地方振興

地域づくり活動支援体制整備事業に関するフォローアップについて

 平成26~28年度に補助事業に採択された中間支援体制(3年間で計22団体)を対象に、補助事業期間から現在に至る中間支援体制の「組織の成熟」及び、中間支援を実施した取組みの「活動の発展」について把握するために、以下に示す分析の視点から、アンケート調査を実施しました。

〇分析の視点
・担い手の支援に関わった主体及び活用したノウハウ
・中間支援による取組みのステップアップ
・補助事業期間後の中間支援体制の関わり
・今後の展望や課題
 


●アンケート調査結果総括

 
[1]中間支援体制の組織の成熟

ア 体制の構築
 多様なノウハウを有する中間支援体制の役割分担等を担うコーディネート組織は、多くの体制で設置されており、ほとんどは事務局組織がその役割を担っていた。また、明確なコーディネート期間を定めていない体制の多くは専従職員が確保されている等、中間支援体制を運営するうえでの事務局組織の重要性が明らかになった。中間支援体制が有効な活動を行ううえでは、複数人の職員を事務局に配置することが望ましいといえる。
 体制における金融機関の関わりは二極化の傾向がみられた。約4割の体制では、体制及び中間支援活動との関わりが薄い一方で、地域で活動する様々な主体とのつながりを活かしたコーディネート・調整機能を活かした支援を行う等の、多様なノウハウで中間支援に関わっている例もある。一方で、中間支援活動の中で融資を行った例はほとんどみられず、中間支援体制が資金面で実効性のある支援を必ずしも行えていない状況が明らかになった。
イ 組織の自立
 補助事業期間終了後も、ほとんどの体制が継続しており、中間支援活動も継続して実施されている。一方で、全ての体制が定期的な会合を行っているわけではない状況であった。
 補助期間中は、年間約300万円の予算のなかで活動を行っているものの、補助事業期間終了後は、予算「なし」とする体制が多い。自治体が予算を確保したり、交付金等を確保している例もみられたが、安定的な財政基盤を有している体制はほとんどみられなかった。一方で、一部の体制では独自の収益事業に基づき予算を確保している例もみられた。
ウ 新たな構成主体及び担い手の巻き込み
 
情報発信の取組は実施している体制と、していない体制が二極化しており、支援先の取組みのPRとあわせて、中間支援体制のPRに取り組まれていた。
 補助事業を通じて、体制の公的な活動としての中間支援以外にも、地域で活動する主体同士の新たなつながり強化や新たな活動創出の場になっている例もみられた。
 補助事業終了後に、新たな構成主体を取り込んだ例は多くないが、体制外の主体との連携によるノウハウの補完は、多くの体制で行われている。視点を変えると、既存の体制や地域では、不足するノウハウが多いことも示唆されたといえる。
エ 今後の活動の課題
 
中間支援体制が取組みを進めるうえで感じている課題としては、活動資金の確保(体制側、担い手側ともに)及び効果的な支援方法の確立が挙げられている。中間支援の枠にとらわれない新たな支援のあり方を検討する必要がある。

[2]中間支援を通じた活動の発展
ア 中間支援を通じた取組みのステップアップ及び新たな支援先の拡大
 
補助事業及びその後の中間支援活動により、支援先(担い手)の取組みが事業の組成段階から試行段階、拡大・発展段階にステップアップしている様子がアンケートから確認できた。
 補助事業期間終了後の支援活動のあり方として、既存の担い手の継続的な支援のほか、新たな支援に踏み出す団体も複数みられた。
イ 中間支援に留まらない独自事業の実施
 補助事業への採択をきっかけに設立された中間支援体制のなかには、中間支援事業以外の独自事業に取り組む例もみられた。独自事業による収益が中間支援体制の独自の財源となっている場合もある。
 

●中間支援体制の組織に向けた成熟と課題


[1]現状及び課題
 約7割の体制では、補助事業期間中の担い手に対して支援を継続する等、中間支援体制は現在でも地域の活性化に向けて引き続き関わっている。一方で、担い手に対する中間支援活動は、体制の中核的な構成主体(多くは事務局)が単独で実施する例が多いことが明らかになった。
 補助事業期間中にみられたような、全ての構成主体の連携による、組織的な中間支援活動を継続している例は少数であり、多くの体制では地域の実情をふまえた、より柔軟な組織へと変化している。

[2]活動を継続できている例の特徴
 活動を継続できている例では、中間支援体制の中核的な構成主体に地域活動の担い手が参画したり、中間支援体制と住民組織が一体的に活動を行う例がみられる。「支援する側」と「される側」が固定的な、狭義の中間支援の枠を超えて、多様な主体による地域課題の解決を促す場として発展している例がみられた。
 また、有効に支援を進めるために、同じ地域で地域活性化に取り組む団体と連携を深めて、ノウハウや活動資金を補完する例がみられる。また、当初は担い手側であった団体が補助事業を通じて中間支援のノウハウを育て、中間支援体制の事務局として活動する例もみられた。




●持続可能性の確保に向けた取組みにおける現状及び課題


[1]現状及び課題
 補助事業終了後は、予算「なし」とする体制が多く、安定的な財政基盤を有している体制はほとんどみられない。職員の兼任等により、中間支援体制の維持には多額の予算は不要であるものの、中間支援活動は、事務局の自己資金の範囲内で実施する例が多い。中間支援の対価を取っている例はほとんどみられない。安定した財政基盤を有する例もあるが、事務局が財政面で厳しさを抱える体制では外注費を伴う支援ができなくなったり、新たな活動に取り組むのが困難な例もみられた。

[2]活動を継続できている例の特徴
 活動を継続できている例では、体制が管理する施設を地域で活動する団体等に有償で時間貸しする等、独自事業で上げた収益により中間支援活動の予算の確保を試みられている。中間支援体制が地域のメーカーやデザイナー等と費用を折半して開発した新商品について、売上の一部を体制が受け取るスキームとする等、体制が事業リスクを負うことで、資金回収をできるビジネスモデルとしている。




 

活動事例集

活動事例集(PDF形式:1750KB)

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