第2回「高潮・津波ハザードマップ研究会」の開催結果
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 第2回「津波・高潮ハザードマップ研究会(座長:河田 惠昭 京都大学防災研究所 巨大災害研究センター長)」が下記の通り開催された。

  1. 日時
     平成15年2月25日(火) 13:30〜15:30

  2. 場所
     グランドアーク半蔵門 富士の間

  3. 出席者
     河田、磯部、今村、片田、中野、藤吉、山田の各委員

  4. 議事
     事務局から資料説明後、ハザードマップ作成の際の浸水予測に関する技術的課題をはじめとした事項について議論を行った。

  5. 内容
     各委員等からの主な意見は次の通り。
     (1)ハザードマップ作成における技術的な不確実性要素について
    • 津波は地震だけではなく、地すべりや火山噴火により起こされるものもある。非地震性の外力も追加すべき。また数値計算において、波の先端の取り扱いに不確実性が内在する。
    • 高潮については、台風の規模や進路に加え、スピードの検討も必要。また、「海面の摩擦係数」、「ウェイブ・セット・アップ」、「越波量」、「陸上の建物による粗度」などにも不確実性が存在する。
    • 作成するマニュアルでは、現段階の技術レベルでは考慮することができない不確実性要素でも、将来考慮すべき事項として網羅的にまとめて示しておくべきである。

     (2)被災のモデル化に必要な事項(浸水予測における格子間隔)について

    • 河川や海岸の構造物の幅を考慮した格子の設定が必要である。
    • 格子が細かいと精度は上がるが、どこで割り切るかが問題である。

     (3)ハザードマップ利用の観点から見た不確実性について

    • 一旦マップを出すと、その絵が一人歩きし、災害のイメージを固定化させてしまう恐れがある。また、考慮した不確実性について詳細に明記すると、住民は逆に詳細な検討をした精度の高いマップであると認識し、イメージの固定化につながるおそれがある。
    • マップはどのような仮定で作られているかをわかりやすく説明すべきである。
    • これまでに自治体等で作成されたハザードマップにはそれぞれ工夫・苦労・問題点があるので、それらを調査し参考とすべき。
    • 各条件の設定に必然性が必要である。地域により検討の有無、設定の相違があると恣意的であるという印象を与えうる。津波・高潮の最悪の影響ラインをハザードマップに記入して、全国共通条件のハザードエリアを国民に認識してもらう必要がある。
    • 色分けすると、色がついていないところは被災の確率が無いものと勘違いされてしまう可能性があるため、検討のバッファ部分を外側に設け、点線で良いので危険域の範囲に含めるようにすべき。
    • 災害の時間スケールは人間の時間スケールよりも長いため、住民は自分が経験したことのない規模の災害は非現実的と捉えてしまう危険性がある。このため、住民の意見を聞きながらハザードマップを作成する場合には、住民は災害の規模を小さく見積もりがちであることに留意すべき。
    • ハザードマップの役割は、まず住民にハザード自体(津波等の災害自体が不確実であること)について理解して貰い、その上で避難経路等、どのように身を守るかの情報を提供することである。
    • ハザードマップは、作って配ればよいというのではなくワークショップの開催等により、住民の方に使い方自体を理解してもらうことが重要。

     (4)その他

    • 不確実性についての配慮の漏れがあるといけないため、マニュアルにおいては、不確実性について網羅的に示す必要があるが、何を考慮して、どのようなマップを作るかの判断は各自治体に任せるべき。
    • リアルタイムの情報提供があったらよいのではないか。
    • 陸上のみでなく、漁師等を対象にした海域でのハザード情報も必要ではないか。

配付資料

【問い合わせ先】
内閣府(防災担当)地震・火山対策担当
電話03-5253-2111 (内線51414)
農林水産省農村振興局防災課
電話03-3502-8111 (内線4978)
水産庁漁港漁場整備部防災漁村課
電話03-3502-8111 (内線7293)
国土交通省河川局砂防部海岸室
電話03-5253-8111 (内線36322)
国土交通省港湾局海岸・防災課
電話03-5253-8111 (内線46735)

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