観点から、高齢者の就労と住民の憩いの場となる島根県の夢ファクトリー等を活用して、若者世代との多様な連携と交流の機会を創出する。
 また、高等教育機関の充実、安心して子育てができる環境づくり、就業や就学と子育てを両立できる条件整備、各産業における女性の役割の正当な評価等により、女性の多様な生き方の選択を可能にし、その活力を生かしやすい社会づくりを進める。
 さらに、ボランティア活動団体に関する情報のホームページへの掲載、ボランティアを行いたい人と求める人のインターネットによる仲介等ボランティアが活動しやすい環境づくりを進める。
 また、NPO等のリーダーの養成、地域づくりのリーダーや組織のネットワークづくりに向けた取組とともに、市民によるまちづくりのためのボランティア活動や生涯学習活動のための拠点の整備を図る。

(2) 縦横に展開する地域連携軸の形成
 四国地方を含めた格子状の交通体系の形成、近畿地方及び九州地方を含めたインターブロックの交流の素地を生かし、域外にも開かれた多軸・分散ネットワーク型発展を目指し、都市間相互や中国山地一帯、島しょ部等の振興に向けた都市と農山漁村などの広域的かつ多様な連携・交流を促進し、様々な機能のネットワーク強化により日本海沿岸及び瀬戸内海沿岸における地域連携軸、これらと太平洋を南北方向に結ぶ地域連携軸の形成を図る。

(地域連携軸形成に向けた都市の広域的ネットワーク化)
 各都市を中心に形成される都市圏や地域が、四国地方や九州地方及び近畿地方を含め、人、物、情報の活発な交流と多様な資源の共有による相互の補完・連携を図る。すなわち、中国地方においては、(1)の自立的な発展のための拠点づくりによる都市圏の形成を基礎にして、さらに近接した都市間で複合的なネットワーク化を図り、高次都市機能や豊かな自然環境を生かした諸機能を享受できる、都市圏や県境を超えたより広域的な生活圏の形成を図る。この観点から、四国地方との接点となる瀬戸内海を跨いだ岡山、高松の都市圏や九州地方との接点となる関門海峡を跨いだ下関、北九州の都市圏の連携を進め、また、国際交流や産業創造の先導的な役割を担いうるよう、広島、松山を核として、機能分担と連携を図ることにより、さらに広域の都市圏の形成を図る。

(域外との連携を含む南北・東西方向の地域連携軸の展開)
 日本海から瀬戸内海を経て太平洋に至る地域において、東側では、地域の有する豊かな自然、テーマパーク、美術館等の余暇資源や多様な研究機関等の資源、地域間での情報の相互提供の取組を生かし、広域観光ルートの形成による魅力的な交流空間の創造、バイオテクノロジー等の分野における研究機関の共同研究発表と施設の共同利用や企業等との連携による先端的技術の創造等を推進すべく、島根、鳥取、岡山、香川、徳島、高知を結ぶ地域連携軸の形成を図る。
 また、西側では、各都市圏が有する諸機能、多様な産業集積、中四国山地や島しょ部の有する資源、大規模自転車道も含めた西瀬戸自動車道等を活用し、ストーリー性のある広域観光ルートの形成や文化活動、青少年スポーツ、地域おこし等の分野における広域的な交流、研究施設の共同利用による新産業の創造、国際交流拠点を核とした活気あふれる国際交流を推進するべく、島根、広島、愛媛、高知を結ぶ地域連携軸の形成を図る。
 日本海沿岸においては、旧来の太平洋ベルト地帯から特に離れたこの地域が多軸型の国土形成への寄与を目指してダイナミックに発展するよう、広域観光ルートの整備、大学や研究機関等の連携と共同研究等により河川と谷と海岸がつくる周辺の多自然居住地域と歴史に富んだ都市地域の重層的な連携と機能分担を進めつつ、対岸諸地域との間で多様なネットワークを構築し、下関、浜田・益田、松江・米子・出雲、鳥取等環日本海交流の一翼を担う国際交流拠点が連なる地域連携軸の形成を図る。
 さらに、瀬戸内海を、中四国の一体化を仲介するいわば中庭として位置づけ、世界に比類のない自然と国の発展を支えてきた歴史、文化を生かして、美しい海と島と個性的な都市とが織りなすゆとりある生活・保養空間と知識集約型の新しい産業等が調和した世界に誇れる魅力ある環境を創生し、この地域の自立的発展を図る。このため、水資源開発や豊かな自然環境の保全、回復に配慮し、ゆとりある生活と活発な産業の両立を目指しつつ、海の道ネットワークの取組など、四国、九州地方との連携と交流を進める観点から、瀬戸内3橋の利活用を含めた瀬戸内海地域における交流圏の形成を図る。
 特に、西瀬戸地域は、東アジアとの近接性を生かした国際交流の推進を視野に置きつつ、海を介した国際的な広がりのあるインターブロック交流圏として、産業、観光等において、国の内外にわたる広域的なネットワークの形成を図る。

(3) 多軸・分散ネットワーク型発展を支える交通・情報通信基盤の強化
 地域内外の連携と交流による多軸・分散ネットワーク型発展を進めるため、公共交通機関の利用促進、物流の効率化等による環境負荷の少ない交通体系の形成、高齢化、高度情報化等に向けた地域による広域的かつ計画的な取組を図りながら、道路網や鉄道網、光ファイバ網等を始め、広域的交通基盤・高度な情報通信基盤の整備や交通需要が少ない地域における生活交通の維持、既存施設の有効活用を図る。また、交通安全の確保を図る。
 特に、地域連携軸の形成を支援する観点から、高規格幹線道路については、山陰自動車道、中国横断自動車道(姫路鳥取線、尾道松江線)、東広島・呉自動車道、本州四国連絡道路(尾道・今治ルート)等の整備を推進する。
 これらを補完し、都市圏の拠点相互を連絡する道路、空港、港湾等広域的な交通拠点や都市圏の拠点と高規格幹線道路とを連絡する道路等に重点を置き、高規格の道路網の形成を図る。このため、鳥取豊岡宮津自動車道、江府三次道路、北条湯原道路、境港出雲道路、鳥取環状道路、空港津山道路、岡山環状道路、倉敷福山道路、福山環状道路、東広島高田道路、山口宇部小野田連絡道路、小郡萩道路、東広島廿日市道路、広島西道路等の地域高規格道路の整備を推進する。
 これら高規格の道路の整備を踏まえて高速バスの運行の充実を図る。
 国内航空ネットワークの充実を図る観点から、山口宇部空港及び航空輸送が民生の安定に不可欠な隠岐島における空港の滑走路延長を行うとともに、美保飛行場の滑走路延長について調査検討し、必要に応じその整備を目指す。また、既存空港を活用して、中国地方内外の都市圏相互の交流を促進する。
 複合一貫輸送等に対応した国内物流基盤の充実などを図る観点から、港湾の整備を推進する。また、鉄道の高速化等の機能強化について検討する。
 関門海峡道路の構想については、長大橋等に係る技術開発、地域の交流、連携に向けた取組等を踏まえ調査を進めることとし、その進展に応じ、周辺環境への影響、費用対効果、費用負担のあり方等を検討することにより、構想を進める。さらに、広島、松山の中枢拠点都市圏の連携強化及びその機能の広域的活用のための交通体系について、西瀬戸地域での交流圏構想等の動向を見つつ長期的視点に立って検討する。
 情報通信体系を利用する際の地域間格差が生じないよう、光ファイバ網等高度かつ基幹的な情報通信基盤の整備を進める。また、これに個別地域におけるネットワークとCATVを公衆回線により接続して、域内外との安価なインターネット通信を可能にする広域情報通信ネットワークを構築する。さらに、これを活用した医療・教育分野等のアプリケーションの開発・導入促進や情報交流拠点の整備活用を図る。このようなハード・ソフト両面にわたる取組を進め、広域的な地域情報ネットワークを整備する。

2 多様な主体の参加と連携により、多自然居住地域の創造を先導

(1) 自立できる多自然居住地域の創造
 中国山地を中心とした中山間地域等や瀬戸内海、日本海沿岸地域においては、多自然居住地域の創造を目指し、深刻な過疎化・高齢化に対応しながら、多様な自然的・文化的資源を生かすとともに、隣接する都市と農山漁村との一体的整備を進め、相互の交流促進によって自然や都市的利便性を相互に享受するなど、その個性を伸ばしながら、大都市では得られない生活の豊かさと多様性を実感できる地域の形成を図る。
 このため、美しい自然や独特の風土・文化の保存・回復、生活環境や交通・情報通信基盤の整備、小都市や基幹集落の育成と広域的地域連携、農林水産業を中心とした地場産業の活性化、都市との交流を目指したグリーン・ツーリズムや21世紀型の森林文化の展開など、広域的、総合的な地域振興を図る。
 地方中心・中小都市については、周辺の農山漁村等を含めた多自然居住地域の自立促進の拠点として、基礎的な医療・福祉、教育・文化、消費等の都市機能を整備することを目指す。また、交通・情報通信基盤の整備により圏域内や他地域との連携・交流を強化する。
 農山漁村は、都市部への追随ではなく、自然環境、文化等地域の有する資源を再発見し、農山漁村環境を積極的に創造し、これを活用した独創的な魅力ある地域づくりが求められるが、一方で農林水産業の停滞や若年層を中心とする人口の流出にも見舞われ、農山漁村の大宗を占め、国土管理上重要な農地や森林等の管理が行き届かず、環境保全や防災、食料生産力の確保等の上で様々な問題も生じている。このため、地域自らの創意と工夫を生かした個性豊かな村づくりを推進し、産業の振興と雇用の拡大を図る。

(経済基盤となり、地域の魅力を高める産業の展開)
 経営感覚の優れた企業的農林漁家を核とする産地を形成し、農林水産業を基幹とした地域の産業振興を進める。また、道の駅を利用したルートフェスタ、アンテナショップの設置等市町村等の広範な連携による情報発信や物産販売のための拠点の地域相互間における設置を進めるとともに、梨や蟹の特産品をテーマにした博物館の整備等を活用するなどにより、内外の交流人口の増加を図る。
 出雲古代文化に関する史跡のネットワーク化、調査研究及び情報発進、石見銀山等鉱山の調査保存等を通じ、地域の魅力を高める。
 瀬戸内海や日本海、中国山地の広大な自然を生かした、大山、三瓶山を含む島根中央、蒜山美作、瀬戸内中央、サザンセトの各地域における総合保養地域の整備を通じ、都市の人々の自由時間を活用した滞在型の交流地として、観光レクリエーションやグリーン・ツーリズム等の進展を踏まえた地域産業の展開を図る。
 1(3)の高度な情報通信基盤の活用によって、優れた自然環境を生かした多様な知的生産活動の場を提供し、情報・デザイン分野を始めとする地域産業を担う人材の育成及びUJIターンの促進を図るとともに、新たなライフスタイルを創出するテレワーク等による都市・農山漁村の交流・連携を進める。

(安心で快適な生活空間創出のための生活環境及び福祉の整備)
 上水道、生活道路等生活上の必需施設について、ナショナルミニマム達成の観点からの整備を進める。特に、中国地方で遅れている汚水処理施設については、全県下水道化等の取組が始まっているが、天神川、斐伊川、児島湖、太田川、芦田川等の各流域において、魅力となる自然や水質の保全にも資するよう、このような積極的取組を進める。
 また、住宅については、若年層や新規定住者等を誘発する田園住宅などゆとりある住宅整備を推進する。
 文化活動の場、スポーツ施設、消防団施設等地域づくり・共同体活動の拠点の整備・充実を図る。また、恵まれた自然環境等の素材を生かし、高度情報通信手段の活用や県立図書館と市町村立図書館とのネットワーク化、生涯学習センターのネットワーク化等により、地域の特色にあった生涯学習を進める。
 さらに、地域ぐるみで高齢者を支え合うシステムづくりや中山間地域等における集落・生活拠点づくり、むらづくりの先駆的な取組や、全国的にも高齢化の著しい周防大島における高齢者から若者まで安心して暮らすことのできるまちづくりを目指した市町村の連携による先駆的な取組を積極的に推進する。また、その地域づくりのノウハウの普及を図る。
 地域医療については、プライマリ・ケアの確保を目指しつつ、テレビ会議による遠隔診療の実施等高度情報通信手段を活用して、地方中枢・中核拠点都市圏における高度の医療施設と連携した医療体制を構築するとともに、地方中心都市、農山漁村等において地域医療支援病院等医療施設の整備活用を図る。
 これらのサービスを多機能・高質な形で享受するには、圏域の中心都市と周辺市町村がそれぞれの特性を生かした連携と機能分担を行うことが有効である。市町村間でも、隠岐の広域連合による医療圏の整備を始め、買い物や在宅健康管理、地域包括ケアシステム等日常生活の利便性の向上のための取組を連携して行う。このために必要な都市圏との間を含めた道路、在来線のアクセス能力の向上を図る。

(離島・半島地域における生活基盤の整備)
 瀬戸内海の安芸灘諸島、日本海の隠岐島等の離島地域や島根、室津大島等の半島地域にあっては、近接した都市圏とのアクセス改善を含めた港湾、道路、架橋、高度情報通信基盤等の整備、離島航路、離島航空路等の生活路線の確保と高速化、ジェット化、生産物の加工・流通体制の整備、その特性を生かした産業振興や観光・レクリエーションのための整備等を図る。
 江能倉橋島地域半島振興計画に基づき、広島湾架橋構想の実現に向けて検討を進める。

(2) 安全でうるおいのある空間の形成
(災害に強い空間づくり)
 中国地方は豊かな自然に恵まれている反面、急峻な地形等も有し、自然災害が発生するおそれも高い。このため、洪水、土砂流出、地震等の大規模な自然災害に備え、治山施設、土砂災害防止施設、市街地に隣接する山麓斜面への樹林帯、緊急時に対応した交通基盤、災害対応や河川管理の高度化を図るための高度な情報通信基盤等の整備を推進する。また、海岸保全のための施設の整備を推進する。さらに、土砂災害発生監視システムの整備等による減災対策のための県、市町村相互の広域的な協力体制づくり、地域の防災拠点等を核とした防災生活圏の形成と連携等を推進する。その際、災害弱者について配慮する。

(親しみを通じた豊かな自然の継承)
 中国地方には、日本海側に山陰海岸、大山隠岐の国立公園と北長門海岸の国定公園、中国山地に氷ノ山後山那岐山、比婆道後帝釈、西中国山地及び秋吉台の国定公園、そして広大な瀬戸内海の国立公園が広がっている。これらに代表される中国地方の魅力であり、特徴でもある豊かな自然環境を美しく健全な状態で将来世代に引き継いでいく。このため、様々のレベルの生態系のまとまり等を考慮した生態系ネットワークの形成を目指す。また、地域整備に係る事業の実施に際しては、自然環境の保全を図るため、環境影響評価の実施等を通じて、保全すべき場所の改変を避け、あるいは、これを最小にするなどの対策を優先しつつ、適切な対策を講じる。
 自然界への物質循環への負荷の少ない暮らしの実現に向けて、地球温暖化対策の観点から温室効果ガスの排出の少ない都市・地域構造や交通体系の構築、森林等の保全と整備、木材の利用等を進めるとともに、ダイオキシン類の発生抑制、リサイクル促進等を目的とした廃棄物対策の観点から産業廃棄物や一般廃棄物の広域的な処理や都市部と農山漁村との連携強化による再生資源の有効利用を図る。さらに、オゾン層保護対策の観点から、フロンの回収・処理のための中四国一体となった取組を進める。

(数多い流域圏等に着目した空間の保全と管理)
 安全で自然豊かな空間を目指し、自然の系である水系と、これに関連する森林、農用地、都市等により構成される流域圏において、健全な水循環の保全、再生や国土の管理水準の向上に向けた対策を充実させる。
 このため、渓流魚の住む清らかな流れの復活を目指して斐伊川、江の川、吉井川・旭川・高梁川、太田川、芦田川・沼田川等の流域で進められているような流域一体となった水質保全、国土の管理・保全等の取組を推進し、自治体や市民による協議、上流域と下流域の住民相互の連携等による啓発活動を図りながら、上流における森林整備と下流域・丘陵地における雨水浸透等による地下水かん養等による水循環の健全性の回復を総合的に進める。
 また、灰塚ダム、苫田ダム、尾原ダム等水資源の確保を視野に入れた多目的ダムの整備、斐伊川や激甚災害対策の必要な河川等の河川改修等治水を中心とした水系の総合的な整備を行う。
 中国地方の中山間地域等において、過疎化や高齢化が著しく進展する中、公益的機能の発揮が期待される森林、農用地の適正な管理が困難となってきている。
 このため、森林づくりへの参加意欲を森林管理の力に育てるといった観点から、広島における市民参加の森林づくりや沿岸漁業者による上流域の森林づくり等都市と山村の連携や交流による取組を促進する。
 また、中国地方の特徴である美しい棚田等については、各地の基金等を活用し、関係する市町村等の連携の下、都市住民と地域住民双方の啓発、地域の集落への支援等により棚田地域等の持続的保全を図る。また、農用地、耕作放棄地等の適切な管理を進める。
 陸域の取組と併せ、関係地域の連携の下に、人間と自然が良好に関わる美しく健全な瀬戸内海を始めとする沿岸域環境の復元・創造のための沿岸域圏の管理を総合的かつ計画的に行う。その際、瀬戸内海環境保全基本計画等を踏まえつつ、排水規制の強化や閉鎖性水域の浄化技術の実証実験の活用等により、藻場、干潟等を利用した瀬戸内海やヨシ原等を利用した児島湖の浄化等を進める。

(美しく、アメニティに満ちた地域づくり)
 農山漁村地域において、人々が誇りを持って住むために、森林、田園、水辺に親しめる環境等美しい自然に囲まれた心地よい生活空間を形成していくことが必要である。このため、地域全体の自然環境と景観の保全や向上を念頭に置きつつ、農林漁業施設の管理、集落内の清掃、地域の土地利用、花の植栽、街並みの管理等について、条例や地域住民の自発的活動による協定等を活用して取り組む。 
 中国山地東部地区における鳥取、島根、岡山及び広島や中国山地西部地区における島根、山口及び広島の関係市町村による中山間地域等の活性化に向けた県境サミット等県境地域の連携と交流のための取組、島根と広島の県境地域の関係町村による中国山地森林文化圏構想での広域的な連携の取組等を生かし、子供や若者も含めて、人と森林との関わり、森林生態系の仕組み、森林の機能等について、里山林等の身近な森林とのふれあいやグリーン・ツーリズム等を通じ、体験し、学習できる体制の整備を図る。
 このため、島根県と広島県が連携して取り組む森林文化ミュージアムの構築及び森の自然学校や、住民参加による美しい里山づくりを進める。また、農山村地域や湖沼河川の生物にふれあい、学ぶことのできる施設その他の自然体験施設の整備や既存施設の有効活用のほか、中国地方自然歩道の管理、自転車道等の整備活用を図る。また、中山間地域等における空き家、求人、イベント、観光等に関する情報をインターネットを通じて提供する取組等を進める。これらにより、中国山地や離島部など農山村地域における交流人口の増加や定住の促進を図る。
 また、多様な主体の参加による地域づくりを推進するため、ボランティア団体の活動を支援する環境整備を進める。このほか、中山間地域等の活性化のための方策を推進する人材を養成するための高等教育機関の充実を図る。
 また、地域づくりの実践家のネットワークづくりや広域的図書貸出返却事業、江府の地ビール工場の運営による水源トラスト運動の支援等広域的な地域連携による先導的取組を推進するとともに、島根県中山間地域研究センターを活用し、全国への普及を視野に入れ、中国地方全体で中山間地域等の振興方策の研究を進めていく。
 親水機能を有する海岸環境や海洋性レクリエーション基地等の海の魅力を生かした空間の整備を、パブリックアクセスの確保及び放置艇対策を進めながら図る。また、海に由来する自然、文化、生活等に触れ合う健康、保養、学習等のための交流、海洋をテーマとした研究・技術交流、海洋関連産業の連携交流の展開を図り、アジア地域等からの集客を視野に入れ、瀬戸内海や日本海の総合的な利活用を推進する。
 
3 産業技術集積を生かし、創造的な産業社会への転換を促進

(1) 産業構造の転換・高度化と新産業の創出・振興
 中国地方では、これまで石油精製、化学、鉄鋼、セメント、繊維等の素材型や造船、自動車、電気機械、一般機械等の加工組立型の工業が瀬戸内海沿岸部を中心として集積し、日本海側地域でも電子機械等の企業進出を受け入れ、地域経済をリードしてきた。しかし、東アジア経済の急成長等による経済のグローバル化の中で、中国地方の産業は、その特徴であるものづくりの伝統と多様な産業技術の集積を生かしつつ、基礎素材型産業や加工組立型産業の低コスト化・高付加価値化や新たな産業分野の創出に向けて、産業構造の転換・高度化を図ることにより、大競争時代の中での国際分業を進めていく必要がある。

(幅広い産業の集積を生かした科学技術の振興と「産業創出の風土」の発展)
 産業が集積している地域において、公設試験研究機関や大学、研究及び研修のための機関等を核とし、知的な蓄積を活用した研究学園都市、リサーチパーク等高度な研究開発拠点の整備を進め、ハイテク技術と蓄積された熟練技術を融合した新しい生産システムの研究開発の活性化、科学技術の振興やそれを担う人材の育成を図る。また、工業団地の活用・整備やテクノポリス地域及び頭脳立地地域のこれまでの蓄積を生かしつつ、地域企業、大学、研究開発機関等の連携・交流の強化を図るとともに、新事業創出支援体制の強化を図り、産業の一層の高度化、新事業の創出を促進する。
 水産加工業、農業用機械製造業、繊維業、制御技術を活用した機械製造業等地域産業や中小企業の活性化を図るため、松江市におけるソフトビジネスパークの整備等により、各都市における産業・研究拠点の形成等を推進する。
 特に、高度情報通信基盤の活用・整備により広島県産業科学技術研究所を中心に一体化する広島地域、広域的な高度情報通信ネットワークを活用しつつ岡山県工業技術センターを通じて産業高度化のための近隣拠点地域と連携する岡山県南部地域においては、基盤的技術産業集積の活性化を通じ、地域産業や中小企業と結びついた新しい産業群の形成を先導する。
 また、研究交流の組織づくりや、広島、島根、山口や四国地方の研究開発機関の連携を図った西中・四国地域及び岡山や四国地方の研究開発機関の連携を図った東中・四国地域における経済発展基盤の形成のための取組を生かしつつ、個別の地域や分野を越えた中国地方全体の企業間・産業間のネットワーク化を促進し、海外との技術等の交流も視野に入れながら、産業構造の転換へと繋げる。
 さらに、新規産業の創出や新規分野への事業展開を促進し、地域における雇用の創出を図るため、ベンチャーキャピタルによる資金供給の円滑化や研究援助、大学との連携によるベンチャースクールの実施等研修、研究施設の提供などにより、起業化を促進するための環境を整備する。

(知的機会の充実による知識財産業等の中国地域における展開)
 技術革新の著しい進展に対応した人材育成を図るため、萩市における大学の整備を進めるとともに、浜田市、鳥取市における高等教育機関の整備に向けた取組を進め、また、中国地方の社会人の学習機会を充実させるため、図書館の整備強化、公開講座の実施等を進める。
 既存の産業の高付加価値化、地域住民の生活の向上や地域の雇用増加に資するべく、知識財産業の発展が望まれるが、中国地方は、他地方と同様に大都市圏と比べ、情報サービス業等サービス産業の集積度合いが低い。このため、情報通信基盤の活用を通じて、地方中枢・中核都市圏等を中心として近隣都市圏とも連携しながら、情報サービス、デザイン業等対事業所サービスや都市型サービス産業のほか、在宅高齢者用の遠隔福祉・医療システムの研究等を基にした医療・福祉健康、斐伊川流域で実証される木炭利用や湖山池で実証される水生植物利用の水質浄化技術、瀬戸内海で開発される水質汚濁防止技術等を活用した環境保全・修復、バイオテクノロジー等の今後成長が見込まれる新産業の振興を図り、地域の魅力の向上に繋げる。

(経済構造改革のための物流効率化とエネルギーの確保)
 中国地方は古くから、海陸を通じた九州地方、四国地方、近畿圏に広がる物流ネットワークを結ぶ物流拠点の立地場所として機能してきたが、高速交通網、情報・通信ネットワークの整備や経済圏の広域化が進むなかで、こうした役割はますます重要性を帯びてきている。
 このため、経済構造の変革が求められる中で、産業や国民生活を支える物流の結節点たる、流通効率化への対応を行う物流拠点、食料品の流通・備蓄に対応する物流拠点、共同輸配送を行うための物流拠点、広域物流への対応を行う物流拠点及び輸入等国際物流への対応を行う物流拠点について、集約立地及び地域に受け入れられやすい整備に配慮し、格子状に展開される高速道路や鉄道、港湾、空港等交通基盤の整備と連携しながら、適切な整備を推進すること等により、物流の効率化を図る。また、地域における物流の効率化を効果的に推進するため、交通環境の改善、地域経済の振興等まちづくりの観点にも配慮したソフト・ハード両面にわたる取組を、広島、岡山等において地域主導の下で計画的に推進していく。
 また、産業、民生、運輸各部門における省エネルギーの推進を図るとともに、地域経済の自立に向け、電力の安定的確保に取り組む。

(2) 農林水産業の高度化と基盤整備
 中国縦貫自動車道等高速交通体系の活用による域内や関西圏、九州地方の市場への利便性の向上や日本海側の砂丘などの砂地地形や瀬戸内海の温暖な気候、中国山地等の多様な地域環境と伝統工芸を含む地域資源を最大限に活用することが重要である。このため、鳥取の二十世紀なし、岡山のマスカット、広島のカキ、日本海のズワイガニに代表されるような地域の特産物や和牛のような高付加価値産品の育成、新品種の導入やバイオテクノロジー等の技術導入等の推進に努め、既存の市場流通を越えた流通販売経路の開拓等による事業展開を図るとともに、農林水産業の生産・加工・流通基盤の整備・高質化を図る。また、高度な情報通信を利用した経営管理やマーケティング等を進めつつ、地域の創意工夫とアイデア豊かな担い手の確保による複合的経営を進める。

(農業の新たな展開)
 中国地方では、多彩な気候、地理的条件のもとに稲作、園芸作物、畜産等特色ある農業が展開されている。しかし、全般的に中国地方の農業は経営耕地面積規模が小さいうえに農業生産性が低く、加えて近年は基幹的農業従事者に占める高齢者の割合が高まり、後継者不足に悩むなど深刻な問題が生じてきている。基礎食料、生鮮食料品を中心とした食料の安定的供給を持続し、地域に密着した生活関連産業として、中国地方の農業を育成していくことが必要である。
 このため、経営の熟度に応じた法人化や農業生産組織の育成による農地の集団化を進める。また、農業構造改善の方向に即して主産地の形成を図りつつ、農業経営の規模拡大を図るため、大山山麓地区における農地開発事業等により、農用地の整備を推進する。また、畑作や稲作等の改善を推進し、生産性の向上を図るため、東伯、児島湾周辺地区等におけるかんがい排水事業や児島湖沿岸の底泥の浚渫等のための総合農地防災事業について、計画的に事業を推進する。その他、低コスト化や環境保全型農業の推進に資する基盤整備を行う。

(林業の新たな展開)
 中国地方では、零細林家が多数を占め、高齢化と林業労働力の減少が進み、生産林業所得は低下傾向にある。このため、林業においては、林道の整備を間伐と一体的に促進するほか、高性能林業機械等の導入による事業活動の支援を図るとともに、家具、案内板などの商品開発等により間伐材の利用促進を図る。また、林業経営の規模拡大、苗木の水気耕栽培等新しい技術の導入による短伐期林業の確立などによって経営の合理化と担い手の確保を図る。

(水産業の新たな展開)
 瀬戸内海と日本海という豊かな漁場に恵まれた中国地方の水産業においては、今後とも需要の増加に対応し、西日本における住民の食生活上不可欠である水産物の安定的供給確保の役割を担うとともに、漁業の担い手にとって新しい魅力のある漁業の確立を図っていくことが重要な課題となっている。しかし、水産業をとりまく環境は、日本海における漁業資源の激減、瀬戸内海の水質改善の停滞、埋立て等による漁場の減少の懸念などに加えて、漁業就業者の高齢化と後継者不足などの問題が生じている。また、国連海洋法条約の発効に伴い、新たな対応が求められている。
 このため、資源管理型漁業の定着を図るとともに、沿岸・沖合漁場の整備、マダイ等の栽培漁業、養殖業等のつくり育てる漁業を振興する。また、情報化等による作業の省力化など漁業者の就労条件の改善や隠岐島に見られるUJIターン者の誘引等により担い手の確保を図るとともに、基盤となる漁港の整備について、適正な管理と海洋性レクリエーションの双方に配慮しつつ、進める。


4 世界に貢献し、交流する中国を実現

 中国地方は、広島、岡山を始め各地域で平和、医療、環境、人道援助等の国際貢献やスポーツ交流が東アジアを始め世界各国との間で活発に行われ、地球時代をリードしてきた。このような各分野における海外との交流の実績を基に、独自性を持つ歴史や文化、産業、地理的近接性を生かし、国際的に魅力ある立地環境の整備を進めるとともに、国際的な連携や交流を通じて世界に貢献し、誇り得る地域の形成を図る。
 このため、地域連携軸の形成と併せて、近畿地方や九州地方とも連携しつつ、四国地方との機能分担と連携による一体的な発展を図りながら、広島、岡山を核とする中枢拠点都市圏を中心として、東京、大阪などの大都市に依存しない自立的な国際交流を可能とする広域国際交流圏の形成を図る。

(1) 地域資源を生かした世界に開かれた交流と貢献
(国際競争の中での産業の展開)
 産業基盤としての空港、港湾、情報通信基盤や生活環境の整備に併せ、国際社会に貢献する高水準の創造力豊かな人材育成のための研究開発拠点の整備、地域の基盤的技術・技能集積の維持・発展、山口と米国・仏国との共同研究を始めとする海外との技術交流等を通じ、アジア諸国との分業を睨んだ工業等の新たな発展のための条件整備を図り、国際的な立地競争力を高める。

(国際交流の推進)
 各県と海外自治体との間では、広島と中国及び米国の地方政府との友好提携等による文化、教育、経済等の分野での交流事業、岡山と中国、オーストラリア等の地方政府との友好提携による教育、環境保全等の分野での交流事業、山口と中国及び韓国の地方政府3者間での環境保全や文化面での交流事業、島根と対岸諸国の地方政府との文化交流をテーマとするシンポジウムの開催、鳥取と対岸諸国との地方政府サミット等の取組が定着しつつある。また、広島市は、「国際平和文化都市」として、アジア競技大会の開催実績を有するほか、世界平和連帯都市市長会議の定期主催等の取組を進め、津山市では「国際総合音楽祭」の定期開催による取組が進められている。
 今後ともこのようなアジア各国等との交流、国際平和交流、学術・文化・スポーツ交流等の取組を一層進めつつ、学術分野においては、浜田市に設置される北東アジア地域に関する研究センター等の整備による研究交流、留学生会館等の整備を生かした留学生の受入れ体制の充実や日本人との触れ合いの生まれる環境づくりを推進する。文化分野においては、世界音楽祭「オーガスト・イン・ヒロシマ」等国際的な芸術フェスティバルの開催や秋吉台国際芸術村の整備活用を通じ、内外の芸術家の創作交流等による文化の発信機能を高める。 
 また、海外友好地域の紹介を図るとともに、北東アジア地域の経済発展について関係各国の政府関係者や研究者、民間企業等が意見交換を行う北東アジア経済フォーラムや自治体交流等のアジア・太平洋地域における国際的な対話についての継続的な参加や開催、共同研究を通じ、日本海沿岸5県と中韓露の自治体が共同で実施した「北東アジア地域交流の船」事業の経験も生かし、多対多の国際的な地域交流の深化を図る。さらに、広島市臨海部におけるメッセ・コンベンション施設等の整備を生かし、国際コンベンションやスポーツの誘致を地域内の交流施設の連携した活用により推進する。

(外国人観光客の誘致を通じた国際交流)
 世界遺産である原爆ドームや厳島神社、古代出雲文化等の歴史・文化遺産や美しくアメニティに富んだ多自然居住地域の伝統文化等の地域資源とが相まって、国際的にも魅力ある観光が展開されるように、拠点となる地域の環境整備やそれを支える体制の整備を進める。このため、広島県、山口県及び愛媛県の連携や島根県、鳥取県、岡山県、香川県及び高知県の連携による外客来訪促進のための取組等により、外国人向けの低廉な宿泊施設として利用されている岡山県国際交流ヴィラ等広域観光の拠点となる宿泊滞在拠点の整備、外国人観光客の利便性を向上させるような表示、サービスの提供等受入環境の整備、広域的な官民の連携の下での中国地方の特色を生かしたテーマに即した広域観光ルートの形成を図る。
 また、国際的な文化拠点としての美術館、博物館等の国際化に対応した展示機能やサービス機能の向上を含めた整備、文化回廊構想等を踏まえた各地域の国公立私立博物館・美術館相互の連携、協力を推進する。

(国際貢献)
 広島におけるアジアからの研修員の受入事業、放射線被曝者医療分野の国際協力、四川省・重慶市への大気保全協力、島根における対岸諸国の地方自治体等と酸性雨問題に関する共同研究、我が国有数のそろばん生産を生かしたタイへのそろばん教育普及支援、山口におけるボランティアと連携した中国黄河沿岸への砂防林の造成等の国際協力の取組が定着しつつある。
 今後もこのような取組を進めるほか、中国山地における山林保全等の蓄積を生かした北東アジアへの環境保全協力、国際機関との連携などにより、アジア・太平洋地域等への貢献を進める。
 このため、「ひろしま国際プラザ」等の施設の活用や、中四国・九州地方での連携により、海外における日本理解の促進、圏域の人材育成、海外から受け入れる技術研修員間の交流やNGO活動支援を図る。また、被曝者医療等の高度専門施設の国際貢献への活用を図るとともに、広島空港隣接地に整備が計画されている防災拠点を活用して、海外への援助活動を支援する。

(2) 国際交流を支える拠点の整備
 海外とのゲートウェイ機能の強化及び地域の国際化に向けた国際交流拠点として、空港、港湾の基盤強化を図る。このため、空港については、広島空港及び岡山空港の空港滑走路の3,000m化を進める。港湾については、下関港及び広島港において、我が国の国際的な中枢・中核拠点機能を有する高規格の国際海上コンテナターミナル等の整備を進めるほか、地域の需要に応じて境港、徳山下松港、水島港、福山港等において、多目的国際ターミナル等の整備を進める。
 また、需要の動向に応じた四国地方等の近隣拠点との機能分担と連携を含め、地域の国際交通システム全体としての海外定期航路網の充実を適切に進める。その際、航空については、国内航空ネットワーク、アジアとのネットワークとの連携やチャーター便の有効活用も視野に入れ、海運・港湾については、高速船等の技術革新やモーダルシフトの観点での内航路線網との効果的な連携、近畿地方や九州地方との相互補完機能も考慮に入れた災害時のバックアップに対応できる港湾ネットワークの整備、ポートセールスによる需要集約を考慮する。
 さらに、国際交流の拠点となる空港及び港湾を通じて国際交流と地域内交流が円滑に連結できるよう、これらにアクセスする軌道系を含めた交通基盤の整備を進める。また、広島空港、岡山空港、下関港及び境港を拠点とする輸入促進地域(FAZ)等において国際物流施設の集積整備等を進め、後背地の産業や消費と連携した国際交流拠点の競争力と魅力を高める。


問い合わせ先
 国土交通省 国土計画局 地方計画課
 TEL. 03-5253-8364 FAX. 03-5253-1572


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