【 森林、農地の選択的管理と国民的経営 】 | |
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○ 森林・農地の選択的管理について |
・ | 人工林の天然林化には、今の木材の需給バランス等を前提とするのかど うかの議論がある。国土計画は現時点の問題点だけでなく、今後30-50年後の農林業の姿を国際競争力等の観点を含めて戦略的に分析する必要があると考え る。 |
・ | 戦後の拡大造林による過剰な人工林化を天然林に戻していく場合、管理 のための人手の有無ではなく、緑の回廊づくりなど戦略的な配置が必要である。 |
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○ 森林・農地の国民的経営について |
・ | ボランティアによって森林管理の労働力を補うというのは、試算したと ころオーダー的に全くあてにならない。大都市周辺の森林でならばあり得るが、国土スケールでは無理な議論である。 |
・ | 農業も同様で、都市住民が棚田保全に参加する条件として、30分以内 にアクセスできることがある。そのため、農地へのアクセス30分圏内の人口配置が重要である。 |
・ | ボランティア活動は、都市住民に農林地の公益性を認識してもらい、そ の管理の資金を負担することへの合意形成のための教育・啓発的な位置づけとしてはあり得る。 |
・ | 地域の人口、産業を維持するために、農林業を従来の生産機能だけでは なく、水源かん養等の公益的機能を法定外目的税などを通じて提供する産業として考えられないか。 |
・ | 農林地については管理する人・主体と資金をどうしていくのかが重要で あり、資金面では、企業やNPOと連携してファンドや株式会社を活用する事例がある 一方で、森林税のように完全な公的資金をつぎ込む可能性もある。主体としては大都市近隣では若者がベンチャー産業的に農業に取り組んでいる事例がある。 |
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○ その他 |
・ | CO2の吸収源対策について環境省と林野庁で議論が行われているが、 削減量3.9%の地域配分など、今後は国土利用的観点からも検討すべきである。 |
・ | バイオマスの面からも議論が必要である。 |
・ | 防災対策の面からは、居住地と非居住地を明確に分けて、メリハリのあ る土地利用への転換が必要である。 |
・ | 排水が悪く農地にできない土地が都市化したために、防災等の社会コス トが大きくなっている地域もある。開発地域をどのようにするのかは、地域ごとに考える必要がある。 |
・ | いろいろな産業やコミュニティが成立可能な人口30万人レベルの都市 が現在衰退しつつある。都市のサイズを政策的に維持していくことが必要である。 |
【 森林、農地の選択的管理と国民的経営 】 |
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・ | 生産に結びつかない緑化を産業としていくのか、公共事業とするのか、 再自然化の主体は誰かという議論が必要である。事業後の管理についても検討するべきである。 |
・ | 都市内の緑地はこれまでどのように機能してきたのか、今後どのように 保 全していくのかのチェックが必要である。 |
・ | 「循環型社会」という言葉が、環境基本計画などでは廃棄物処理の面か らのみ使用されているが、本来であれば「自然循環」の観点も重要である。 |
・ | 「水と緑のネットワーク」と言っていた言葉を「緑の動脈づくり」とし て「水」の観点をなくすことには反対である。 |
・ | 市町村間の環境対策には相互に矛盾がある場合が多々ある。これに対し て、「流域」の視点は全体を統一的にみるきっかけになるため有意義である。 |
・ | 流域において、治水については各自治体で意識が異なるが、環境につい ては共通の認識がある。現在新たな「流域圏構想」を打ち出すべきポテンシャルがある。 |