海事

旅客船・遊漁船等に対する安全設備等の義務化について(令和6年10月4日時点)

 令和4年4月23日に発生した知床遊覧船事故を受けて開催された「知床遊覧船事故対策検討委員会」において、船舶の安全基準の強化を含む、「旅客船の総合的な安全・安心対策」がとりまとめられました。


これを受け、
 ・水中での救助待機が不要で、荒天時に落水せず乗り移りが可能な救命いかだ等
 ・陸上との間で常時通信できる法定無線設備(携帯電話を除く)
 ・海難発生時に自船位置情報を発信する非常用位置等発信装置
 ・沈没を防ぐ、または退船までの時間を確保する隔壁の水密化等
の安全設備等の原則義務化を予定(一部については実施)しております。

対象となる船舶は、船舶検査証上の航行区域等に応じて異なりますが、
[1]旅客定員13人以上の船舶 又は
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受ける事業者が使用する船舶)
となります。

※遊漁船について
 知床遊覧船事故を踏まえ、旅客船や遊漁船を含め、旅客を搭載して事業を行う者が運航する船舶に関し、ハード・ソフトの両面から、事故の防止と被害の軽減を図るべく、「知床遊覧船事故対策検討委員会」において広い観点から総合的な安全・安心対策の検討を実施いたしました。
 旅客を搭載して事業を行う船舶の安全性については、旅客船事業を行う船舶、遊漁船事業を行う船舶ともに共通するものであることから、一般の利用客を乗船させる遊漁船に対しても安全設備等を義務化することとしております。
 なお、遊漁船への義務化にあたっては、遊漁船事業者を含む有識者等からなる「知床遊覧船事故を踏まえた遊漁船の安全設備の在り方に関する検討会」において、遊漁船の業務実態を踏まえた実効性のある方策の検討を実施いたしました。

〇適用日について
一部の適用日については、現在検討中です。


「(予定)」については、省令が公布されていないものになります。
 それぞれの安全設備等の詳細は、以下の「義務化の内容について」をご覧ください。

義務化の内容について(今後変更の可能性があります。)

○海上運送法の適用を受ける事業者等の船舶(遊漁船業の用のみに供する船舶を除く):義務化の方向性概要(隔壁の水密化等を除く) <ダウンロードはこちら



○遊漁船業にのみ供する船舶(小型兼用船を含む):義務化の方向性概要(隔壁の水密化等を除く) <ダウンロードはこちら


○海上運送法の適用を受ける事業者等の船舶(遊漁船業の用のみに供する船舶を除く):義務化の方向性概要(隔壁水密化等のみ)  <ダウンロードはこちら


○遊漁船業にのみ供する船舶(小型兼用船を含む):義務化の方向性概要(隔壁の水密化等のみ) <ダウンロードはこちら

 

救命いかだ等

○義務化について 
水温が低い海域で事故等がある場合、乗客が水中待機をしない状況を確保するためには、水上で救助を待つことができる救命設備の搭載、または、確実かつ早急に救助できる状況を確保することが必要となります。
そこで、低水温の水域・期間を航行する場合、乗り移り時の落水危険性を軽減する措置が講じられた救命いかだ等の搭載を義務づけることとしました。
また、水温の低さ、航行区域、船舶の構造等に応じたリスクの程度及び業務実態を考慮し、救命いかだ等の搭載を要しない方法を定めています。当該方法についてはこちらをご覧ください。
本ページはポイントをまとめたものです。義務化の詳細については、こちらをご覧ください。

○対象船舶
[1]旅客定員13人以上の船舶
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」、「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受ける事業者が使用する船舶)
のうち、以下に該当するもの。

航行する水域の最低水温 対象船舶
10℃未満 すべての船舶(河川、港内、一部の湖を航行するものを除く※)
10℃以上15℃未満 平水区域を超えて航行する船舶
15℃以上20℃未満 平水区域を超えて航行する船舶(船内に浸水しない構造を有するものまたは母港から5海里以内のみを航行するものを除く)
※琵琶湖、霞ヶ浦、サロマ湖、猪苗代湖、中海、屈斜路湖、宍道湖又は支笏湖を航行する船舶が対象であり、それ以外の湖を航行する船舶は非対象です。

(水温の確認方法について)
こちらの海域早見図から、航行する水域についてご確認ください。確認した水域の水温について、早見表及び一覧表を用いて、水温が10℃/15℃/20℃を下回る具体的な時期を確認ください。

○適用日
[1]旅客定員13人以上の船舶(「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業のみを行う船舶は除く):令和7年4月1日予定
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」の適用を受ける事業者が使用する船舶):令和8年4月1日予定
[3]「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業にのみ供する船舶(小型兼用船を含む):検討中

(経過措置について)
現存船については、適用日以降の最初の定期検査までに積付け


○救命いかだ等の製品リスト
国が定めた基準に適合する救命いかだ等は現在2社から販売されています。
藤倉コンポジット株式会社
アール・エフ・ディージャパン株式会社

法定無線設備

○義務化について
通信会社の通信エリア図内であっても携帯電話の電波が一時的に受信できない可能性があることなどから、限定沿海を航行する旅客船の法定無線設備から携帯電話を除外することとしました。
また、陸上との間で運航に関する連絡を確実に行うこと等により、航行の安全を確保するため、旅客船以外の事業船に対し新たに法定無線設備を義務付けることとしました。
本ページはポイントをまとめたものです。義務化の詳細については、こちらをご覧ください。

○対象船舶
以下のいずれかに該当する船舶
[1]法定無線設備として携帯電話を積み付けている船舶であって、限定沿海を航行する旅客定員13人以上の船舶
[2]法定無線設備の積み付け義務のない船舶のうち、旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」、「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受ける事業者が使用する船舶)

○適用日
[1]旅客定員13人以上の船舶(「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業のみを行う船舶は除く)
 ・許可船      :令和4年11月1日(措置済み)
 ・許可船以外:令和6年4月1日
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」の適用を受ける事業者が使用する船舶):令和7年4月1日予定
[3]「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業にのみ供する船舶(小型兼用船を含む):検討中

(経過措置について)
現存船については、適用日以降の最初の定期的検査までに積付け

○法定無線設備を搭載する際の注意点
・業務用無線設備(VHF無線電話、MF無線電話等)を法定の無線設備として導入する場合には、通信の相手方として、申請者が開設する海岸局又は構成員とされる法人若しくは団体の海岸局が必要になります。
・業務用無線設備の利用にあたっては、無線局の開局の許可が必要なため、総務省への免許申請をしていただく必要があります。
 また、無線設備の操作を行うためには、海上特殊無線技士等の資格が必要です。無線設備の届出などに関しては以下の総務省の「電波利用ホームページ」をご確認下さい。
 総務省 電波利用ホームページ|免許関係 (soumu.go.jp)

非常用位置等発信装置

○義務化について
遭難した際、救助機関等による一刻も早い発見に繋がるよう、海難発生時及びその後の位置通報の設備として、非常用位置等発信装置の積み付けを義務化することとしました。
本ページはポイントをまとめたものです。義務化の詳細については、こちらをご覧ください。

○対象船舶
平水区域を超えて航行する以下のいずれかに該当する船舶
[1]旅客定員13人以上の船舶
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」、「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受ける事業者が使用する船舶)

○適用日
[1]旅客定員13人以上の船舶(「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業のみを行う船舶は除く):令和6年4月1日
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」の適用を受ける事業者が使用する船舶):令和7年4月1日
[3]「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業の用のみに供する船舶(小型兼用船を含む):検討中

(経過措置について)
現存船については、適用日以降の最初の定期検査までに積付け

隔壁の水密化等

○義務化について 
波の打ち込み等により船内に海水が侵入した際に、浸水の拡大による沈没を防ぐ、または退船までの時間を確保するために隔壁の水密化等を義務づけることとしました。
また、上記の安全対策が困難な船舶(既存船や5トン未満の小型船など)に対する代替措置の詳細については、こちらをご覧ください。
本ページはポイントをまとめたものです。義務化の詳細については、こちらをご覧ください。

○対象船舶(水密全通甲板の設置)
平水区域を超えて航行する以下のいずれかに該当する船舶
[1]旅客定員13人以上の船舶
[2]旅客定員12人以下の旅客を搭載して事業に使用される小型船舶(「海上運送法」、「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受ける事業者が使用する船舶)

○対象船舶(一区画可浸の基準での水密隔壁の設置)
平水区域を超えて航行する以下のいずれかに該当する船舶
[1]旅客定員13人以上の小型船舶
[2]旅客定員12人以下の旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」、「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受ける事業者が使用する船舶)

○適用日(記載ミスがありましたので、修正しております。【10月4日】)
[1]旅客定員13人以上の船舶(「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業のみを行う船舶は除く):令和8年4月1日予定
[2]旅客定員12人以下であって、旅客を搭載して事業に使用される船舶(「海上運送法」の適用を受ける事業者が使用する船舶):令和9年4月1日予定
[3]「遊漁船業の適正化に関する法律」の適用を受け、遊漁船業にのみ供する船舶(小型兼用船を含む):検討中

(経過措置について)
現存船については、適用日以降の最初の定期検査までに積付け

 

参考資料

小型旅客船等の安全対策(ハード)【旅客船向け】
小型旅客船等の安全対策(ハード)【遊漁船向け】


〇パブリックコメント
船舶区画規程等の一部を改正する省令案に関する意見募集について(R6.9.2~R6.10.1)【NEW】
船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集の結果について(R5.11.1~R5.12.1)
船舶安全法施行規則第六十五条の三の二第一項の旅客の輸送の用に供する船舶を定める告示案に関する意見募集の結果について(R5.11.1~R5.12.1)
船舶設備規程第三百十一条の二十二第一項第三号の無線電信等を定める告示の一部を改正する告示の一部を改正する告示案に関する意見募集の結果について(R5.11.1~R5.12.1)

知床遊覧船事故対策検討委員会(R4.5.11~)

水温検討第三者委員会(R4.6.8~R4.6.15)

知床遊覧船事故を踏まえた遊漁船の安全設備の在り方に関する検討会(R6.3.18~)

補助について

国土交通省において、新たな安全設備の義務化にあたり、小型旅客船等への安全設備の早期導入を図るため、「小型旅客船等安全対策事業費補助金」の公募を開始しております。補助金の詳細については、こちらをご覧ください。

○補助対象
救命いかだ等、業務用無線設備及び非常用位置等発信装置ごとに、一定の条件を満たす航行区域を有する以下の船舶
 [1] 旅客定員13名以上の船舶(遊漁船を除く
 [2] 旅客定員12名以下の船舶のうち、海上運送法の適用を受ける事業者が使用する船舶
※遊漁船であって、「海上運送法」の適用を受ける事業者が使用する船舶については、補助対象となります。
※遊漁船に対する補助については、水産庁資源管理部管理調整課沿岸・遊漁室(03-3502-7768)までお問い合わせください。
遊漁船事業のみ行っている船舶(小型兼用船を含む)について、本補助金の対象とはなっておりませんので、ご注意下さい。

○お問い合わせ先
「小型旅客船等安全対策事業費補助金」事務局
公募期間: 令和5年4月26日(水)~令和6年10月31日(木)
公募期間が延長されました。詳細はこちらをご覧ください。)
URL  : https://marine-safe.jp/marine-safe/
電話  : 050-3093-4819(受付時間 10:00~17:00 土・日・祝・年末年始を除く)
メール : info@marine-safe.jp(受付時間 24時間)
 

お問い合わせ先

ご不明点等ございましたら、最寄りの検査機関(小型船:JCI、大型船:地方運輸局)にお問い合わせください。

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