水資源

平成30年度第1回水源地域支援ネットワーク会議

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1.日時  平成30年9月5日(水)~6日(木)
2.場所  長野県木祖村、愛知県名古屋市
3.主催  国土交通省
4.協力 木祖村、(一社)木祖村観光協会、(独)水資源機構 味噌川ダム管理所、NPO法人木曽川・水の始発駅
5.参加団体
  
NPO法人さくらおろち、エコグリーンツーリズム水の里しらやま、(同)東峰村ツーリズム協会、(公財)宮ヶ瀬ダム周辺振興財団、名古屋市上下水道局、山梨県、愛知県、愛知県尾張旭市、愛知県設楽町 ほか


 

1.概要

 長野県木祖村では、木曽川源流の里として様々な上下流交流事業を展開しており、行政や地元関係者が連携して、地域活性化のための取組を行っています。
 今回の会議では、会議初日に、愛知県名古屋市で(一社)木祖村観光協会が運営する木祖村アンテナショップを視察後、長野県木祖村において、山梨県丹波山村で地域活性化に取り組むNPO法人による講演のほか、木祖村の2団体による活動内容の発表と意見交換を行いました。また、会議2日目には、緑化交流事業植林地や水木沢天然林、味噌川ダムの視察を行いました。各事業内容等の説明を交えながら実際に現地を視察することで、参加者からより具体的な改善策の提案等がなされ、活発な意見交換が行われました。

2.会議の内容

<現地視察(1日目)>

木祖村アンテナショップ「源気屋桜山店」視察

【木祖村アンテナショップ「源気屋 桜山店」】
 木祖村の上下流交流の取組のひとつとして、愛知県名古屋市において(一社)木祖村観光協会が運営しています。
 店内は木曽のヒノキやサワラを使用した内装となっており、地場産品(野菜、工芸品、加工食品等)のPR・販売を行うことで、上流地域の活性化につなげています。
 さらに、総合拠点施設として愛知県各方面とのネットワークも構築されてきており、今後雇用創出や移住定住に向けた情報発信・情報収集も進めていく予定です。

<講演・活動発表>

<講演>
テーマ:『関東一小さな村のユーモア+マジメな地域活性化の取組』
講 師:小村 幸司 氏(NPO法人小さな村総合研究所 代表理事)


 山梨県丹波山村は多摩川の源流域に位置している。この地に4年前に地域おこし協力隊として移住し、地域活性化の取組を数多く実施してきた。成功したものはそのうち一部であるが、いずれの取組も、私が関わらなくなっても自走できることを目標としている。
 最も成功している取組として、2016年に伊勢志摩で開かれた「G7サミット」と同時期に、日本全国の小さな村を7つ集めた「g7サミット」の開催を企画し、小規模な自治体同士が連携した地域活性化策を展開している。一度限りのイベントで終わるのではなく、7つの村の役場職員同士や若者同士のつながりを構築することで、ふるさと納税やイベント等での連携といった地域活性化の取組がさらに広がりつつある。
 また地域活性化のためには、コンサルタント等に頼るのではなく「村民が自ら決めること」が有意義であるということを実感してもらう狙いもあり、役場職員等が審査員となり全国から地域活性化策を募るアイディアコンテストを開催している。これまでに開催した2回とも、質・量ともに予想以上の応募があることから、全国には、自らのアイディアを町づくりや町おこしに活かしたいと考える人が多いと言える。さらに、山梨県内で初めての取組となる「村民タクシー」は、全国の類似事例を視察調査した上で、丹波山村に合う形にカスタマイズしている。略称を「ソンタク」としたことでメディアの関心も集めやすく、報道をきっかけとして新たなつながりも生まれている。
 都心に本社を置くベンチャー企業等が何社もサテライトオフィスを開設したことで有名な徳島県神山町で顕著に見られるように、「寛容性」があることで人を呼び、さらに人が人を呼んでくるなど、地域活性化の取組を行う上では「寛容性」がキーワードであると感じている。


<活動発表>
 参加者が木祖村における地域活性化の活動を知り、共に地域の問題解決や地域振興の新たな取組を進めていく関係の構築を目指すとともに、全国各地からの参加者とともに意見交換を実施しました。
 
[1]テーマ:『木曽川上下流交流事業と木祖村の地方創生』
   発表者:高柳 政次 氏(一般社団法人木祖村観光協会)

 
 木祖村は、長野県南西部の木曽地域の最北端、木曽川の最上流の場所に位置している。平成29年10月に木祖村観光協会を一般社団法人化し、もともと役場で行っていた上下流交流事業を担っている。
 平成8年の味噌川ダム竣工以降、下流自治体との交流を進めてきた。名古屋市の水道設備企業経営者の協力を得て、平成20年に木祖村名古屋出張所・アンテナショップを開設し、さらにこれをきっかけとして東海地域在住の木祖村出身者で組織する「木祖村人会」も立ち上げ、現在では120名の会員数となっている。
 下流域の自治体や民間企業、団体、水道局等とは、緑化推進事業や研修、ツアーの実施、地元産間伐材活用製品(椅子、おもちゃ等)による経済交流、物産イベントへの出展、スポーツを通じた交流等、幅広い交流事業を行っており、年間約100件展開している。また、木曽地域の自治体と愛知中部水道企業団と協定を結び、水道利用料金の一部を基金に積み立て木曽地域の森林整備の費用に充てる取組も行っている。
 交流事業を展開する上では信頼関係が最重要であり、この信頼関係を各施策とも連動させ事業展開していくことが必要。観光協会として観光客を増やす取組を行うことに加え、村民や会員自らが稼ぐ力を付けることも必要であり、木祖村らしい観光地経営を行うことで地域の経済発展を目指す。
 
[2]テーマ:『「・・・」から「?」に。「?」から「!」に。「!」から「!!」。木曽川・水の始発駅の“伝える活動”』
   発表者:岩原 大輔 氏(NPO法人木曽川・水の始発駅)

 
 味噌川ダム完成に伴って策定された「水源地域ビジョン」に基づいて活動を開始し、平成22年にNPO法人化し、より住民主体での“伝える活動”を行っている。
 “伝える活動”としては、カヌーや山菜採りといった体験イベント、天然林や中山道等での観光ガイド、グリーンツーリズム事業等を行う「遊牧民プロジェクト」、景観整備や環境整備を行う「地域の彩りプロジェクト」、地域の食材を活用した商品開発や喫茶店事業を行う「食の塩梅プロジェクト」の3つがある。
 既にある地域資源を発掘し付加価値をつけて提供する、という当法人の活動は多岐に渡っているため、関わる人が同じ方向を向けるよう毎年スローガンを掲げている。今年度は「志、欠けることなく、仕掛ける年」として、目的を忘れず何事も積極的に行うことを目指している。
  “伝える活動”を行っているが、最終的には、双方向的な“伝わる活動”となることを目指している。木祖村を知ってもらい、それにより生じた疑問を通じてさらに興味を持ってもらい、そしてまた新たな広がりにつながっていくような活動を今後も続けていく。

 

  • 小村講師による講演

  • (一社)木祖村観光協会による発表

  • NPO法人木曽川・水の始発駅による発表

<現地視察(2日目)>

【緑化交流事業植林地】
 緑化事業に寄付協力している名古屋市内の企業の社員に緑化活動を実際に体験してもらうため、一緒にカエデの植林や育樹作業を行うことで交流を深めています。
 
 
【水木沢天然林】
 木曽川の源流、水木沢地区に広がる天然林であり「平成の名水百選」に選ばれています。散策を通じて森林の働きを学ぶほか、歩道にウッドチップを敷き詰める活動等を通じて、下流域住民との交流を行っています。
 
 
【味噌川ダム】
 説明者:稲木 道代 氏((独)水資源機構 味噌川ダム管理所長)
 
 洪水調節、流水の正常な機能の維持、新規利水、発電の4つを目的に、平成8年に管理を開始しました。下流域の協力もあり、山が非常にきれいに保たれているため、これまでに洪水調節を実施したのは7回のみで、直近の豪雨の際にも流木は一切ありませんでした。
 当ダムを活用した地域活性化策として、漕艇の練習場所としての利用や山羊の除草隊の導入、日本酒「木曽路」のダム貯蔵等を実施していますが、ダム管理業務として行えることには限界があるため、地域がひとつになって、点→線→面の取組を行うことが必要です。
 

  • 緑化交流事業植林地

  • 水木沢天然林

  • 味噌川ダム

お問い合わせ先

国土交通省水管理・国土保全局水資源部水資源政策課水源地域振興室
電話 :03-5253-8111(内線31323、31325)
直通 :03-5253-8392
ファックス :03-5253-1581

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