1. 背景
大阪湾諸港は、港則法及び関税法上、大阪港、尼崎西宮芦屋港、神戸港の3港に分かれている。アジア域内との近接性から多くの船舶が湾内の複数港に寄港しており、これら船舶は、港毎にとん税及び特別とん税を納付している。
このような中、関西では、平成18年3月に産学官関係者からなる「国際物流戦略チーム」において「広域連携を通じた国際競争力強化に向けた提言」をとりまとめ、施策として、入港料の低減等とあわせ、とん税及び特別とん税の軽減等に資する一開港化の実現など大阪湾諸港の包括的な連携施策の具体化に向けて取り組んできた。
これをふまえ、今般、国土交通省、海上保安庁及び財務省では、大阪湾諸港の包括連携施策の推進を支援するため、「大阪湾諸港の一開港化」の実施に関し、港則法施行令を改正することとした。
2. 港則法施行令の一部改正の概要
現在、大阪港、尼崎西宮芦屋港及び神戸港のうち2港以上に連続して寄港する外国貿易船が相当数存在しており、また、大阪湾諸港の包括的な連携施策が具体化した後も船舶交通量が増加、特に港間航行が増加していくことが見込まれることから、これら3港を1つの港とし3港全体を一元的に運用することにより、より効果的・効率的に港内の船舶交通の安全及び整とんを図るため、今般、次の改正を行うこととする。
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@ 大阪港、尼崎西宮芦屋港及び神戸港とその区域の統合【別図参照】
大阪港、尼崎西宮芦屋港及び神戸港とその区域を統合し、統合後の港の名称を阪神港とする。(なお、統合に当たっては、区域の拡大・縮小は行わない。)
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A 阪神港を特定港として位置付け
いずれも特定港である大阪港、尼崎西宮芦屋港及び神戸港を統合した阪神港についても、特定港として位置付ける。
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B 大阪湾諸港の一開港化
上記改正とあわせて、関税法上の大阪港、尼崎西宮芦屋港及び神戸港を統合し、統合後の開港の名称を阪神港とする。
3. 今後のスケジュール
- 閣 議 平成19年10月30日(火)
公 布 平成19年11月 2日(金)
施 行 平成19年12月 1日(土)
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- (参考1)大阪湾諸港の一開港化
大阪港、尼崎西宮芦屋港、神戸港に寄港する外国貿易船のうち約42%がこれらの港のうち2港以上に寄港。特に外航コンテナ船は約62%が2港以上に寄港。
これら船舶は、大阪湾諸港の一開港化により、船舶関係総料金の約10%、平成19年4月1日より実施した入港料の低減5%とあわせて、合計約15%の低減効果を期待。また、一開港化によって、とん税、特別とん税の納付手続も1回に簡素化が図られるなど、港湾の広域連携による国際競争力の強化が期待。
(参考2)関西の国際物流戦略チーム
平成17年6月30日、関西地域における陸海空の物流体系の広域的な深化を図り、国際物流のより一層の効率化に取り組むため設置。秋山関西経済連合会会長を本部長とする関西の産学官関係者により構成。
(参考3)港則法等の概要
港内は、広さが制限された水域に多数の船舶が頻繁に出入りし、かつ、停泊、荷役等を行う場所であることから、港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図るため港則法(昭和23年法律第174号。以下「法」という。)が制定されている。法は、船舶交通量が多い等船舶交通等の規制を行う必要のある501港を対象としており、港内での速力制限、航法、工事作業の許可制といった規制を課している。また、大型船舶が出入りできる港又は外国船舶が常時出入りする港であって、船舶交通量が特に多い等の理由により一層厳しい規制を行う必要のある京浜港、大阪港、尼崎西宮芦屋港、神戸港等86港を特定港とし、上記規制に加え、入出港の届出、航路航行義務、危険物荷役の許可制といった規制を課している。
前述の港の区域については港則法施行令別表第一、特定港については同施行令別表第二に定められている。
(参考4)大阪湾諸港の一開港化にかかる経緯
○平成17年6月30日 「国際物流戦略チーム」の設置。
・関西の産学官関係者(本部長:秋山(当時)関西経済連合会会長)により構成し、関西経済の活性化を目指して国際物流施策に係る検討を開始。
○平成18年3月15日 「広域連携を通じた国際競争力強化に向けた提言」
・国際物流戦略チームとりまとめ、同4月5日、関係省庁に提出。
○平成18年8月5日 「国際物流シンポジウム」(国際物流戦略チームが開催)
・北側国土交通大臣(当時)が「9月にも地元関係者による検討委員会を設置し、船舶交通流の実態や大阪湾諸港の連携による影響等を検討し、海域利用者合意の上で、明年にも法令を改正し、大阪湾諸港の一開港化を実現したい。」旨発言。
○平成18年9月4日 大阪湾諸港の包括連携施策推進会議(第1回)
・関西の行政機関により構成し、大阪湾諸港の包括的な連携施策の具体化に向けた取り組みを開始。
○平成18年9月26日 船舶交通に関する調査検討委員会(第1回)
・大阪湾諸港の一開港化に向け、船舶交通流の調査・航行安全対策の検討を開始。
○平成19年3月24日 国際物流戦略チーム(第3回)
・大阪湾諸港の一開港化について検討成果を報告。
・冬柴国土交通大臣より「国として、本年6月までに航行安全対策の結論を踏まえ、現在の業務形態への影響に配慮しつつ、地道に努力しながら、年内には所要の手続きを行い一開港化を実現して参りたい。」旨発言。
○平成19年6月24日 船舶交通に関する調査検討委員会(第4回)
・大阪湾諸港の包括連携施策に伴う航行安全対策のとりまとめ。
○平成19年7月5日 大阪湾諸港の包括連携施策推進会議(第4回)
・航行安全対策の検討結果を踏まえ、大阪湾諸港の一開港化について海域利用者の合意形成を確認。
- ・別図(PDF)
- ・港則法施行令の一部を改正する政令案要綱(PDF)
- ・港則法施行令の一部を改正する政令案・理由(PDF)
- ・港則法施行令の一部を改正する政令案新旧対照条文(PDF)
- ・港則法施行令の一部を改正する政令案参照条文(PDF)
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