地すべりとは
斜面の一部あるいは全部が地下水の影響と重力によってゆっくりと斜面下方に移動する現象のことをいいます。 一般的に移動土塊量が大きいため、甚大な被害を及ぼします。また、一旦動き出すとこれを完全に停止させることは非常に困難です。 我が国では、地質的にぜい弱であることに加えて梅雨あるいは台風などの豪雨により、毎年各地で地すべりが発生しています。
地すべりは様々な要因(地形、地質、地質構造、降雨、人為など)が組み合わさって発生するため、地すべり対策工の種類も多岐にわたっています。 大きく分類すると抑制工と抑止工にわけられ、抑制工は地すべりの元となる要因自身を低減あるいは除去することを目的とし、抑止工 は地すべりを構造物で防ぐことにより安定化を図るものです。
アンカー工
集水井工
排水トンネル工
杭工
地附山の大規模地すべり
災害状況![]() (昭和60年7月、長野県) 死者:26名 負傷者:4名 全壊:52戸 地すべり土量:360万m |
整備後
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奈良盆地一帯の降水を集める大和川。その大阪平野の出口が亀の瀬の峡谷です。この地は、古くから地すべりが頻発する地域であり、 奈良盆地の水没や溜水の奔流による大阪平野周辺の広範囲な被害が予測されています。
亀の瀬の地すべり対策は、日本最大規模で、深さ100mもの深礎工や多数の鋼管杭工で地すべりの圧力を抑止するとともに、 排土工等を実施。さらに水路工、集水井工、トンネル排水工など様々な技術を駆使して工事を行う一方、監視装置も随所に配置することで、 二重、三重に万全な対策を施しています。
位置図
亀の瀬地すべり対策地全景