港湾の技術開発の長期政策
新世紀を拓く港湾の技術ビジョン −暮らし、海、世界、そして技術−
1. 策定の趣旨
港湾の技術開発はこれまで、平成4年に策定された『人と地球にやさしい港湾
の技術をめざして』を基本方針として推進されてきた。経済・社会のグローバル
化の進展やITの急速な普及、資源・環境に対する意識の高まりから、港湾の技
術開発に対する社会的要請は変化してきており、平成13年5月、港湾の技術開
発の長期政策『新世紀を拓く港湾の技術ビジョン』(以下、『技術ビジョン』と
いう。)を新たに策定した。
取りまとめに当たっては、港湾管理者アンケート、港湾関連業界アンケートに
より港湾技術の動向を把握するとともに、各分野を代表する学識者等から構成さ
れる「新世紀の港湾技術懇談会」(座長:黒田勝彦 神戸大学工学部教授)を設
置し、様々な角度から検討を重ねた。
2. 技術ビジョンの概要
(1)技術開発の理念と目標
21世紀の港湾の展望を踏まえ、港湾の技術開発の長期政策が目指すべき三つ
の理念と五つの技術開発目標を示した。
(三つの理念)
理念@ 我が国の持続可能な発展を支える港湾の実現を目指して
理念A 安心、安全で快適なウォーターフロントの形成を目指して
理念B 海洋国日本の技術による世界への貢献を目指して
(五つの技術開発目標)
目標T 海上輸送機能の飛躍的発展を目指す技術開発
目標U 沿岸域の持続可能な発展を支える技術開発
目標V 市民に安全と安らぎを提供する港湾を目指す技術開発
目標W 港湾の効率的な整備のための技術開発
目標X 世界への貢献を目指す技術開発
(2)技術開発の課題(別掲 表−1)
技術開発目標ごとに課題を設定し、技術開発項目を取りまとめている。表−1
に各項目について、技術開発の具体例と目標年次及びそのうち重点的に対応すべ
きものを示す。
(3)技術開発の推進方策
個別の技術開発については、産学官の連携や民間等への支援を図りつつ、計画
的に取り組むこととしている。そのうち国が主体的に取り組む分野については、
国が技術開発の行動計画を策定し、国民の声や幅広い分野の英知を結集した技術
開発を実現していくとしている。