〇日時
平成30年12月25日 (火) 13時30分~15時00分
〇場所
経済産業省 別館3階 312各省庁共用会議室
〇出席委員(五十音順)
東京大学大学院 石原委員、足利大学 牛山座長、椙山女学園大学 大串委員、早稲田大学 清宮委員、森・濱田松本法律事務所 桑原委員、
一般社団法人海洋産業研究会 中原委員、株式会社日本政策投資銀行 原田委員、一橋大学 山内委員
※欠席者(書面による意見の提出にて参加):放送大学 來生委員長、東京大学大学院 加藤委員
〇オブザーバー
内閣府 総合海洋政策事務局 有倉参事官
環境省 大臣官房 環境影響評価課 泉課長補佐
農林水産省 水産庁 漁港漁場整備部 計画課 冨樫計画官
〇事務局
経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 松山部長
経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 政策課 山影課長
経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 山崎課長
国土交通省 大臣官房 浅輪技術参事官
国土交通省 港湾局 海洋・環境課 中﨑課長
国土交通省 港湾局 海洋利用開発室 神谷室長
〇議題
(1) 再エネ海域利用法の運用開始に向けた論点整理
〇議事概要
(1) 本合同会議の位置づけと基本的な検討方針
委員
・ファイナンスの立場から意見すると、基本的な視点には事業者が予見可能となる仕組みにするという趣旨のワーディングが必要。
・2030年までに洋上風力の規模感をどの程度とするかについて議論は行わないのか。また、それを実現するための公募スケジュールやプロセスをどのように設定するのか、事業開発と技術開発スピードのバランスをどのように取るのか等、イギリスを含む海外事例を参考としながら検討すべきではないか。イギリスでは累積で684万kWの導入量があるが、一度に入札されているのではなく、ラウンド1で150万kW、ラウンド2で710万kW、ラウンド3で3,200万kWの入札を実施している。
・案件規模については、欧州の最小規模が20~30万kWという点も参考に、はじめから1GW級の容量にせず、確実な量から開始し、コストを低減していくというやり方もある。日本の事業リスクを減らしながら、量を増やしていくことを期待する。
・ エネルギー基本計画では再生可能エネルギーの主力電源化を謳っており、その中で洋上風力は大きな柱になる。言葉を選ばずに言うと、再生可能エネルギーは量的に増やそうと、手綱を緩めれば、いくらでも増やすことができる。洋上風力については、技術革新がかなり進んでいる中で、今後技術革新を促進してコストを下げていくことが重要。いかに早く欧州の「競争期」の状況に近づけることができるかが鍵であり、国の関与という点においては、事業者が参入しやすく、技術革新が起こしやすい環境整備を進めるための視点が求められる。
・洋上風力事業は一度決定したら30年間事業が続くが、2030年までの導入を第1期としたとき、第2期・第3期目の導入はどのくらいのインターバルを持って実施する想定なのか。
・先行的に一般海域における事業開発が進んでいる事例があり、既に現地協議会や環境アセスを進めている状況。先行事業を再エネ海域利用法で定めている規定に移行していくのか、それとも先行事業は都道府県の条例に基づきそのまま継続開発することを認めるのか等については、事業者や地方自治体が迷うところであるので、基本的な考え方を示すべきではないか。
座長
・風力導入の規模感・スケジュール感ともに決めていかなければならない。イギリスではラウンド1~3の段階的入札によって、確実性と迅速性を持って開発が進み、コストが下がっていると認識。
オブザーバー
・内閣府としては、今後再エネ海域利用法の基本方針を策定し、閣議決定に向け調整を進めていくことになる。基本方針の策定においては、本会議で検討する区域指定・事業者選定について議論した内容をエッセンスとして盛り込んでいく予定である
事務局(経済産業省)
・本会議では、洋上風力発電の導入に向けたスケジュールやプロセス等も含めご議論いただきたい。
・2030年エネルギーミックスでは陸上風力と洋上風力の区別はなく、導入規模は1,000万kWとしている。ただし、1,000万kWは上限ではなく、国内における洋上風力の発電コストが下がり国際的水準に達するようであれば、導入規模を拡大させることはあり得る。
・洋上風力事業については、内閣府が2030年までに地域・関係者のご理解を前提に5区域で運転開始をすることをKPIとしている。ただし、この5区域も上限ではない。
・区域指定サイクルの望ましいインターバル期間等についても、本会議で議論いただきたい。エネルギー政策の観点からは、可能な限り迅速な導入を目指す必要がある一方で、関係者の合意形成を含めた事業の確実性等とのバランスをとることも重要であると認識している。
事務局(国土交通省)
・再エネ海域利用法策定時の発想として、既に条例により占用許可を得ている案件について、遡ってその権利を取り上げるものではない。条例に基づき開発を進めるか、再エネ海域利用法に基づくかは、個別に判断されることである。
(2) 促進区域指定について
(2)-1 区域指定の基本的な考え方
委員長
・促進区域の指定にあたり、事業者の競争促進のため促進区域を広く指定すべきという観点とともに、初期投資や運用リスクを避けるために促進区域を広く指定しすぎないという観点にも配慮が必要。
委員
・促進区域の指定にあたり、先行事業者の検討区域をなぞって指定するか、それともオランダのように区域の大きさを300MW~400MW等と決めてゼロベースで検討し指定するかなど、促進区域の指定方法を考える必要がある。
・促進区域の指定範囲には送電ケーブルのルートは含まれるのか。
・区域指定の方向性は事務局案で良いが、指定先の自治体や参入事業者の本気度を確認することが重要になる。
事務局(国土交通省)
・促進区域の指定に際しては、現時点で先行事業の開発が進む箇所については配慮する必要があるが、その他にもエリアごとの適正規模や風況・地質・海象などを含めた選定アプローチを検討する予定。
・促進区域は送電ケーブルの設置される箇所も含むと想定。
(2)-2 関係者との連携、協議
委員
・環境アセスメントの実施や促進区域指定実施に際して、環境省が実施しているゾーニングに関連するモデル事業があるが、参考になるのではないか。
・「漁業に支障をきたさないこと」の解釈については、一般海域は共同漁業権区画の外側にある場合も考えられ、全国各地の漁業関係者との調整について一定の考え方を示す必要があるのではないか。地域活性化に寄与すると良いといった観点があるのではないか。
・洋上風力事業の実施に際しては、地元との調整が必須となるため、協議会の役割を明確化し、事業者の予見性を考える必要がある。
オブザーバー
・環境省では環境配慮が織り込まれることを前提に、環境アセスメントの短縮化を実施していく方針。それに向け、必要な情報提供などで支援したい。
・今後漁業者との議論の進め方や、洋上風力事業の理解促進に向けた取り組みについて検討することとなると思うが、その際に、漁業者の知らないところで本議論を進めないように配慮が必要であり、関係省庁間で前広な情報提供・意見交換を行っていきたい。
事務局(国土交通省)
・協議会には、漁業関係者を含め、利害関係のある方々に参画いただく方針。
(2)-3区域指定の基準の具体化
委員
・系統接続が適切に確保できる見込みという基準については、その確実性が大きな論点になる。
・促進区域の指定については、中長期的には定量評価とすべきではないか。
事務局(経済産業省)
・系統については、促進区域の指定に当たって非常に重要な論点であり、本会議にて議論していただきたい。系統が明確に確保できる案件とできない案件は分かれてくる可能性があり、その中で促進区域指定の在り方を具体的に検討していくことになるのではないか。
(2)-4国が行うべき調査内容(事業者選定時含む)について
委員
・国が行うべき調査の内容及び範囲につき、洋上風力事業に精力的に取り組んでいる海外諸国の事例をヒアリングした上で、日本の事情を加味した調査内容・範囲を決定すべき。
・国が実施した調査に対し、公募時に事業者が追加的に地質調査・風況調査を行うことは可能か。
・国と事業者が実施する調査範囲の棲み分けは各国で差異がある。日本では国がどこまで調査するのかという点を、欧州の事例を参考にしながら検討していくことが重要である。
事務局(経済産業省)
・海外諸国事例については、ヒアリングをこの場で行うか、事前に事務局で実施するかも含め事例把握の方法を検討させていただきたい。
事務局(国土交通省)
・促進区域指定時に必要な調査は国が行う。事業者選定時についても、平等性を確保しなければいけない中で、事業者選定に必要な調査は公募前に国が予め実施する。既に事業者が調査を行っている区域の取扱い等含め、詳細については今後方針を定めていきたい。
(3) 公募による事業者選定について
(3)-1公募による事業選定の基本的な考え方
委員
・入札実施に際し、各指定区域に対し1事業グループが開発許可を得られるのか、複数の事業グループが開発許可を得られるのかについて方針を示すべき。
・事業者の選定方法については欧州の例を参考として進めていただきたい。1海域1事業者しか選ばないということは、事業者間の情報や経験の共有による学習が進まないのではないかという懸念がある。同一の海域内で、複数の事業者がバラエティのある事業を展開することも有益と考えられる。その中で競争できる環境を整備することも可能性としてはあり得る。
事務局(経済産業省)
・各指定区域で選定する事業者の数については、再エネ海域利用法上は「最も適切な者」として定めており、基本的には1者が選ばれることを想定している。
(3)-2公募の適合基準の具体化
委員
・事業者選定につき、外資系企業の事業参加に関する考え方を整理し、協議すべきではないか。
事務局(経済産業省)
・外資系企業の事業参加については、ご指摘を踏まえ次回以降の合同会議で検討する。
(3)-3評価基準の在り方
委員長
・漁業者を含めた地域との共生及び地域経済への影響配慮を考慮し事業者を選定する必要があるのではないか。
委員
・自然条件や地域の受入状況に加え、地域社会・経済への影響も評価するべきではないか。
・先行的に事業開発を行っている事業者に対しある一定の考慮をすべきとはいえ、公平公正の観点から考えると、先行事業者がベネフィットを受けすぎることは問題である。先行事業者以外の事業者の参加促進が促される環境整備が必要である。
・先行事業者以外の事業者が公募に応じるに当たって、国の調査に追加して調査を行う必要がある場合は、公平性の観点から、スケジュールの配慮等が必要になるのではないか。
・事業者選定に際しては、事業の確実性、迅速性、コストは重要な観点である。
・先行事業者の取扱いについては、競争環境下で平等に扱うことが大原則となる。先行事業者は地域との連携の確実性や迅速性が期待できるので、先行事業者の評価に際してはこれら観点でその優位性は取り上げることができるのではないか。
座長
・先行事業者がいる中で、新規事業者が参加を検討するための仕組みについて今後検討する必要がある。
委員
・洋上風力事業は30年続くが、瑕疵があった場合は占用許可取消しも起こり得る。5年~10年でPDCAサイクルを回して事業の進捗状況や、占用事業者が保持しているべき資格が維持されているか等の確認を行うことは、想定されているか。
事務局(経済産業省)
・本件に関するPDCAサイクルは現時点では具体的には決めていないが、今後の会議で協議していただき検討していきたい。
(3)-4公募にあたり国が提供すべき情報
委員
・促進区域利用時に発生する固定資産税につき、指定区域が都道府県単位の帰属にならない場合、どのように地域間調整を行うか検討しておくべきではないか。
・固定資産税は市町村税となる。促進区域が複数の市町村を跨ぐ可能性は十分に考えられるので、税の分配に関しては個別検討をするという方針はその通りだが、本件は事業者にとって必ず検討が必要になる支出項目である。税の分配に関する基本的な考え方は定性的でも良いので示すべきではないか。
・同じように、占用料をどのような考え方で定めるのか、なるべく早い段階で示すべきである。先行事例として、地方自治体が一般海域の管理に関する条例を制定し占用料を指定している例があるので、それと関連し今回どのような取扱いにする方針かを示すべきではないか。
事務局(国土交通省)
・促進区域利用時に発生する固定資産税は市町村の税収となる。促進区域が境界線に面している際の対応については事例毎に個別検討を行う。
・占用料は既に関連条例のある国内地域や欧州を参考として進める。
(3)-5公募のスケジュール
委員
・先行事業者以外の事業者が公募に応じるに当たって、公平性の観点から、スケジュール面の配慮等が必要になるのではないか。
(4) その他
(4)-1 基地港湾について
委員
・基地港湾について、沿岸には重要港湾から小さな港まで様々な港湾が存在しているが、補強するのか、新設するのか等を含め、事務局の考え方・方針を整理するべきではないか。
・基地港湾をどのエリアでどのように配備するか、整備方針は国が示すべきではないか。その際、先行事業者の資材選定に合わせて整備すると、他の者が使えなくなる可能性があるため、基地港設計についても考慮されたい。
・洋上風力発電の維持管理フェーズでも、サプライチェーンの中で地元企業・産業を育てるためにはどのような在り方が適切か、国でも配慮いただきたい。
座長
・基地港湾は重要港湾だけでなく、場合によっては漁港も活用し得るのではないか。
事務局(国土交通省)
・基地港湾については、既存施設の有効活用が前提となるが、港湾関係者の意見等を聞きながら、基地港湾の考え方・方針を検討する。
・基地港湾のスペックは限定的にせず、広域的視点で配置の選定方針を国側で考えることとし、港湾管理者等とも連携し情報収集しながら検討していきたい。
(4)-2 撤去について
委員
・住民等が特に懸念するのが撤去ルールであると考えられるため、現時点での考え方や検討方針につき合意しておくべきではないか。
・撤去は事業者の責任というのはその通りだが、海域の複合利用の観点から、構造物の再利用も考えられる。既に行われている実証事業でもそのような取扱いであるのに加え、新潟沖の石油開発プラットフォーム等も撤去後、漁礁として再利用されている。
・オンサイトでは撤去が原則であると思うが、オンサイトにおける構造物の再利用に加え、オフサイトにおける再利用の余地があることを念頭に置く必要がある。
・撤去の問題に関連し、事業者の倒産が起こった際に、事業者に対するモラルハザードが起きないようにすることが重要である。
事務局(国土交通省)
・撤去ルールについては、基本的に撤去は事業者が実施する。選定時に、事業者作成の占用計画において、撤去の計画を国側で確認する想定。
・構造物の再利用の視点はあり得る。関連法令を分析し、画一的ではなく色々な考え方があることを念頭に対応する。
(5) とりまとめ
座長
・新法の具体的な運用について、論点全体の検討をいただいたところ、基本的な考え方については、各委員から様々なご意見をいただいたものの、全体を通して大きな異論はなかったと考える。
・本日各委員からいただいたご指摘は再度整理し、事務局にて検討を深めてほしい。
・次回については、本日、各委員からいただいた意見を踏まえて、まずは、促進区域の指定に関することを中心に、より具体的に議論を深めるということで進めていきたい。
お問合せ先
経済産業省資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365
国土交通省港湾局
海洋・環境課
電話:03-5253-8674
FAX:03- 5253-1653